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バルチスタンの悲劇・地震続報被災者レポート

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   ||| バルチスタンの悲劇・現地報告 |||

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パキスタン中央政府に見捨てられた地震の被災地は、核実験の現場だった
地震に続く飢えと寒さと闘う、パキスタン西部被災地のバルチスタン住民


d0123476_3532373.jpg【まえがき】 バルチスタン地方の特殊事情
パキスタンの南西部バルチスタンは、アレクサンダー大王の大遠征の時代から、東の王国と西の帝国の勢力がぶつかりあう戦場となってきた歴史的要衝である。この地方はインドの影響を受け継ぐ東南部のパンジャブ地方とは一線を引き、ペルシャ文明やアラブ文化、アフガンの影響を受けたバローチ人の土地である。

地勢的には、前の記事でも叙述したように、ユーラシア大陸とインド亜大陸の地殻が衝突してできた地域で、このため地殻変動が激しくイランなどと同様に大規模な地震の頻発地帯である。1935年には3万人が、2005年には8万人が犠牲になる大地震が発生した大いなる災禍の歴史を、その険しい地形に刻んでいる。
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面積ではパキスタン全土の4割という西南部の広大な部分を占めるが、地域人口に占める割合では土着のバローチ人は5%を占めるに過ぎない。希少金属(銅・金・ウラン)や石炭・天然ガスなどの地下資源が豊富だが、すべてイスラマバードの中央政府にとりしきられ、地元に落ちる利益は少ない典型的な「国家収奪の構図」が見られる。パキスタンの政治経済の中枢を掌握するパンジャブ人(インド系)に押しやられたバローチ人は、昔ながらの粗放農業の極端に貧しい生活を強いられている。従ってパキスタン中央政府には反抗的で、昔から独立運動が盛んな土地でもある。

昨日のエントリーの最後にパキスタン中央政府の国家災害管理局長の発言が出てきて驚いた。「神のご加護に感謝します(2005年の地震よりは被害が少なくて済んだという意味か?)今回の地震はローカルの問題です。我が国の範疇で処理できるでしょう」と明言して、暗に内政干渉はしないでくれとでも言うように、外国政府の救援の申し出を断っている。確か05年の大地震の際も、同様に海外援助を断って話題になったと覚えている。
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つまりどうも中央政府は、このバルチスタン地方(現地語での発音はバロチスタンに近い)の原住民バローチ人が、飢えようが凍えようが、どうなろうと知ったこっちゃない……というように受け取れる発言なのである。まさか地震をいい隠れ蓑にして、反政府の独立主義運動が根付いているバルチスタンの、異民族の「間引き」をしようと画策しているのではないだろうか? いや逆に、策を施さない。放置する……ヒマラヤ山地の極寒の荒地にあっては、為政者の怠慢が大量殺戮につながる格好のケースである。

こういう疑惑がふつふつと湧いていたら、今日のAP通信の記事でもやはりその点を指摘していた。しかも、バルチスタンの政治的背景をネットの資料で色々探っているうちに、これはっ!と思う10年前の別の記事に行き当たった。それらを一気に翻訳してアップしたいのだが、今日はちと大事な行事が日中あるので、帰宅してからの作業になる。
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まず先にAP通信の記事からお届けするが、その中で特筆するべきは、パキスタンの中央政府と被災地のバルチスタンの乖離分裂が甚だしいということ。その搾取と弾圧の構図は、まるで北京の共産党政府とチベットの民族自治区の関係を彷彿とさせる。さらに驚いたのは、この地域がパキスタンの核実験の現場であったと言う事。この点ではまさに、中共と東トルキスタンの関係である。なるほど、反政府の独立運動が起きるわけである。

さらには、昨日の記事の最後にもあったように、バルチスタンの地元の知事たちの切実な訴えとは裏腹に「国際的救援までは必要ではない」と断言する冷酷な政府官僚の独断。この一言が、バルチスタン地方の住民に対するパキスタン中央政府の棄民政策、差別冷遇と執拗な敵意を言外に物語っているようである。昨日のエントリーの続報、被災地バロチスタンレポートを紹介します。

