隠蔽された発生源、養豚汚染の村ラグロリアの秘密

||| エピデミックのグラウンドゼロ |||

豚インフルエンザの発生源は、スミスフィールド養豚工場の排泄物プール汚染?
H1N1の新型フルーは感染国と患者数をますます増殖していますが、メキシコ自体のエピデミックは下火になりつつある模様。ただし米国ではついに米国市民から犠牲者が。テキサス州キャメロン郡の33才女性教師。元々病弱だったそう。
それよりも、当地ハワイでもついに感染者が。大人ふたりと中学生(高校生?ハイスクールなので区別がつかない)ひとりだそうです。ここは世界中から観光客が集まる「地球のおへそ」のようなロケーションなので、フルー発生以来用心して道路をはさんだ向かいのアラモアナセンターへも出かけないようにしていたのですが、これで当分外出は控えましょう。
さて問題の感染発祥の土地ですが、エピデミックのグラウンドゼロと看做されているのが、メキシコ南部ベラスケス州の片田舎、人口3千の小さな村、ラグロリア。4月よりもずっと以前から村人の半分以上の1800人が感染発病したという状況は、前号「メキシカン・ペイシェント 封印された患者ゼロ号」で紹介した通りです。
『米流時評』パンデミック/エントリ記事
4/24 メキシコでパンデミック!豚インフルエンザで68名死亡
4/26 マスクな日々・豚ウィルス 世界の水際防衛作戦
4/27 メキシコシティ帰還レポート 蒼天のガダルペ青いマスク
4/28 プレ・パンデミック秒読みの限りない憂鬱
▶4/29 メキシカン・ペイシェント 封印された患者ゼロ号
5/04 アメリカン航空感染か?ロス>成田169便の39名隔離
5/05 隠蔽された発生源、養豚汚染の村ラグロリアの秘密
5/06 死人に口なし、戦慄のパンデミック・ドクトリン
AP通信メキシコ支局の地元のレポーター、オルガ・ロドリゲス記者が、同じ症状を呈した住民が大量発生した村を探訪取材したスクープ記事ですが、その中で、猖獗を極めた「新型ウィルスの発生源=豚インフルエンザのエピセンター」ではないかという疑惑を持たれているのが、トップの写真。スミスフィールド・フーズの養豚工場(遠くに白く見える巨大な建物)から毎日排出される、1万5千頭の豚のし尿プールです。(見るたび具合が悪くなる……)
鳥インフルエンザのワクチンは、記事中のコラムNo.14の写真にある通り鶏卵から作られますが、もしも豚インフルのワクチン製造が豚の排泄物にウィルスの株を植え付けて培養できるのだと仮定したら………気が遠くなるような恐ろしい想像です。(素人考えですので、細菌学にお詳しい専門家の方、ぜひ否定して下さい)
以前からお約束の陰謀論については、その種類と言いボリュームといいあまりにも膨大なので、ほんの一部、確実なソースと共に記事にしているブログを紹介。いつもTBでお邪魔している、園田義明さんのブログ『園田義明めも』では、毎回興味のある切り口のエントリを連載されてます。
【園田義明めも】
4/27 気になる豚インフルの感染ルート
4/27 タリバンと豚インフルエンザ
4/28 豚に踊る陰謀系の人たち
4/29 豚インフル:スミスフィールド・フーズと中糧集団(COFCO)
4/29 豚インフル:米国初の死者はテキサスの幼児
4/30 FTに見る豚インフル活用のビジネス戦略
5/01 豚に群がるメディアの免疫力
5/02 新型インフル騒動と地球温暖化の手口が似ていると書いた理由
5/02 メキシコ、少量の麻薬所持合法化へ
5/02 「豚ファイター」で空飛ぶ豚をやっつけろ!
5/03 新型インフルで日本メディアも総懺悔
5/05 この秋日本上陸へ~新型インフル・ファッション最新情報~
5/06 今なおWHO完全無視の日本メディア
一方、ブログの隠密剣士(なんのこっちゃ?)として、ずいぶん長くおつき合い頂いている tafuさんのブログ『賭人の独り言』では、今回も運命のいたずらが起きたようで、なんと香港入りしてすぐに、例のメトロパークホテルの感染発生に遭遇!
【賭人の独り言】
5/03 【豚インフルエンザ】戦慄の香港現場レポート・恐怖の猪流感H1N1
5/07 【豚インフルエンザ】香港・豚インフルエンザ続報と尖閣
藤田氏は昨年胡錦濤が来日した際にも、宿泊先のニューオータニの内部をレポートするなど、まさに大胆不適を絵に描いたような「現場第一」実証主義の、突撃ブログレポーターでもあります。今回も中国政府の異常なほどの隔離体制を、現場中継さながら写真入りで「特報」しています。ゴルゴ14の面目躍如!
【米国時間2009年5月5日『米流時評』ysbee】


