米流時評

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2007年 12月 28日 ( 1 )

パキスタン現地悲報「ブット暗殺の衝撃」

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    ||| ベナジル・ブット暗殺の衝撃 |||
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パキスタン人が現地で伝える「ベナジル・ブット暗殺」の悲報と衝撃
父親は処刑、弟は謎の事故死と毒殺、悲劇のブット家最後のヒロイン


2007年12月27日 | アディル・ナジャム/Pakistaniat.com | 『米流時評』ysbee 訳
前号「序章 ブットの暗殺/テロ戦争と核と米国政治」からの続き

パキスタン・イスラマバード発 |たった今、PPPパキスタン人民党党首のベナジル・ブット元首相が、ラワルピンジでテロリストの襲撃により殺されたという臨時ニュースが入った。彼女は暗殺者の凶弾に倒れ、その直後に犯人は自爆して死んだと言う。
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Benazir Bhutto Assassinated
By Adil Najam — Pakistaniat.com | Translation by ysbee
December 27, 2007 — News is just breaking that former Prime Minister and head of the Pakistan People’s Party, Benazir Bhutto was killed in Rawalpindi in a terrorist attack. She was gunned down by an assasin who then blew himself up in a suicide attack.

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DECEMBER 27, 2007 | 米 流 時 評 | ブログ雑誌『 楽園通信』デイリー版f0127501_6213945.jpg
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パキスタン人が現地から伝える「ベナジル・ブット暗殺」の衝撃
現地時間 2007年12月27日午後7時 | アディル・ナジャム/Pakistaniat.com | 『米流時評』ysbee 訳

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1. 'Destination assassinated'd0123476_1384570.jpg
This happened at the end of her rally in Liaquat Bagh, Rawalpindi; the same place where Liaqat Ali Khan, Pakistan’s first Prime Minister was assassinated. Major news networks are now reporting that following bomb blasts at Benazir Bhutto’s rally in Rawalpindi, shots were fired directly targeting her. Her husband, Asif Ali Zardari says that one of these shots hit her in the neck and killed her.
初代首相と同じ場所で暗殺
事件は、ラワルピンジのリアカット・バグで行なわれた彼女の選挙遊説の最後に起きた。この場所は、パキスタン最初の首相であるリアカット・アリ・カーンが暗殺された因縁の場所である。メジャーなニュースメディアは、現在ラワルピンジでのブットの選挙カー爆破直後と犯人に彼女が直接撃たれた映像を流している。彼女の夫であるアシフ・アリ・ザルダリ氏は、数発の銃弾のひとつが彼女の首に命中して殺されたと語っている。
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1月5日の投票日を前にパキスタン全土を遊説中だったブット ラワルピンジ暗殺直前の映像:CNNと現地のPTV

2. According to early BBC reports
"Pakistani former Prime Minister Benazir Bhutto has been killed in a presumed suicide attack, a military spokesman has announced on TV. Earlier reports said Ms Bhutto had only been injured and taken to hospital. Ms Bhutto had just addressed a pre-election rally in the town of Rawalpindi when the bomb went off. At least 15 other people are reported killed in the attack and several more were injured. Ms Bhutto had twice been the country’s prime minister. She was campaigning ahead of elections due in January."
BBCの臨時ニュース第一報
「バキスタンの元首相ベナジル・ブット氏は、自爆テロの襲撃と思われる原因で暗殺されたと、パキスタン政府軍広報官が国営テレビ放送を介して発表。当初の発表では、ブット女史は負傷した状態で病院へ運び込まれたと報告された。報告によると、ブット女史はラワルピンジの市街地で首相選挙予備選の集会で演説の最中に、爆発が起き、現場で巻き添えになった15人が死亡。ほかにも多くのブット支援の市民が負傷した模様。ブット女史は過去においてパキスタンの首相に2度選出されている。彼女は1月に予定されている選挙に先駆けて全国を遊説中であった。」
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自爆テロ爆破直後の現場写真 Getty Imagesのジョン・ムーアの凄まじい写真はここではとてもお見せできない

3. "At 6:16 p.m. she expired"
"The explosion occurred close to an entrance gate of the park in Rawalpindi where Ms Bhutto had been speaking. Benazir Bhutto had been addressing rallies in many parts of Pakistan. PPP spokesman Farhatullah Babar initially said that Ms Bhutto was safe. But later he told the BBC that Ms Bhutto had died. Another member of the PPP, Wasif Ali Khan, told the Associated Press news agency from the Rawalpindi General Hospital: “At 6:16 pm (1316 GMT) she expired.”
「死亡時刻午後6時16分」
BBCニュース第1報続き「爆発は、ブット女史が演説をしていたラワルピンジの公園への入口ゲート付近で起った。ベナジル・ブット氏はパキスタン国内の各地で選挙運動の遊説中であった。
彼女が党首を務めるPPPパキスタン人民党のスポークスマン、ファラチュラー・ババール氏は、当初ブット女史は大丈夫だと語っていた。しかしその後彼は前言を翻し、BBCの取材に対して「ブット女史は亡くなった」と答えた。同党の他のメンバー、ワシフ・アリ・カーン氏は、ブット女史が収容されたラワルピンジの病院から、AP通信の取材に応えてこう発表した。「午後6時16分に彼女は息を引きとりました。」
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狙撃、自爆と続いた暗殺テロ直後の現場の目撃者たち 「Disbelief=信じられない」という表情が全てを物語る

