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米流時評

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イラン 革命のレミニッセンス 序章

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  ||| イラン・革命のレミニッセンス 序章 |||

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 歴史は繰り返す? イランのグリーン革命と'79イスラム革命の類似点・相違点
 東欧カラー革命との共通点:全体主義への訣別 相違点:米国は介入せず傍観


d0123476_6494986.jpg今回の蜂起を「CIAの陰謀」と主張する連中は、
弾圧とか「自由ということ」の本当の意味がわかっていないのでしょう。
そういう安直な決めつけを、米国では五万とある陰謀論の中でも、
「何でもCIA 陰謀論=CIA conspiracy theory」とカテゴリ分けしています。

 もちろん、本物の陰謀や煽動行為も実在するのは、
 元諜報員や当事者の回顧録などでおなじみですが、
 すべてCIAとかイルミナティのせいにすると、そこで思考停止に陥ってしまい
 それ以上の問題点や紛糾の背景を 追求する姿勢を放棄して、
 本来、解決すべき焦点を見失ってしまうことになると思います。
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 革命とは、米国が独立国家として新生するよりもはるか以前から、
 民衆の力が、時の権力の圧政や弾圧を克服するために、
 より開かれた新しい社会を求める「連帯する運動」として生まれてきたものであり、
 そういった絶対権力に対抗する人民蜂起は、人類の集落の歴史とともに存在します。

 しかし今日紹介するのは、近代史の中でも比較的新しいページ。
 フランス革命、アメリカ独立革命、ロシア革命.....
 といった古典的な革命の時代から、さらに下った20世紀の後半、
 79年のイランのイスラム革命と、さらに90年代の東欧の一連のカラー革命。
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 これらの社会改革と、現在イランで進行中の民主化運動との
 共通点と相違点を、国際時事に関して卓越した洞察を重ねる
 ファリード・ザカリアが、比較分析して明らかにした時事評論。

 特に「米国の介入の有無」が決定的に異なるという
 それぞれの革命の陰影を浮き彫りにしてみせる、
 新旧世代のイラン革命に論及した、秀逸な時評です。

【 米国時間2009年7月1日『米流時評』ysbee 】
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*読者の皆さんへ、先々週から連載しているイランの大統領選後の弾圧と虐殺の報道ですが、
 日本へは詳しく伝えられていない事実を知ってもらうために、コピーで広めてください。
 写真の転載も「米流時評から」と、キャプションかリンクをつけてくだされば結構です。


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   JULY 1, 2009 | 『米 流 時 評』 |  時事評論ブログ雑誌・デイリー版  2009年7月1日号
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 N E W S W E E K | Z A K A R I A
The Wall Isn't Falling - Part 1
JUNE 27, 2009 | By Fareed Zakaria — NEWSWEEK | Translation by ysbee
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イラン 革命のレミニッセンス ファリード・ザカリア中東時評
米国時間2009年6月27日 | By ファリード・ザカリア/ニューズウィーク | 訳『米流時評』ysbee


1. Revolution revisited
Whenever we see the kinds of images that have been coming out of Iran over the past two weeks, we tend to think back to 1979 and Eastern Europe. That time, when people took to the streets and challenged their governments, those seemingly stable regimes proved to be hollow and quickly collapsed. What emerged was liberal democracy.
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テヘラン市中央のアザディストリート=自由通りをデモ行進する群衆 左が79年、右が先月13日の200万人デモ

革命のレミニッセンス

ここ2週間というもの、動乱のイランから時々刻々と上がってくる一般市民が撮った現場の写真やビデオのぶれた映像を目にするたびに、1979年のイランのイスラム革命と、90年代の東欧民主化のカラー革命を思い起こさずにはいられない。
当時もまた一般市民の群衆が大挙して通りへ繰り出し、旧体制の政府に挑戦して闘った。革命時点の体制側は、権力の座にしがみつく空疎な存在である事実をさらけ出したが最後、一挙に崩壊した。こうして民衆側からわき上がったパワーこそ、本物のリベラルな民主主義だった。
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このページトップの写真と上のモノクロの写真はいずれもテヘランのアザディスクエア=自由広場に集まった群衆
トップは先月13日のデモ、上は79年のイスラム革命時の写真。革命精神はイラン人の血の中に流れているようだ


