衛星写真で発覚!パキスタン・クシャブの新しい核施設

||| パキスタンの新しい核施設発覚! |||

米国の軍事援助資金を、新しい核施設2棟の建設費に流用した疑惑が浮上
もしここに瀕死の病人がいて、薬を買うからお恵みを、と乞われ、大金を渡したとする。そして、もしその瀕死の病人が、その金で薬を買わずに、以前の常習をひきずって麻薬を買っていたとしたら、あなたならどう反応するだろうか?
パキスタンの核開発、いや「核兵器開発」問題は、わかりやすく平たく言ってしまうと、そういう状況のようだ。つまりタリバン勢力掃討を目的として、米国が国費からパキスタンに「注入」していた数十億ドルの軍事援助資金が、パキスタンの核兵器燃料製造施設の建造費に回されていた……
当然、米国は政府も国民も怒り心頭である。(ただしチェニー以下ネオコンは、怒ったかどうか怪しい。周知の事実だったかも知れない。)
今回のスクープ記事は、国際的な陰謀の真相追求では私がもっとも信頼をおいているinvestigative journalists のひとり、ロバート・ウィンドレムの手になるもの。彼がMSNBC.comのサイト記事で暴露したのが、5月11日。奇しくもパキスタン政府軍のスワット谷攻撃/百万人難民と重なってしまい、紹介が遅れてしまった。
そうこうしているうちに、ニューヨーク・タイムズ紙が、資金流用の方に比重をかけた記事を公開したのが、その1週間後の18日。しかし、ウィンドレム氏の名誉のために明記しておくが、NYタイムズは、氏のスクープ記事がサイトに出た後からの現地パキスタン支局とペンタゴンデスクとの後追い取材であり、オリジンはウィンドレム氏の炯眼と執拗な真実追求のペンにあることを、あらためて証言しておく。
彼は長年、古巣のNBCニュースで「Investigative Unit=真相追求特捜班」を編成し、そのチーフとして米国内だけでなく国際的陰謀や犯罪の真相を暴露してきた、真相追求ジャーナリズムの老練のサムライである。米流時評でも、これは!と思えるスクープのたびに、紹介してきた常連でもある。しかし現在はネットメディアのデイリー・ビーストに移籍。その理由は不明だが、NBCのトップからなにがしかの制約が出たためではないかと思われる。
その彼が、宿敵ともいえる核の父カーン博士と ISI の本拠地パキスタンの核兵器開発の疑惑を掘り起こした。下手をするとオサマ・ビンラディンやアル・ザワヒリのアルカイダとも連動しているかもしれない構図である。9/11疑惑まで絡んでくる。
アルカイダと9/11の真相を探るためにパキスタンへ潜入して、無惨にも斬首されてしまった、ウォールストリートジャーナル紙の故ダニエル・パール記者のように、暗殺を日常茶飯事とする闇の勢力に狙われて犠牲とならない事を、心から祈る。
【米国時間2009年5月15日『米流時評』ysbee】
||| 米流時評 ||| アルカイダと核のテロ 2007年記事リスト
【アルカイダ2.0 核のテロ】 By サミ・ユサフザイ/ロン・モロー
07/07/22 アルカイダ2.0 タリバンの逆襲
07/07/23 アルカイダ2.0 核目的のパキスタン戦略
【ドバイ-パキスタン 核コネクション】 By ロバート・ウィンドレム
07/11/01 カーン博士のグローバルな核のブラックマーケット
07/11/02 英米 > ドバイ > パキスタン > リビア の核密輸ルート
07/11/03 グローバルな核の時代を許した恐怖の構図
07/11/04 北朝鮮とイランの核所有はカーン発ドバイ経由


M S N B C . C O M | A N A L Y S I S
スクープ!衛星写真で発覚した、パキスタンのクシャブ核兵器燃料施設建設
米国時間 2009年5月12日 | ロバート・ウィンドレム特別レポート | 訳『米流時評』ysbee

Internal struggle, construction of two reactors raise concern about arsenal
MAY 12, 2009 | By Robert Windrem — NBC News | Translation by ysbee
1. The most dangerous state of the nation
PAKISTAN NUKE ANALYSIS — On the dusty plain 110 miles southwest of Islamabad, not far from an area controlled by the Taliban, two large new structures are rising, structures that in light of Pakistan’s internal troubles must be considered ominous for the stability of South Asia and, for that matter, the world.
もっとも危険な国パキスタン
パキスタンの首都イスラマバードから180キロほど南下した地域には、茫漠とした荒野が広がっている。この一帯は、タリバンの武装勢力が統治するスワット渓谷地帯から、そう遠くはない。
その荒野の真ん中に突如屹立(きつりつ)する、真新しい2つの建物。パキスタンの内紛を懸念する向きにとって、この施設は「南アジアの安定を脅かす脅威」以外の何者でもない。すなわち同じ意味合いで、世界平和に対する脅威となる危険性を秘めている。

