米海軍、ソマリア海賊から人質船長救出に成功!
||| 米海軍、海賊人質の船長救出に成功 |||
人質として拉致後5日目の復活祭に朗報! 船長2度目の脱出が成功の糸口に
Happy Easter!復活祭の朝、米国全土に安堵と快哉をもたらした朗報。ここ数日たれこめる暗雲のように、米国のニュースを独占してきた話題「ソマリア海賊の米輸送船船長人質事件」。ソマリア海賊の跳梁跋扈は今に始まったことでなく、襲撃事件が頻発した2007年から『米流時評』でも随時お伝えしてきた。
今回の襲撃拉致事件のことの起こりは、米国時間で先週水曜の8日。すでにパターン化している襲撃だが、今回は相手が悪かった。もちろん、米国からすれば不幸中の幸い。一見普通の輸送船と見えた「Maersk Alabama/マースク・アラバマ号」だが、この船の船長以下メインの乗組員には、歴史あるアナポリス米海軍士官学校卒業の強者がそろっていた。
トップは バーレーンの米海軍基地に所属し 人質救出作戦の海上基地となった米海軍艇 USSベインブリッジ号
AK47機関銃やロケット砲で重装備した海賊のスピードボートが襲ってきた時点で、この船長はクルー全員に「みな奥へ隠れろ、おれひとりで対処する」と命じ、船へ乗り込んで来た海賊と交渉。その間、船内を徘徊する海賊一人に隠れていたクルー3人が飛びかかって、アイスピックで手を突き刺す、という一幕もあったが、結果的に海賊は船長を人質にして脱出ボートへ閉じ込め海上へ投げ出した。
海賊を輸送船から遠ざける試みは成功したが、船長は人質のまま。米海軍が現場へ急行したとは言っても、広いインド洋。協力して警備体制で出動している各国の巡洋艦・駆逐艦がいかに奔走しても、実質的には焼け石に水らしい。海賊出没危険海域だけでも米国全土の3分の2ほどの面積があり、例えて言うなら、その広い海の荒野をわずか数十台のパトカーで巡回しているような状態、というのがいつわらざる実情だそうだ。
中:アフリカの角と呼ばれるソマリアは紅海とインド洋に面し、スエズ運河からアデン湾へ出る国際海運の要衝
右:米海軍輸送機の C-130 Hercules(ハーキュリーズ=ヘラクレス)から降下する特殊部隊 NAVY SEALs
しかしともかく、拉致のあかない解放交渉がまとまらず、4日目の土曜夜、オバマは現地の司令官に直接通達で「やれ」と命を下した。人質奪還作戦である。勇猛果敢で名高い米国海軍の特殊部隊「NAVY SEAL」が、5日目の復活祭の朝ついに船長を救出。全米に「救出成功!」の臨時ニュースが走った。ハリウッドのアクション映画さながらの人質救出作戦の一部始終を、このあとの記事を翻訳して紹介したい。
【米国時間2009年4月12日『米流時評』ysbee】
09/04/12 米海軍、ソマリア海賊から人質船長救出に成功!
08/12/16 緊急報告:ソマリア海賊との全面戦争を国連が承認!
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Associated Press | B R E A K I N G
ソマリア海賊人質の米船長を5日ぶりに奪還、海軍特殊部隊の救出作戦成功!
米国時間 2009年4月12日午後3時15分 | AP通信・ケニア発ニュース速報 | 訳『米流時評』ysbee
U.S. Navy Rescues Captain Held by Pirates
Three of the Somali captors killed, one in custody after swift operation
APRIL 12, 2009, 3:15 p.m. | Associated Press — BREAKING | Translation by ysbee
1. Finally U.S. succeeded in rescue
MOMBASA, Kenya — U.S. forces freed an American ship captain and killed three of his captors Sunday in a daring rescue that ended a five-day standoff between the world's most powerful navy and Somali pirates in a lifeboat far off the Horn of Africa.
5日目についに人質救出成功!
ケニア・モンバサ発 |「Horn of Africa」アフリカの角と呼ばれるソマリアの沖合海上で、世界最強の海軍とソマリアの海賊との間で繰り広げられていた人質救出のドラマ。8日水曜の襲撃以来続けられていた5日間にわたる人質解放交渉が、土曜夜決裂。米軍は日曜の未明、漆黒の海に海軍特殊部隊をパラシュート降下させ、4人の海賊のうち3人を射殺1人を捕獲して、狭い救命ボートに捕らわれの身となっていた米人船長をついに救出した。
2. License to kill in 'imminent danger'
Capt. Richard Phillips was in "imminent danger" of being killed before snipers shot the pirates in an operation authorized by President Barack Obama, Vice Adm. Bill Gortney said. He said the pirates were armed with AK-47s and small-caliber pistols and were pointing the rifles at the captain when the commander of the nearby USS Bainbridge gave the order to open fire.