[米国時間 2008年10月30日『米流時評』ysbee]

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OCTOBER 30, 2008 | 『米 流 時 評』 |  時事評論ブログ雑誌・デイリー版 2008年10/30号
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ASSOCIATED PRESS | B R E A K I N G
パキスタン地震続報:飢えと寒さと闘うバルチスタン被災者レポート
米国時間 2008年10月30日午後2時17分 | AP通信・バルチスタン支局発 | 訳『米流時評』ysbee

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Kids in Pakistan Quake Beg for Food, Warmth
Death toll in Pakistan quake rises to 215; officials scramble to aid homeless
OCTOBER 30, 2008 | Associated Press — BREAKING | Translation by ysbee
WAM, Pakistan — Children begged for food from trucks passing through Pakistan's quake zone Thursday as the death toll rose to 215 and survivors prepared for another frigid night camped out amid wrecked mountain villages.

地震の犠牲者215名に、家屋全壊2千戸
パキスタン・ワム村発 |パキスタン西部に地震があった翌日の30日木曜、被災地のバルチスタン地方ジアラットの奥地へとトラックが進む道の両脇には、食べ物を物乞いする子供たちが並び手を差し出す。今日までにわかっただけでも、死者の数は215名に増えた。地震で跡形もなくなった家に住めなくなった村人たちは、避難民用のテント村の焚き火を囲んで、二晩目の凍てつく寒さの夜を迎えようとしている。
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クエッタ州ワムの村落 地震で家が壊滅して二晩目の夕方、凍てつく大地の上で焚き火で暖をとる被災者たち

2. Military, foreign groups distributed aid

Soldiers and foreign aid groups distributed blankets, warm clothes and tents, in Baluchistan province, near the Afghan border, but many among the estimated 15,000 homeless complained of receiving little help. "The earthquake destroyed our houses, but now the government's slow response is killing us," said Moosa Kaleem, sitting with his wife and four children in the town of Ziarat. "We cannot spend another night in this chilling weather, especially the kids."
軍隊と海外救援団体が現地入り
パキスタン政府陸軍の兵士と海外からの救援団体は、テントや毛布、暖かい衣服を、アフガニスタンとの国境に近いバルチスタンの村々で支給し始めた。しかし、今回の地震で家を失った住民は1万5千人にものぼり、しかもその多くが、救援物資はほとんど届いていないと訴える。
「地震は私たちの家を破壊した。しかし今や政府ののろのろとした対応が、私たちを殺そうとしている」ジアラット郊外の道端で妻と4人の子どもと一緒にうずくまりながら、住民のひとりムーサ・カリームさんはこう語った。「この凍りつくような寒さの野外では、とてももう一晩過ごすなんてできないよ。特に子供たちには無理だ」
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ジアラットの町の郊外に散在する8つの過疎の村のひとつ、ワム村で被災者用テントを張る政府軍兵士

3. Fueling anti-government sentiment

A poorly managed aid effort in Baluchistan could add to anti-government sentiment as the country's new leaders battle violence by Islamist extremists and try to fix mounting economic problems. The region is home to a separatist movement but has been spared the level of militant influence and violence seen in other tribal areas along the Afghan border.
乏しい救援の手に政府への憤り
バルチスタン/バロチスタン地方での中央政府の救援活動のまずさは、この地域の反政府的感情をさらにいっそう高めてしまったようだ。それは、新しく選出された政権がイスラム過激派によるテロ行為を掃討し、山積している経済問題を治めようと努力している最中にあっては、逆効果である。このバルチスタン地方は、爾来独立分離主義者の古巣であるとはいうものの、タリバンやアルカイダなどの叛徒の影響とテロ行為の激しさは、アフガンとの国境地帯の他の地域、北ワジリスタン州ほどにはいたっていなかった。
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バルチスタンに到着した政府軍兵士が開始した被災者登録 独立派の洗い出しにもなる