2. Two plutonium production reactors
Without any public U.S. reproach, Pakistan is building two of the developing world’s largest plutonium production reactors, which experts say could lead to improvements in the quantity and quality of the country’s nuclear arsenal, now estimated at 60 to 80 weapons. What makes the project even more threatening is that it is unique.
プルトニウム製造燃料炉2基の存在確認
米国に対して一切公けに知らされる事もなく、パキスタンは発展途上国の中では世界最大の、プルトニウム製造燃料炉を2基も、秘密裏に建造していたのである。
この施設建造に関して、核開発研究の専門家は、現時点で60〜80発あると推測されているパキスタンの核兵器保有に、さらに質量ともに飛躍的増加を可能にする施設と捉えている。この新しい核兵器開発・施設建造計画の特徴は、そのキャパシティを知れば戦慄に値するものである。

3. Rushing to build up nuke forces
“Pakistan is really the only country rapidly building up its nuclear forces,” says a U.S. intelligence official, who spoke on condition of anonymity because of the classified nature of the issue, noting that the nations that first developed nuclear weapons are now reducing their arsenals.
核軍備増強への危険な傾斜
「パキスタンは、現今の世界で核兵器の軍事力を急激に増強している唯一の国だ。」
各国の核軍備に詳しい米国諜報機関の一高官は、こう指摘する。(国家諜報の極秘事項という問題のため、この件に関しては匿名と言う条件の下に発言の掲載を了解済み)
(米・露・仏・英・中国・インドなど)当初核兵器を開発した各国は、現在ではすでに核軍備縮小の段階に入ってからかなりの年月が経っている。

4. Khushab’s director met with bin Laden before 9/11
Moreover, he and other U.S. officials say, there long have been concerns about those who run the facility where the reactors are being built near the town of Khushab. They note that a month before the Sept. 11 terrorist attacks, Khushab’s former director met with Osama bin Laden and his deputy, Ayman al-Zawahiri, and offered a nuclear weapons tutorial around an Afghanistan campfire.
9/11直前にビンラディンと密会したクシャブ核施設管理者
しかし、そうした指摘以上に、この高官をはじめとする米国の諜報機関関係者が長いあいだ心配してきた一点は、クシャブの町近郊で建設中のこの核燃料施設を、いったい誰が運営しているのか?という疑問である。それというのも、彼らの記録にある事実では:
9/11テロ攻撃のひと月前に、パキスタン政府クシャブ核施設の前所長が、アルカイダの首領オサマ・ビンラディンと、副首領のアイマン・アルザワヒリと会っていたこと。そして何を話し合ったかと言えば、この所長は当時アフガニスタンの国境地帯にあったアルカイダの軍事教練基地で、核兵器に関する講習実施を申し出ていた、という事実が明らかにされている。

5. Dangers posed by the Pakistani nuke program
Then there are the billions in U.S. economic and military aid that have permitted Pakistan’s military to divert resources to nuclear and other weapons projects. Bottom line: Khushab exemplifies all of the dangers posed by the Pakistani nuclear weapons program.
パキスタン核開発とアルカイダの危険な関係
しかも、アルカイダとタリバンに対する9/11の復讐戦として始まったテロ戦争がその後に続き、パキスタンに対して、テロリストグループ掃討戦力の一翼を担うよう要求した米国は、軍事力増強の援助資金として十億ドル以上を供与してきた。
この資金がパキスタンの軍部へ渡ったのは事実だが、(ブッシュ政権は資金投下に際して、与えっぱなしで追跡監査機能を条件付けしなかったばかりに)その後の資金流用ルートとして、核兵器や他の軍事力増強の財源として使われる結果を招いてしまった。
Bottom line/結論:クシャブ核施設は、パキスタンの核兵器開発計画がもたらす危険性の全てを例証している。

6. First new reactor near completion
In the past several months, satellite imagery shows the first of these new reactors at Khushab nearing completion while the second is in final stages of external construction. Operations at the first may begin soon, while the second is four or five years from operation.
完成間近の新しいクシャブ核施設
過去数ヶ月の間に、探査衛星が撮影したクシャブ近郊の核施設の敷地には、新たにこれら2基の核燃料炉棟が建設されているのが観察されていた。そのうちの1棟は、外観からほぼ完成に近く、もう1棟は矩体建築の最終工程であることがわかる。核施設の専門家の分析では、この過程を見るかぎり、内部の核燃料炉の始動はまもなく開始されるものと予測され、2基目に関しては作動まで4〜5年を要するものと観測されている。 ▶ 次号へ続く
【 米国時間 2009年5月15日 『米流時評』ysbee訳 】


▶ 前号「アメリカの夜と霧・9/11とイラク戦争のパンドラの箱」


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by ysbee-2
| 2009-05-15 11:04
| アルカイダ2.0核のテロ