イランのグリーン革命「緑の津波」で空前の投票率
||| イランのグリーン革命 第1章 |||
現役アフマディネジャド大統領と対立候補のムサビ元首相の両陣営が勝利宣言
イスラム強硬派のアフマディネジャドが倒れれば、中東平和の夜明けが訪れる……と欧米社会が固唾を飲んで注目している、イランの大統領選挙。ここ1・2週間で急激に盛り上がった、ムサビ候補の民主化運動キャンペーンが、グリーン革命。
イランの国政開闢以来、と驚異の目を集める昨日の投票結果だが、何やら暗雲が垂れ込めてきた。投票直前の支持率調査では、アフマディ35%対ムサビ65%と空前の大差をつけていた挑戦者側。たとえ番狂わせがあっても、多分民主化運動側が勝利を勝ち獲ると見られていたのだが……
結果はどうなった?と気になって早起きした今朝のニュースでは、「両候補が勝利声明」!?!?!?
どうも、中東の孤狼アフマディが現役の権限を濫用して、公正な選挙結果を隠蔽、勝利を捏造しているようである。それでなくとも、投票の数日前から軍隊の実力行使をほのめかしたり、グリーン革命の組織力となっているSNSやネット情報を遮断する電波妨害を強行したり……
願わくばイランが過去の中国の轍を踏まないよう。アフマディが中東の胡錦濤と呼ばれないよう、テヘランの広場が天安門の惨劇復活の舞台とならないよう、今から切に祈っている。
【米国時間 2009年6月12日『米流時評』ysbee 】
*** 臨時ニュース ***
ただ今米国東部時間で13日土曜未明2時20分。私の住んでいるホノルルでは金曜夜の8時20分。翻訳を始めようとモニターに向かったところで速報が入りました。
BREAKING NEWS: N. Korea to treat U.S. attempt to impose blockade as "act of war"/ 臨時ニュース「北朝鮮は米国が意図している経済封鎖を「act of war=戦争行為」とみなす(treat=取り扱う)」だとさ。むー、まったくセーラ・ペイリンのような、反省のかけらもない自己中の被害妄想国家だすて。多分噂されている3度目の核実験の口実にするつもりでしょう。今度やったら、容赦しない方がいい。とりあえず速報をお伝えしました。
N E W S W E E K | E X C L U S I V E
Revolution in the Iran Election — Part-1
With early results, both sides claim victory in Iran's presidential election
JUNE 12, 2009 | Associated Press — BREAKING | Translation by ysbee
イラン全土で空前の投票率、グリーン革命は現役政権をくつがえすか?
米国時間 2009年6月12日午後2時32分 | AP通信・ニュース速報 | 訳『米流時評』ysbee
1. Both sides declared victory
TEHRAN, Iran — The messy and tense outcome capped a long day of voting — extended for six hours to accommodate a huge turnout. Iran's Interior Ministry said President Mahmoud Ahmadinejad took nearly 70 percent of the early votes counted in Friday's election, but his pro-reform rival countered that he was the clear victor and warned of possible vote fraud.
現役・革新、両陣営とも勝利宣言
イラン・テヘラン発 AP通信現地速報レポート | イラン全土を熱気で包んだ投票日の長い一日が終り、波乱と緊張に満ちた開票結果がもたらされた。現地時間12日金曜に実施されたイランの大統領選挙の開票結果について、早期開票が行なわれた地域では、現役のアフマディネジャド大統領が70%近い得票率を占めていると、内務省の選挙対策局から発表があった。しかし、対立する改革派のムサビ候補もまた明確な勝利を宣言しており、開票の過程で(アフマディ陣営による)不正が行われた可能性があると警告を発した。
2. Hyperboring tensions and expectations
The dispute rose up even before polls closed early Saturday, heightening tensions across the capital where emotions have been running at a fever pitch. Mir Hossein Mousavi, the reformist candidate, suggested he might challenge the results.
肉薄戦で期待と緊張も最高潮
全有権者の7割以上という空前の投票者を受け入れるために、通常より6時間も閉場時間を繰り下げて行なわれた、今回の大統領選。
投票直前まで急激に加速していた選挙運動の激情的な過熱ぶりが、首都のいたるところで繰り広げられたが、今回の大統領選の開票結果をめぐる論争はそうした熱気を背景に、現地時間の13日土曜早朝に投票所がクローズされるよりも以前から発生していた。改革派のミール・ホセイン・ムサビ候補は、開票結果次第では(不正とおぼしき場合には)徹底して追求するとまで、投票日以前にすでに公言していた。
3. Government blocked text messages
It raised worries that Iran's Islamic establishment could use its vast powers to pressure backers of Mousavi. During the voting, text messages were blocked — a key campaign tool for reformers — as well as some pro-Mousavi Web sites.
現行政府による運動阻止のネット妨害
投票日が近づいてくる中で急速に盛り上がってきた、改革派ムサビ候補の民主化運動の支持者たちに対して、イランのイスラム教体制派がその膨大な権力を濫用して、改革運動を弾圧する実力行使に及ぶのではないか懸念されていたが、そうした危惧が杞憂に終わらず現実となってしまった。
改革派のキャンペーン成功の鍵となったテキストメッセージは、投票時間の間中遮断され、また同様にムサビ候補支持者の著名サイトもいくつかアクセス不能の憂き目に逢った。
4. Authorities presses booming Mousavi
Security officials warned they would not tolerate political gatherings or rallies before the final results were known. Even before voting ended, Mousavi held a news conference to declare himself "definitely the winner" based on "all indications from all over Iran." But he gave nothing more to back up his claim and alleged widespread voting irregularities without giving specifics.