4. Crisis for legitimacy of militia groups

Members of hard-line Islamist political parties and groups, including one listed by the United States as a terrorist organization, were among the first to aid quake victims. The same groups helped out in the aftermath of a quake that killed 80,000 people in Kashmir and northern Pakistan in 2005, something analysts say gave them added legitimacy.
災害の危機に独立派が勢力拡大へ
イスラム強硬派の政党や過激派組織のメンバーは、米国務省のブラックリストで認証されている1テログループも含めて、今回の地震の被災者救援へと真っ先に駆けつけた団体である。2005年のパキスタン北部・カシミール大地震は8万人の犠牲者を出した大災害だったが、地震が襲った直後にも今回と同じ団体が救援にあたり、識者の分析ではこの時の迅速な救援活動で、過激派の組織が地元での社会的評価を獲得したと解釈している。
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29日朝、地震で犠牲になった子供たちを悼む父親/家が全壊し家財一切を失い嘆くジアラットの村民

5. Urgent need for shelter, warm clothes

Aid groups said emergency shelter and warm clothing were urgently needed. Temperatures are close to freezing in the worst-affected areas more than 6,561 feet above sea level. Dozens of children lined main roads in the region running after trucks in the hope of being thrown food. "I am hungry, my mother is hungry," said 9-year-old Zarin Gull. "We must get food. We last ate yesterday evening."
緊急に必要なテント、毛布、防寒衣料
救援団体の報告によると、被災者用の緊急収容施設と暖かい衣服が今すぐ必要だと訴えている。被害の激甚だった地域は、海抜2,000メートルという標高にあり、現在の気温はほとんど氷点下に近い。何十人もの住民の子供たちは、この地域の主要道の道端に列をつくり、トラックが通るたびに食べ物を投げてもらおうという一縷の望みをもって、そのあとを追いかける。その中のひとり、9才のザリン・ガル少年はこう訴える。
「おなかがぺこぺこだ。僕のお母さんも、地震からずっと何も食べていない。どうにかして食べ物を手に入れなくちゃ。最後に食べたのは昨日の夕方だったよ。」
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バルチスタン地方はヒマラヤやヒンドゥークシの山麓の高山地帯で、11月はすでに極寒の真冬の気候

6. Acute need for aid and shelters

The need for shelter was specially acute because many people, whose homes were untouched or only partially damaged, were choosing to sleep outdoors for fear of aftershocks. Local officials and lawmakers repeatedly called on the central government and international community to provide more help.
極寒の冬に備える収容施設を
なんといっても被災者を収容する収容施設が最優先するべき緊急課題である。その理由は、この地域ではたとえ地震で崩れなかった家であっても、住民はいまだに余震を恐れて屋外で眠るようになったからである。州政府の役人や政治家は、被災地へのもっと大規模な救援の手を求めて、中央政府や国際社会に繰り返し窮状を訴えている。
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バルチスタンの冬は早い。ヒマラヤ、カラコルム、ヒンドゥークシと世界の屋根が連なる世界有数の山岳地帯

7. 'Nobody has anything to eat and drink'

Provincial government minister Zamrak Khan said 215 people died and hospitals were still treating dozens of people who were seriously injured in the 6.4-magnitude quake that struck before dawn Wednesday. "It is a complete emergency here. Nobody has anything to eat and drink," said Ziarat Mayor Dilawar Kakar. "We need a lot of resources to reconstruct, and stabilize these trauma stricken people."
切実な窮乏を訴える地元知事
バルチスタン州政府のザマルク・カーン知事は、水曜の夜明け前に起きたマグニチュード6.4の強震による犠牲者は死者215人以上で、数十人の重傷者はいまだに入院中であると記者会見で発表した。またジアラット広域町村自治体のディラワル・カカール市長は、次のように援助を求めた。
「ここは完全な非常事態です。住民の誰ひとりとして、食べ物も飲み物も持っていません。地震のショックで打ちのめされている住民がまともに暮らすためにも、震災の復興に取りかかるためにも、多大な財源を必要としています」
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バルチスタンの州都ケッタの町から95キロ北のワムの村落に急設された被災者用テント村 焚き火で唯一の暖をとる