海軍特殊部隊の決死の救出作戦
ビル・ゴートニー海軍副総督から発表された現場状況によると、バラク・オバマ大統領の勅命を受けた海軍特殊部隊NAVY SEAL、救出作戦実行チームのスナイパーがソマリアの海賊を射殺する直前には、拉致されていたリチャード・フィリップス船長は「不可避の危機」にあった。
救出作戦のため現場に出動していた米軍の戦闘艦USSベンブリッジ号から、作戦司令官がスナイパーにゴーサインを送った時点では、海賊達は機関銃AK47とピストルで武装し、船長の頭に銃を向けていたと、ゴートニー副提督は伝えている。
3. Escaped crew erupted with joy
Gortney, the commander of U.S. Naval Forces Central Command, said the White House had given "very clear guidance and authority" to take action if Phillips' life was in danger. Phillips' crew, who said they had escaped after he offered himself as a hostage, erupted in cheers aboard their ship docked in Mombasa, Kenya. Some waved an American flag and fired flares in celebration.
救出成功の朗報に沸き立つ乗組員
米国海軍中央司令部の総司令官であるゴートニー副提督は、フィリップ船長の生死を賭けた今回の救出作戦実行にあたって、ホワイトハウスからは「きわめて明確な指示と確固とした指令があった」と述べている。
フィリップス船長の配下の乗組員は、船長が他の乗組員の命と引き換えに進んで人質になったため、危機を脱出して船ごとソマリアの隣国ケニアへ避難していたが、停泊中のモンバサ港のドックで救出成功の朗報を受け、喜びに沸き立った。船員の中には星条旗を掲げ、祝砲の代わりの発煙筒を打上げる者もいた。
4. Captain O.K. with no injury
Phillips, 53, of Underhill, Vermont, was not hurt in several minutes of gunfire and the U.S. Navy's 5th Fleet said he was resting comfortably on a U.S. warship after receiving a medical exam. "I'm just the byline. The real heroes are the Navy, the Seals, those who have brought me home," Phillips said by phone to Maersk Line Limited President and CEO John Reinhart, the company head told reporters.
船長は数分間の銃撃戦でも無傷
バーモント州アンダーヒルに自宅のあるリチャード・フィリップス船長(53才)は、海賊と特殊部隊との間で銃撃戦が数分間続いたにもかかわらず、幸いにして怪我は負わなかった。米海軍第5艦隊からの発表によると、船長は現在米戦闘艦ベンブリッジ号に収容され、医師の点検を受けた後は安心して休息をとっていると伝えられた。
フィリップス船長からマースク号の所属する米国のマースク・ライン・リミテッドへ直接電話が入り、社主のジョン・ラインハート氏と語った内容によると、船長は「真の英雄は、私を救って故郷に帰してくれる海軍とNAVY SEALsですよ」と伝えたそうである。
5. Obama admires, 'a model for all Americans'
A photo released by the Navy showed Phillips unharmed and shaking hands with the commanding officer of the Bainbridge. Obama said Phillips had courage that was "a model for all Americans" and he was pleased about the rescue, adding that the United States needs help from other countries to deal with the threat of piracy and to hold pirates accountable.
オバマ「船長はアメリカ人の鑑」
海軍広報部から公開された写真では、ベンブリッジ号に収容されたフィリップス船長は怪我もなく同艦の司令官と握手をしている場面が映っていた。オバマ大統領は電話で祝辞を入れ、(乗組員を救うために命がけで人質となった)フィリップ船長に対して「すべてのアメリカ人の鑑(かがみ)だ」と賞賛。救出作戦が成功したことを喜ぶとともに、海賊襲撃の脅威と闘うためにも米国以外の国からの協力が必要である、と言い添えた。
6. Obama gave permissions twice
The Defense Department twice asked Obama for permission to use military force to rescue Phillips, most recently late Friday evening, U.S. officials said. On Saturday morning, Obama signed off on the Pentagon's request, as he had a day earlier, said the officials, who spoke on the condition of anonymity to discuss internal deliberations.