4. Pakistanis numb with shock and grief
I, like most Pakistanis, am still too numb with shock and grief to think coherently about what has happened or what the implications of this are for teh country and for the world. But this I know, whether you agreed with her political positions or not you cannot but be in shock. Even as I type these lines I am literally shaking. Hers was a tragic life story. So tragic that had it not been real no one would have believed it.
パキスタン国民を襲った衝撃
私(筆者アディル・ナジャム)は今、ほとんどのパキスタン人と同様、いったい何が起ったのか、この出来事がパキスタンにそして世界にとってどういう影響を及ぼすのかについて考えをまとめるにはあまりにも衝撃が大きく、悲しみに打ちのめされている。しかしこれだけは言えると思うのは、ブット女史の政治的立場に賛同しようとしまいと、誰もこのショックから無縁でいることは不可能だということである。今こうして文章をタイプしている最中でも、私の身体は文字通り驚愕で震えている。彼女の人生はまさに悲劇的な一生であった。あまりにも数多くの悲劇に彩られているので、誰も現実に起ったこととは思えないくらいだ。
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国民からは米国傀儡の「ブシャラフ」と嘲笑される独裁者 軍属を離れ戒厳令も解除したが またもや政治危機が

5. Endless questions
At this point all sorts of thoughts float through the politics of this. Why did this happen? Why was it not stopped? What could have been done to stop this senseless murder? Maybe she should not have come back? Who did this? What will this mean for the elections? What will this mean for the PPP? What will this mean for Gen. Musharraf? What will this mean for Pakistan? But all of these are paled by thoughts about Benazir as a person. The woman. The wife. The mother. The human being. What about her?
限りなく浮上する疑問
今の時点ではこの事件を政治的に分析できず、ありとあらゆる想念がとりとめもなく浮んでくる。……なぜこんなことが起きたのか? なんで止められなかったのか? この無意味な「殺人」を阻止する手段があったのではないか? もしかしたら彼女は帰国しなかった方がよかったのかも? 選挙はどうなるんだろう?(彼女が党首だった)PPPパキスタン人民党はどうなる? この事件はムシャラフにとってどんな意味があるのか? パキスタンにとっては?………
しかしこれらすべての疑問も、一個人としてのベナジルを振り返ったとき、みな色褪せる。ひとりの女であり、妻であり、母親であり、生身の人間だったブット。彼女の人生とはいったい何だったのだろうか?
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パキスタン民主化への希望を担っていたが享年54才で悼ましい死を遂げたベナジル・ブット元首相 中産階級から底辺の貧民層まで国民の幅広い支持を得ていた 彼女以上のカリスマを持つ政治家は現在のパキスタンには存在しない

6. Respect for her political courage
I have not always agreed with her politically but there was always a respect for her political courage. I had met her many times, first as a journalist covering her when she had just returned to Pakistan in the Zia era and before she became Prime Minister. Later a number of times in her two stints as Prime Minister and then a few times during her exile. In that last period she toll to referring to me as “Professor sahib” and some of our exchanges were more candid (at least on my part) than they had been earlier.
ブットの勇気に対する尊敬
私は政治的見地に立てば、ブット女史の意見にはいつ何どきでも賛同するとは限らないが、彼女の政治の舞台での「勇気」に対しては、常に尊敬を払わずにはいられない。過去に何度も直接お会いしているが、私が初めてジャーナリストとして彼女を取材したのはZia政権時代で、彼女が丁度パキスタンへ帰国し首相に選出される直前の頃だった。その後2度選出された首相在任期間中には何度も、その後の亡命期間中にも数回取材している。その最後の亡命時代には、彼女は会うたびに「サヒブ教授」を彷彿とさせた。取材の最中のやりとりも(あくまで私の受けとった限りだが)それ以前の首相時代よりも格段にストレートで率直な物言いになったように感じられたものである。
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7. Mother of all the tragedies
At a human level this is a tragedy like no other. Only a few days ago I was mentioning to someone that the single most tragic person in all of Pakistan — maybe all the world — is Nusrat Bhutto. Benazir’s mother. Think about it. Her husband, killed. One son alledgedly poisoned. Another son assasinated. Daughter rises to be Prime Minister twice, but jailed, exiled, and finally gunned down.
Today, in shock, I can think only of Benazir Bhutto the human being. Tomorrow, maybe, I will think of politics.

ベナジルの悲劇の母
人間的に受け止めれば、今回の事件ほど悲劇的なものはない。ほんの数日前、私はあるひとにこう言ったばかりだった。「全てのパキスタン人の中で、いえもしかしたら世界中で、もっとも悲劇的な人物をひとり挙げるとすれば、それはヌスラット・ブットだわ」彼女はベナジルの母親である。考えても見てください。彼女の夫は殺された。(政敵に投獄され絞首刑)息子のひとりは毒殺された疑いがある。もうひとりの息子は暗殺された。そして長女のベナジルも父の遺志を継いで政治家の道を歩み、2度も首相に選ばれた挙句に、投獄され、亡命して、最後には凶弾に倒れた。
今日こうしてショックのただ中にあっては、私はベナジル・ブットをひとりの人間としてしか考えられない。明日になったら、多分政治家として振り返るだろうけれども。 [了]

【米国時間 2007年12月27日 『米流時評』ysbee 訳】
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家族旅行で、左から時計回りに母親ヌスラット、下の弟、父親ズルフィカール・アリ・ブット、ベナジル、妹、上の弟

»» 次号「第2章 暗殺で激変するパキスタンの政情」へ
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by ysbee-2 | 2007-12-28 08:30 | パキスタン戒厳令の季節
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