A s s o c i a t e d P r e s s | B R E A K I N G
ラグロリア:メキシコ政府がふれたくない、エピデミックのグラウンドゼロ
米国時間 2009年4月29日午後9時11分 | AP通信・メキシコ現地レポート | 訳『米流時評』ysbee

Patient Zero: Edgar Hernandez Case — Part-II
Villagers of La Gloria claiming on the faulty environment of pig farming
APRIL 28, 2009 | By Olga R. Rodriguez — Associated Press/Mexico | Translation by ysbee
10. Report from epidemic center
Continued from the previous issue |LA GLORIA, Mexico — Granjas Carroll de Mexico, half-owned by Virginia-based Smithfield Foods, Inc., has 72 farms in the surrounding area.
エピセンターのラグロリア村レポート
AP通信メキシコ支局 オルガ・ロドリゲス記者取材「ラグロリア現地レポート」後編
メキシコ・ラグロリア発 | グランハス・カロル・デ・メヒコは、米国バージニア州に本社をおくスミスフィールド・フーズ社が自社株の半分を所有する米国とメキシコの合資会社で、ベラスケス州ラグロリアの町周辺に72もの養豚農場を運営している。

11. No symptoms of swine flu so far
Smithfield spokeswoman Keira Ullrich said company has found no clinical signs or symptoms of the presence of swine influenza in its herd or its employees working at its joint ventures anywhere in Mexico.
全農場の食用豚1万5千頭は無感染
スミスフィールド社のキーラ・ウールリッチ広報担当にAP通信が直接取材したところ、同社がメキシコ国内で契約している養豚場ではすべて、養豚場労働者の誰一人として豚インフルエンザに感染した者はおらず、全農場の食用豚1万5千頭のうち一匹として豚インフルエンザの症状を示した豚はいない、という回答が返ってきた。

12. 'How the virus first jumped to humans?'
Animal health expert Peter Roeder, a consultant to the UN's Food and Agriculture Organization, said many possibilities exist for how the virus first jumped to humans, and that it could have happened months or even a year ago.
種の壁を越えたウィルスの起源は?
国連の食品農業機構でコンサルタントを務める動物の健康医学に関するエキスパート、ピーター・ローダー氏は、今回の新型ウィルスが「最初に豚からヒトへと種の壁をジャンプして感染する可能性の存在」がいくつも考えられるとし、今回のウィルス創成が起きたそもそもの時期は、多分数ヶ月あるいは1年も前のことかもしれないと推論している。

13. Possible transmission from human to a pig
Roeder said it's possible someone tending the pigs could have passed a human influenza virus to a pig already infected with another type of swine flu. And then that pig could have also come into contact with a bird virus. Then, the new H1N1 virus formed could have been transmitted back to the workers.
ヒトから豚へウィルス感染した可能性
国連のローダー顧問が仮定する推論は、次のようなプロットである。
「誰か豚を飼っている者が、すでに豚専門のインフルエンザにかかっている豚に対して、まったく異種の人間のインフルエンザを感染させた。さらにこの豚は、たまたま鳥インフルエンザにも感染した。かくしてまったく新しいタイプのH1N1型ウィルスが豚の体内で創成され、それがまた元に戻って豚飼いに感染した。」

14. no one has any evidence of origin
But that's just a theory — and no one has any evidence that it happened in La Gloria. "It's all surmise," Roeder said by phone from the Philippines. "The only thing that we know is that we have a virus that is transmitting between people and it is causing some concern."
未知のウィルス発生プロセス
しかし、ローダー氏の説はあくまで仮説にすぎない (that's just a theory)。しかも、こうした感染のプロセスが、問題のラグロリア村で起きたということを証明する、確たる証拠をつかんでいる者は、誰ひとりとしていないのが現状だ。
ウィルスの起源については諸説紛々だが「それらはみな、あくまで仮説にすぎない」と、AP通信がフィリピンへ問い合わせた電話口で、ローダー氏はつぶやいた。「現在の時点で細菌学界にわかっていることは、問題のウィルスが「ヒトからヒトへ」と感染する点で、このことが(パンデミックの条件として)非常に懸念されるわけです。」