2. Fatal wound for the regime

Could Iran yet undergo its own velvet revolution? It's possible but unlikely. While the regime's legitimacy has cracked—a fatal wound in the long run—for now it will probably be able to use its guns and money to consolidate power.
イスラム旧体制への致命傷となるか
しかし、現在イランは果たして、この国独自のベルベットリボルーションを実現しつつあるのだろうか? 正直言って、その可能性はあるとしても望み薄だ。ただし、現政権の正当性にひびが入ったのはたしかである……しかも、長期的に見れば致命的な痛手だ。
アフマディネジャド=ハメネイの体制側としては、分裂の危機に直面した権力機構を統一するために、おそらく当座の措置として、弾圧の武力行使と買収の資金ばらまきが続くだろう。
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テヘランは人口2千万を越える近代的大都市 4年間で25%のインフレ高騰と失業率15%でアフマディ人気は失墜

3. Oil-rich economy for three decades

And it has plenty of both. Remember, the price of oil was less than $20 a barrel back in 1979. It is currently $69.
中東石油産出国30年の繁栄
テヘランの政権側は、武力・資金力のどちらも豊富に備えている。30年前のオイルショックを覚えておいでだろうか。1979年のイスラム革命が起きる直前までは、原油価格は1バレル当たりわずか20ドルにも満たなかった。それが今では69ドルだ。
(注:その間の値上がりでイラン政府に蓄積された石油貿易の歳入を考慮すれば、国家としての資金源がいかに潤ったかの見当がつく、という示唆。)
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12日に投票、13日に開票の直後からアフマディネジャド現政権の不正糾弾を叫ぶデモが続き、弾圧がそれを追う

4. Three forces in the modern world

More important, as Zbigniew Brzezinski has pointed out, 1979 was highly unusual. As a historical precedent, it has not proved a useful guide to other antidictatorial movements. The three most powerful forces in the modern world are democracy, religion, and national-ism. In 1989 in Eastern Europe, all three were arrayed against the ruling regimes.
近代社会変革の三大要因
さらに重要なことは、オバマの外交顧問であるズビグニュー・ブレジンスキーも指摘しているように、1979年はきわめて異質な変革であった。歴史の先例を振り返ってみても、旧来の反体制的社会運動の中で、手引きになるような参考例は存在しなかった。
近代の世界を構成している3つの強大な勢力は、民主主義、宗教、そしてナショナリズムである。89年の東欧では、これら3つの要因が一致団結して、旧体制に歯向かうパワーとなった。
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5. Never underestimate the power of history

Citizens hated their governments because they deprived people of liberty and political participation. Believers despised communist leaders because they were atheistic, banning religion in countries where faith was deeply cherished.
歴史を甘く見てはいけない
当時ソビエト連邦の共産党体制下で盟邦国だった東欧諸国の一般市民は、ソ連の傀儡である自国の政府を嫌っていた。なぜなら、ひとびとが本来所有している社会的自由と政治参画の基本的権利を、体制側が剥奪したからだ。もともと信仰がその土地の歴史に深く根ざした地域では、無神論で宗教活動を禁じる共産主義は、信心深い市民からは蔑視された。
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バラ革命:2003年グルジア共和国で、親ロシアの旧体制に反抗する親米派サアカシビリが主導した改革運動

