警告!北、長距離ミサイル発射の照準は?
||| 北、長距離ミサイル発射準備段階 |||
短距離地対空ミサイルは射程距離250キロ 旧ソ連製のSA-5改良型
前号でも書いた通り、今回の北の出方は、従来とは違う。各国の報道が間に合わないほどの、矢継ぎ早の核爆発やら警告やらミサイル発射やら宣戦布告である。このスピードと各ステージの相乗作用はまるで現実の侵攻作戦の端緒のようだ。いやな連想だが、02年3月のイラク侵攻時の展開を思い出してしまった。
すべては入念に練られた侵攻作戦の、分刻みの進行なのである。
もし万一、北朝鮮が警告通り、韓国のPSI加盟を挑発行為と(勝手に)解釈して、
現実の攻撃を開始するとしたら、どこを最初に攻撃するだろうか?
私は以前にたまたま、仕事の対象が北日本だった時代があって、
軍事とはまったく関係のない業界だったが
青函トンネル+三沢基地+六ヶ所村原子力発電所+むつ原潜寄港……という
関係性の秘密を、図らずも知ってしまった。
その恐ろしさに心底嫌気がさし
自治体のお先棒を担ぐのはまっぴらときびすを翻したことが、
その後の私の方向を大きく変えた理由でもあるのだが。
そういう背景を元に、軍事知識の全くない素人考えだが
自分なりの直感で想定できる、敵側のシナリオがある。
もし北がいきなり直撃するとしたら、
その対象は青函トンネルだろう、ということである。
4月の衛星打ち上げロケット発射実験は、
そうした場合の日本の米軍基地と自衛隊の動きを
つぶさに観察するための、試験段階だったにすぎない。
それと、ミサイルが日本へ到達するまで、12分とかからないことも。
自衛隊も米軍も、迎撃ミサイルシステムのロジスティックを
見事にさらけ出してしまった。
北のフェイントにひっかかったのだ。
本州と北海道をつなぐ大動脈が断ち切られたら、どうなるか?
もうそれ以上は、詳説しない。 考えたくもない。
自衛隊と米軍の戦略家たちに、北とその後方に控えるパワーの
ウラをかけるほどの、強者がそろっていることを祈る。
【米国時間2009年5月29日『米流時評』ysbee】
ASSOCIATED PRESS | B R E A K I N G
米国のスパイ衛星、北のICBM発射台の準備動向を探知
米国時間 2009年5月29日 | AP通信 韓国発・ニュース速報 | 訳『米流時評』ysbee
NBC report comes as another short-range rocket is launched
MAY 29, 2009 | Associated Press — BREAKING | Translation by ysbee
1. Prep for another long-range missile launch
YEONPYEONG, South Korea — North Korea is showing signs of preparing for another long-range missile launch after launching a series of short-range missiles, including one on Friday. The communist country warned Friday it would act in "self-defense" if provoked by the U.N. Security Council.
さらなる長距離ミサイル発射準備へ
韓国・ヨンピョン海軍基地発 | 北朝鮮は一連の短距離ミサイルを連続して発射したのに引き続いて、米国時間で29日金曜、先回とは別のもう1発の長距離ミサイルを発射する兆候として、打上げ準備作業を行なっている事実が、米国のスパイ衛星の探査で明らかになった。
朝鮮半島の北の共産主義国家は、金曜の段階で「UNSC 国連安保理事会が『戦争挑発行為』を起こす場合(新規の経済封鎖措置)には、自衛のための軍事行動に踏み切る」と威嚇する声明を発した。
2. Spy satellites on prep for long-range missile
According to the officials, spy satellites have detected "activities ... movement of people and equipment" around the long-range missile launch site outside Pyongyang. The officials say the activity appears to be very preliminary, and it would apparently take several months before the North Koreans would be prepared to conduct their fourth test of a long-range missile.
発射準備作業を察知したスパイ衛星
米国政府高官の情報によると、スパイ衛星が「平壌郊外の長距離ミサイル(ICBM 大陸間弾道弾)専用の発射台周辺で、現場要員が機材を移動するあわただしい動き」を観察した模様である。
高官の話では、衛星を中継して観察できる一連の作業内容は、まだきわめて初段階であり、成功すれば北朝鮮にとって4度目となる長距離ミサイル打上げ実験を実行に移すまでには、今後さらに数ヶ月の準備期間を要するものと見られている。
3. Short-range missile from its Musudan-Ri
The North fired the latest short-range missile from its Musudan-ni launch site on the east coast, a South Korean government official said. He spoke on condition of anonymity, citing the sensitivity of the matter. It is the sixth short-range missile North Korea has test-fired since Monday's nuclear test. The official did not provide further details.
舞水端里から短距離ミサイル発射
一方、北朝鮮がここ数日打上げを続けた短距離ミサイルは、半島東海岸の舞水端里(ムスダンリ)打上げ基地から発射したものであると、韓国政府高官が明らかにした。この人物は、情報内容が機密事項であるため、匿名と言う条件のもとに情報を明らかにしたものである。月曜に強行した核爆発実験に引き続いて、北朝鮮が6基の短距離ミサイルの発射実験を挙行した経過は確認されているが、高官はそれ以上の詳細は明らかにしなかった。
4. SA-5 originally produced by USSR
But the Yonhap news agency cited an unidentified South Korean government official as saying the missile is a new type of ground-to-air missile estimated to have a range of up to 160 miles. Yonhap said the missile is believed to be an improved version of the SA-5, which North Korea introduced in 1963 and deployed in eastern and western parts of the country. The SA-5 was originally produced by the Soviet Union.