ムサビの急伸を隠蔽するアフマディ政権
イラン警察の公安では「投票の最終結果がわかるまでは、いかなる政治集会もキャンペーンも開く事は許可しない」という警告を発した。こうした波乱含みの投票日にあって、ムサビ候補は投票締切り時間よりも前に記者会見を開き、「イラン全土からの指標が示すとおり」彼自身に対して「当選確実」を宣言した。しかしながらムサビ候補は、その根拠となる実質的証拠を示さず、広汎に行なわれたと噂される選挙違反に関して、特定の事例も挙げなかった。
5. Reversed gain from the pre-vote poll
Moments after Mousavi spoke, however, Iran's state news agency reported that Ahmadinejad was the victor. The report by the Islamic Republic News Agency also gave no details. With more than 10 million votes counted, Ahmadinejad had 68.8 percent and Mousavi had 28.8 percent, said Kamran Daneshjoo, a senior officials with the Interior Ministry, which oversees the voting.
投票前のデータを反転する開票途中結果
ムサビ候補の記者会見から数分と経たずして、今度はイランの国営テレビ局が「アフマディネジャドが勝者」と告げる臨時ニュースを流した。イスラム共和国ニュース局の報道でもまた、勝利の詳細は明らかにされなかった。報道された時点での開票結果では、1千万を越える投票総数のうち、アフマディネジャドの得票率が68.8%でムサビ候補は28.8%と、内務省のカムラン・ダネジジュー選挙対策局長から発表されただけで、それ以上の詳しい説明はなかった。
6. Official report lack of transparent details
It was not reported whether the results were from locations considered Ahmadinejad strongholds or where Mousavi hoped to make headway. The turnout was not immediately known, but election officials had predicted a possible record among the 46.2 million eligible voters. If true, that could make the 10 million votes in the neighborhood of 20 percent.
不透明で釈然としない開票報告
現在までの政府発表では、開票結果がアフマディネジャドの票田である地方部からなのか、ムサビ候補が優勢な都市部からなのかさえ明らかにされなかった。
正確な開票結果がすぐには判らないとはいうものの、イラン国民の総有権者数4,620万人のうち、実際に投票した割合である投票率は、多分史上最高の記録になるだろうと予測していた。もしその通りになれば、総数の2割前後でも1千万人以上の票を獲得したことになる。
7. Disrupted communications across Iran
During the voting, some communications across Iran were disrupted — Internet connections slowed dramatically in some spots, affecting the operations of news organizations including The Associated Press, and some pro-Mousavi Web sites were blocked. It was not clear what had caused the disruptions.
イラン全域で遮断された電話とネット回線
一方、投票時間の間中、イラン国内全域でコミュニケーション回線が遮断される現象が起きた。数カ所の特定地域でインターネットの接続が極端に遅くなったために、AP通信も含めたテヘラン駐在の各国ニュースメディアが報道通信に支障をきたしたり、ムサビ支持者のサイトやブログがアクセス不能になるなどの電波妨害が起きた。こうした一連の通信妨害の原因が何だったのかは明らかにされていない。
8. 'Green tsunami' by high turnout
Text messaging was also cut off. A high turnout was expected to help Mousavi, who is counting on an outpouring from what's been called his "green tsunami" — the signature color of his campaign and the new banner for reformists seeking wider liberties at home and a gentler face for Iran abroad.
「グリーンの津波」で空前の投票率
テキストメッセージのネットワークも、投票日の終日遮断された。しかしながら「グリーンの津波」と異名をとる改革派ムサビ候補の民主化キャンペーン、グリーン革命の盛り上がりで空前の有権者が投票所に向かうだろうと予測されていた。グリーンは彼のキャンペーンのシンボルカラーであり、イラン国内の社会の民主化と、国際社会でのイランの外交姿勢を穏健に戻すことを標榜する、改革派の新しい旗色である。
9. Real power players behind government
The president does not have the power to direct high-level policies, which are dictated solely by the ruling clerics. But the election focused on what the office can influence: boosting Iran's sinking economy, pressing for greater media and political freedoms, and being Iran's main envoy to the world.
政権の陰に厳然と控える真の支配者
イランでは大統領職は、政策立案者として最高の権限を握っている訳ではない。国家の方針を決定するのは、ひとえにイラン宗教界の最高位にある一握りのイスラム教僧侶の手に委ねられている。
とはいうものの、選挙では各候補とも、内閣が影響力を持つ政策に焦点を合わせた公約を掲げていた。沈滞するイラン経済の復興、報道と政治活動のより広範な自由、そして国際社会で活躍するイラン外交の主役となること、などである。 >次号「イランのグリーン革命・第2章」へ続く
【 米国時間 2009年6月12日 『米流時評』ysbee訳 】
◀ 次号「6.13 テヘランの天安門事件 イランの流した血と汗と涙」
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by ysbee-2
| 2009-06-12 12:28
| イランのグリーン革命