8. Islamabad cope without a big aid

The U.N. World Food Program pledged to supply two months worth of emergency rations for those displaced by the disaster, while the Red Cross was distributing 2,500 tents. Baluchistan's capital, Quetta, was devastated by a 7.5-magnitude temblor in 1935 that killed more than 30,000 people. Countries including the United States and Germany have offered to help with the latest disaster. However, officials say they can cope without a big international aid effort.
国際的救援に消極的な中央政府
WFP=国連世界食糧計画では、地震によって屋外に避難せざるをえなかった被災者用に、2か月分の非常食糧を配給することを決定。また国際赤十字では、被災者用のテント2500張を現地に配給した。バルチスタン地方の州都クエッタでは、かつて1935年にも3万人の死者を出したマグニチュード7.5の激震で、壊滅的な被害を受けた過去を有するが、今回の地震に際しては、米国やドイツを筆頭に世界各国から救援の手が差し伸べられた。しかしながらパキスタンの中央政府は、大規模な国際的支援がなくてもパキスタンの内政問題として処理できると明言し、その申し出を不要としているように見受けられる。 [了]
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州都ケッタからワム村に到着したパキスタン政府陸軍 緊急編成された震災救援部隊だが手ぶらなのが気になる
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【 米国時間 2008年10月30日 『米流時評』ysbee 訳 】

d0123476_15192339.jpg• MSNBC ニュースビデオ
壊滅的なパキスタン西部地震の現地映像レポート
October 29 | M-6.4 Deadly Quake in Pakistan
M-6.4 earthquake shakes southwestern Pakistan, killing at least 150 people and leaving thousands homeless. Msnbc.com's Dara Brown reports.

http://www.msnbc.msn.com/id/21134540/vp/27433895#27433895


«« 次号「パキスタン地震第3報・テログループが被災者救援?」へ
«« 前号「速報!パキスタン西部ケッタ大地震で170名死亡」へ


d0123476_16472783.gif記事リンク http://beiryu2.exblog.jp/8856045f0127501_6213945.jpg
TBリンク http://beiryu2.exblog.jp/tb/8856045

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by ysbee-2 | 2008-10-30 17:48 | パキスタン戒厳令の季節

速報!パキスタン西部大地震詳報レポート

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  ||| パキスタン・クエッタ大地震詳報 |||

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パキスタン西部山地クエッタにM6.4強震、2千戸倒壊 215名死亡
震源地は首都イスラマバードから南西へ640キロのバルチスタン

パキスタン・クエッタ発 |現地時間で29日水曜未明、パキスタン南西部を強い地震が襲い、同地の土壁造りの家々が倒壊。同地区では夜明け前の就寝中だったために、下敷きになった住民170名以上が死亡したと地元警察から発表された。この地震が襲ったのは日の出の2時間前で、地震の強さはマグニチュード6.4を記録したと、米国の地理研究調査局から発表された。
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'Great Destruction' 170 Dead in Pakistan Quake
Hundreds of homes destroyed as 6.4-magnitude temblor hits border region
OCTOBER 29, 2008 | Associated Press — BREAKING | Translation by ysbee
QUETTA, Pakistan — A powerful earthquake struck southwestern Pakistan before dawn Wednesday, killing at least 170 people as they slept and obliterating hundreds of fragile mud-and-timber homes, officials said. The quake struck two hours before dawn and had a preliminary magnitude of 6.4, the U.S. Geological Survey reported.