軍事力行使を2度許可したオバマ
国防省はオバマ大統領に対して、フィリップ船長を救出するための軍事力行使を許可するよう2度要請し、2回とも許可を得たと米国政府高官は伝えている。最終の許可依頼は金曜夜に届けられ、最初の金曜日中の許可同様、大統領権限の最終指令は土曜早朝に署名されたそうである。内部機密情報のため、この内容を伝えた高官名は匿名のままである。
7. Totally integrated operation of 5th Fleet
字数制限のため英文省略
米海軍第5艦隊の統合救出作戦
米海軍の発表によると、フィリップス船長が海賊の手から解放されたのは、現地時間で午後7時19分で、救命ボートから巡洋艦ノーフォーク号へ、さらにバージニアを母港とする駆逐艦ベンブリッジ号へと移送され、そこからさらにサンディエゴ海軍基地所属のUSSボクサー号へヘリで運ばれ、同艦で医師の検診を受けたと、第5艦隊のネイサン・クリステンセン広報官から記者団に公表された。フィリップス船長は、現在はインド洋ソマリア沖のUSSボクサー号艦上で、安心して休養していると広報官は伝えている。
8. Fourth pirate surrendered in cutody
字数制限のため英文省略
4人目の海賊投降し米軍捕虜に
政府高官の談話によると、4人のうち3人は射殺されたが、残った一人は米軍に投降し、戦闘場面に置ける軍事捕虜となった。一方連邦捜査局FBIもベンブリッジ号に乗り込んで、ここ数日人質解放の交渉を続けていたが、ジョン・ミラーFBI広報官によると「今回の襲撃事件は、軍事問題と言うよりも犯罪事件として看做される状況に変わってきた」と語っている。
一方フィリップス船長の家族を代弁するスポークスウーマン、アリソン・マッコールさんの談話では、船長と妻のアンドレアさんは、ほんの短い時間だったが、人質から解放された直後に電話で会話を交わしたと伝えている。
9. Captain recaptured on Friday
字数制限のため英文省略
失敗に終わった最初の脱出
フィリップス船長は、人質になってから3日目の先週金曜、救命ボートから海へ飛び込み、海賊の手から自力による脱出を試みたが、海賊が船長目がけて銃を発射したため、やむなくまた海賊の人質となった。この実情は、まだ救出作戦が展開中だった時点で、ペンタゴンの匿名の高官から内密裡にという条件の下で知らされていた談話である。(救出が成功したために公開)
10. A few shots fired on U.S. boat Saturday
字数制限のため英文省略
海賊に接近した米軍のボートに発射
11日土曜の早朝、フィリップ船長と4人の海賊の乗っていた救命ボートに米海軍の小型ボートが近づいた際、海賊はそのボートめがけて銃で撃ってきた。この際には(まだ軍事行動指令が出ていなかったため)ボートの海軍兵は海賊に撃ち返さなかった。海軍のボートはきびすを返して戻ったため、誰も負傷せずに済んだ。この話は前述の匿名高官からだが、この際の海軍ボートは(海賊との交渉のためで)船長救出の特命は受けていなかった、と語っている。
11. Saved 19 crew arrived at Mombasa
字数制限のため英文省略
乗組員19人は一足先にモンバサ港へ
ソマリア中部のマドッグ州知事が伝える談話によると、フィリップス船長の人質解放交渉は同州地元の長老たちも加わり、アメリカ人側では通訳も交えて、衛星回線を介した電話で土曜いっぱい続いた。しかし最終的に(米国側は断固として身代金支払の要求をはねつけたため)土曜深夜になって交渉は決裂した。
一方水曜の襲撃事件の後、フィリップ船長配下の19名の乗組員とマースク号は、米国海軍特殊部隊の警護艇が随行して、ケニア北西部にあるモンバサ港に無事入港した。一行は人質を免れた状況を喜びながらも、フィリップ船長をひとり残さなければならなかった状況に断腸の思いだと語った。
12. Holding a dozen ships with 200+ crew
字数制限のため英文省略
現在ソマリアに船舶12隻と人質200人以上
マレーシアに本部を置く海賊監視専門のインターナショナル・マリタイムビューロー/国際海事事務局の調べによると、現時点でソマリアの海賊は船舶12隻と200名以上の乗組員を拉致している。人質の国籍は多岐に渡り、ブルガリア、中国、ドイツ、インドネシア、イタリー、フィリピン、ロシア、台湾、ツバル、ウクライナ、その他の国籍の乗組員がソマリアに拉致されたままである。
13. German freighter Hansa Stavanger in capture
字数制限のため英文省略
ドイツのコンテナ船もいまだ拿捕されたまま
一方、ドイツ軍の対海賊作戦広報官は、AP通信の取材に応えて「米軍は人質となった船長の安否を気遣って、外部へは作戦のあることをおくびにも出さなかった」と語っている。しかしこの広報官もまた、今月冒頭に海賊にハイジャックされた自国のコンテナ輸送船ハンザ・スタヴァンゲル号の詳細については口をつぐんでいる。
同船には24名の乗組員が搭乗していたが、その内訳はドイツ人5名、ロシア人3名、ウクライナ人2名、フィリピン人2名、ツヴァル諸島住民が12名という構成になっている。 >> 次号へ続く
【 米国時間 2009年4月12日 『米流時評』ysbee訳 】
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by ysbee-2
| 2009-04-12 08:40
| 海賊シージャック