15. Local intervention in early April
But residents say they have been bothered for years by the fetid smell of the farms. Local health workers intervened in early April, sealing off the town of La Gloria and spraying to kill flies people said were swarming around their homes.
4月初めにやってきた自治体の消毒班
しかし、冒頭で述べたスミスフィールド社の弁明とは裏腹に、ラグロリア村の住民は、これまで何年もの間、養豚農場から漂ってくる悪臭に悩まされてきたと苦情をこぼす。
ところが4月の初めのある日、地元自治体の保健衛生局の職員が村にやってきて、悪臭とともに住民の家の回りに飛び交うハエを退治するために、殺虫剤を散布したことがあったという。

16. Complaints focus on Granjas Carroll farm
When Associated Press journalists on Monday entered a Granjas Carroll farm that has been the focus of community complaints, the cars were sprayed with water. Victor Ochoa, the general director, required the visitors to shower and don white overalls, rubber boots, goggles and masks.
苦情の焦点、グランハス・カロル農場
そこでAP通信では27日月曜、記者ふたりが(87カ所もあるスミスフィールズ社特約の養豚農家のひとつ)グランハス・カロル農場を訪れてみた。ここはあまりの悪臭で、地域周辺住民の苦情の的となっていた農場である。2台の車がゲートを抜けた途端に(消毒液らしき)液体が散布された。
さらに、この農場の総監督であるヴィクトル・オチョア氏は、訪問者に対してシャワーを強要し、その後真っ白な防疫服と白いゴム製の防疫靴・ゴーグル・マスクを装着させ、完全防備の防疫体制をとらせた。

17. All 15,000 pigs vaccinated
Then we stepped through disinfectant before entering any of the 18 warehouses where 15,000 pigs are kept. Ochoa showed the journalists a black plastic lid that covered a swimming pool-size cement container of pig feces to prevent exposure to the outside air. "All of our pigs have been adequately vaccinated and they are all taken care of according to current sanitation rules," Ochoa said.
18農場1万5千頭の豚にワクチン接種
そのあとでわれわれ取材記者は、1万5千頭もの豚を納めた18棟の納屋のいくつかの棟に入る際には、さらに殺菌消毒のスプレーをくぐった。オチョア監督は記者に、プールほどの巨大なサイズの豚の排泄物のため池を、悪臭が外に漏れないよう防ぐためにおおっている黒いプラスチックのフタを開けて見せ、こう言った。「当農場で飼っている豚は、すべてしかるべきワクチンを接種し、最新の衛生基準にそって十全に面倒を見ています。」 >> 次号へ続く
【 米国時間 2009年4月30日 『米流時評』ysbee訳 】


「豚インフル・エピデミック メキシコの村ラグロリア探訪」
メキシコ南部 小さな村の大きな秘密 患者ゼロ号エドガー・ヘルナンデス君の村を訪ねて……In the tiny town of La Gloria, little Edgar Hernandez is now all smiles, but about a month ago……
5/03 MSNBC ニュース「カナダ:豚にインフルエンザをうつした男」
Canadian man infected pigs with Swine Flu
5/05 NBC "TODAY" ニュース「米国で最初の豚インフル犠牲者」
First U.S. resident's death by Swine Flu reported
◀ 次号「死人に口なし、戦慄のパンデミック・ドクトリン」
▶ 前号「メキシカン・ペイシェント 封印された患者ゼロ号」


TBリンク http://beiryu2.exblog.jp/tb/9690250


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5/06 死人に口なし、戦慄のパンデミック・ドクトリン
5/05 隠蔽された発生源、養豚汚染の村ラグロリアの秘密
5/04 アメリカン航空感染か?ロス>成田169便の39名隔離
5/03 中国上陸!香港隔離病棟メトロパークホテル(予定)
5/02 追跡!新型フルーパンデミックの点と線・蔓延編(予定)
5/01 追跡!新型フルーパンデミックの点と線・発生編(予定)
4/29 メキシカン・ペイシェント 封印された患者ゼロ号
4/28 プレ・パンデミック秒読みの限りない憂鬱
4/27 メキシコシティ帰還レポート 蒼天のガダルペ青いマスク
4/26 マスクな日々・豚ウィルス 世界の水際防衛作戦
4/24 メキシコでパンデミック!豚インフルエンザで68名死亡
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4/18 オバマミラクルの握手!「お友だちになりたい」チャベス

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