6. Back in U.S.S.R.

And people rejected their regimes because they were seen as having been imposed from the outside by a much--disliked imperial power, the Soviet Union.
ソビエト連邦の壮大なる崩壊
さらには、はるかに強大な絶対権力と化してしまった政権は、(連邦加盟国として搾取されるばかりで恩恵に与らなかった東ヨーロッパ諸国では、モスクワ流の共産主義は「反民主的」で)一般民衆からは「外部から強制された新たな絶対権力」と受け止められたために、革命で打ち倒したロシア皇帝の旧体制よりも、もっと嫌われる結果を招いた。
これが、ソビエト連邦である。
(注:東欧の大部分が旧東ローマ帝国のギリシャ正教圏であり、信心深い国民性で共通していた歴史を振り返れば、千年以上の宗教心を漂白することは土台無理な押しつけの近代化政策だった。)
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オレンジ革命:2004年不正選挙に抗議してウクライナの首都キエフ中央の広場に集まった、ユフチェンコ支持の群衆

7. More complex than color revolution

The situation in Iran is more complex. Democracy clearly works against this repressive regime. The forces of religion, however, are not so easily aligned against it. Many, possibly most, Iranians appear to be fed up with theocracy.
カラー革命よりも複雑な社会背景
イランの現状は、東欧のカラー革命時代の社会状況よりもさらに複雑で難解だ。もちろん、民主主義は明らかに、弾圧体制をとる現行の政権に立ち向かうにはおあつらえの思想である。しかしながら、ほかの中東各国は、そう簡単にこの社会改革的な波に連なって加担しようとはしない。その多くが、いやむしろほとんどの中東諸国が、今回の社会不安を「イラン人は宗教独裁政治にうんざりしているからだ」と解釈している。
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8. Fatwa may collapse the regime

But that does not mean they are fed up with religion. It does appear that the more openly devout Iranians—the poor, the rural—voted for President Mahmoud Ahmadinejad. There is one way religion could be used against Iran's leaders, but it would involve an unlikely scenario.
隠れたもうひとつの意外なシナリオ
しかし、それがそのままイスラム教そのものへの幻滅にはつながらない。それどころか逆にイランでは、地方の貧しい階級の信心深いイラン人ほど、マフムード・アフマディネジャド大統領に票を投じたのが事実である。
宗教は、イランの指導者に対向して用いられる攻撃手段のひとつだと言えるかも知れないが、今回のイランの展開にはさらにもうひとつの意外なシナリオが内包されているように見える。
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9. Issuing fatwa may collapse regime

Were Iraq-based Grand Ayatollah Ali al-Sistani to issue a fatwa condemning Tehran in any way, it would be a seismic event, probably resulting in the regime's collapse. Remember, Sistani is Iranian, probably more revered in the entire Shia world than any other ayatollah.
現体制崩壊の鍵を握る重要人物
その鍵を握る人物は、イラクに亡命している全イスラム教徒の最高指導者、アヤトヤ・アリ・アル・シスタニ大師である。万一彼が、テヘランの現行政府を弾劾し、ファトワ(fatwa=聖戦)を宣言すれば、一も二もなく多分現体制はたちまち崩壊する。忘れていけないのは、シスタニ大師はイラン人であり、シーア派イスラム教の世界では、アヤトラを冠するいかなる高僧たちよりも、信者から崇拝されているという事実である。
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 >次号 後編へ続く
【 米国時間 2009年7月1日 『米流時評』ysbee訳 】

◀ 次号 7/02「テヘラン・自由への行進 革命のレミニッセンス第1章」

d0123476_10513847.jpg10. シスタニの教条:イスラム革命とは反対の「政教分離」
11. 米国の傀儡パーレビ国王を国外追放に
12. イスラム革命とイラン・イラク戦争
13. ネオコンの新世界秩序 対 アーリアンナショナリズム
14. 米国極右勢力のゲリラ活動資金
15. 愛国心を甘く見た米国の過去の失敗
16. イラク:国家と占領軍のはざまで
17. 占領国家元首のサバイバル方法論
18. 革命の成功は常に民衆にあり

▶ 前号「潮目となるか? テヘラン決死の5千人デモ」

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by ysbee-2 | 2009-07-01 17:35 | イランのグリーン革命
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