旧ソ連製SA-5の改良型ミサイル
しかしながら、韓国の聯合ニュース社が別の政府要人(匿名)に取材した内容によると、発射された一連のミサイルは、射程距離160マイル(約257.5キロ)程度の新しいタイプの地対空ミサイルであると言う。聯合ニュース社報道の詳細によると、今週相次いで発射されたのは、北朝鮮が1963年に半島の東西両岸に設置した「SA-5」型ミサイルを改良したバージョンであると見られている。SA-5型のオリジナルは、旧ソビエト連邦によって開発された短距離ミサイルである。
5. Nuclear detonation: yield of 1-2 kilotons
UNSC is considering tough sanctions over the communist country's nuclear test. U.S. officials told NBC News that preliminary results of atmospheric tests confirmed that North Korea did detonate a nuclear device in its underground test, at a yield of 1 to 2 kilotons. U.S. military officials also told NBC that North Korea appears to be preparing another long-range missile test.
核実験:TNT火薬で1〜2キロトン
一方 UNSC 国連安全保障理事会では(国連決議に違反した)朝鮮半島の共産国家の核実験に対して、さらに厳しい経済制裁を加圧することを検討している。
安保理の緊急会議に出席している米国の国連代表団にNBCニュースが取材したところ、北の実施した核実験の実情が明らかにされた。その内容によると、北朝鮮は地下実験施設で核爆弾の爆発を実施したが、その威力はTNT火薬に換算して1〜2キロトン(1000〜2000トン)に達したと観測されている。
米の国連代表団がNBCニュースに伝えたもうひとつの重大情報は、北朝鮮が再度長距離ミサイル(ICBM/大陸間弾道弾)の発射実験を準備している、という事実である。
6. Detected by by USAF sniffer planes
The tests were conducted on atmospheric samples collected by U.S. Air Force "sniffer planes" shortly after the underground nuclear test on Monday to determine the amount of plutonium particles released into the atmosphere. It's not clear yet if the North Korean test would be considered a success — whether the 1- to 2-kiloton explosion is what the North Koreans had intended.
米空軍の「スニファー探索機」で検分
北朝鮮の核実験の威力を探査したのは、米空軍の「sniffer planes/スニファー機」で、月曜の地下核実験の情報がもたらされた直後に、この特殊目的探査機で関連区域上空の大気中のサンプルを収集、化学分析して確認したものである。この大気中含有成分の分析検査では、核実験によって大気中に放出・拡散されたプルトニウム成分の含有量が検出され、数値測定される。
しかし現段階でもいまだに不可解なのは、北朝鮮の実験が核爆発として「成功したもの」といえるかどうかという点である。北朝鮮が当初意図した爆発が(核爆発としては小規模な)1〜2キロトン程度のものだったのかどうかは、依然として不明のままである。
7. North: 'retaliation for provocation'
North Korea, meanwhile, warned it would retaliate if provoked. "If the U.N. Security Council makes a further provocation, it will be inevitable for us to take further self-defense measures," the North's Foreign Ministry said in a statement carried by the official Korean Central News Agency.
北「挑発行為には反撃で対応」
一方北朝鮮政府は、国営メディアの朝鮮中央新報社の報道を通じて次のような外相の声明を発し、万一戦闘挑発行為があった場合にはただちに反撃すると警告した。
「国連安保理事会がこれ以上の挑発行為を行なうならば、わが国はさらなる自衛手段をとらざるを得ない。」
8. North accuses hypocrisy of UNSC
North Korea also accused the Security Council of hypocrisy. "There is a limit to our patience," the statement said. "The nuclear test conducted in our nation this time is the Earth's 2,054th nuclear test. The five permanent members of the U.N. Security Council have conducted 99.99% of the total nuclear tests."
北、国連安保理の「核の偽善」を非難
北朝鮮はまた、国連安保理の偽善性についても論及して非難した。声明文ではこう指摘している。
「我々にも辛抱の限界がある。わが国が実施した核実験は、これまで地球上で行なわれてきた核実験としては2054番目にあたるにすぎない。(他の国の核実験に同様の制裁がないことを批判)国連安保理の常任理事国である5大国こそ、これまでの核実験の99.99%までを実施してきた当事者ではないか。」
9. What is the further action?
The North has been strident since its test — which it has also called a self-defensive measure. It did not specify what further action it was considering in response to U.N. resolutions, or what it would consider a provocation.
さらなる軍事行動とは何か?
北朝鮮は地下核実験以降は、ミサイル連射など一連の軍事的威嚇行動を自らは「自衛手段」と呼んではいるものの、強気一辺倒の強硬姿勢を通してきている。
平壌政府は「今後出るであろう国連決議案に対して、反撃を容易している」と公表したが、それが具体的にどういう軍事手段を意味するのか、あるいは国連決議の何をもって「戦闘挑発行為」と解釈するのかさえ、北自体は定義付けしていないのである。 >次号へ続く
【 米国時間 2009年5月29日 『米流時評』ysbee訳 】
◀ 予告「ヒロシマサイズの恐怖/プルトニウム+ミサイル」
◀ 次号「半島危機・北、核ミサイルまでの時間」
▶ 前号「緊急!北の宣戦布告 軍事行動もあり」
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by ysbee-2
| 2009-05-29 13:48
| トンデモ北朝鮮