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OCTOBER 29, 2008 | 『米 流 時 評』 |  時事評論ブログ雑誌・デイリー版 2008年10/29号
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ASSOCIATED PRESS | B R E A K I N G
パキスタン西部の山岳地帯ジアラットにM6.4の強震、215名死亡
米国時間 2008年10月29日午前1時22分 | AP通信・パキスタン支局発 | 訳『米流時評』ysbee

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Death Toll in Pakistan Quake Rises to 215
Hundreds of homes destroyed as 6.4-magnitude temblor hits border region
OCTOBER 30, 2008 | Associated Press — BREAKING | Translation by ysbee
WAM, Pakistan — The death toll from the earthquake that devastated an impoverished valley in southwestern Pakistan rose to 215 on Thursday, as authorities scrambled to help survivors sleeping rough in the frigid mountains. The quake hit Baluchistan province near the Afghan frontier before dawn on Wednesday, demolishing an estimated 2,000 homes in a string of villages.

地震の犠牲者215名に、家屋全壊2千戸
パキスタン大地震第2報 |パキスタン西南部バルチスタン地方の、貧しい谷間の村落を襲った水曜の地震の犠牲者は、1日経った木曜の時点で215名を数えるに至った。パキスタン政府の派遣した救援隊は山岳地帯の険しい地形や寒さと闘いながら、昼夜を徹して瓦礫に埋もれた生存者の必死の救出にあたっている。水曜未明にアフガン国境に近いバルチスタン地方を襲った地震で、山間の寒村が連なるこの地域ではおよそ2000戸の家屋が壊滅したと推計されている。
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29日夜明け前を襲われ、まんじりともせず路上で余震による被害を避けるクエッタの住民

2. Epicenter, 400 miles SW of capitol

The epicenter was a shallow 10 miles below the surface and was centered about 400 miles southwest of the capital, Islamabad. The worst-hit area appeared to be Ziarat, where hundreds of houses were destroyed in five villages, Mayor Dilawar Kakar said. Some homes were buried in a quake-triggered landslide, he said.
震源地、首都から南西へ640キロ
地震の震源地は、パキスタンの首都イスラマバードから南西へ400マイル(約640キロ)の山岳地帯クエッタ地区の地下10マイル(16キロ)という浅い地点である。地震の被害がもっとも大きかった地域は5つの村落からなるジアラット郡で、数百戸の土壁の民家が見る影もなく倒壊したと、同郡のディラワル・カカール知事から報告された。また地震の直撃ばかりでなく、強震が引き起こした山崩れや地滑りが民家を飲み込んだ例もあると語った。
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29日水曜朝、一夜明けて全壊した家屋の下敷きになった家族の遺体を捜索するジアラットの村民

3. Deadliest since Kashmir Quake

Officials said the area hit on Wednesday was much less densely populated. The death toll was expected to rise as reports arrived from remote areas of Baluchistan, the impoverished province bordering Afghanistan where the magnitude 6.4 quake struck. "There is great destruction. Not a single house is intact," Dilawar Kakar, the Mayor of the hardest-hit area Ziarat, told Express News television.
05年カシミール大地震以来の強震
パキスタン政府当局の見解では、今回の地震の被災地は人口密度がかなり低い地域だったので、犠牲者の数も低く収まるのではないかと見ている。しかし、警察や軍隊がまだ被害を確認できずにいるバルチスタン地方の山岳部の奥地では、連絡が取れ次第、犠牲者の数も増えるものと予想している。「震災の被害は壊滅的だ。無事だった家はただの一軒も残っていない」地震の被害がもっともひどかった5つの村からなるジャラット地区のディラワル・カカール知事は、エキスプレス・ニューステレビの取材に対してこう答えていた。
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29日朝 震源地にもっとも近いクエッタ州ジアラットの村落では、すべての建物が跡形もなく完全に倒壊した

4. Five villages in total destruction

Maulana Abdul Samad, the minister for forests in Baluchistan, said at least 175 people were confirmed to have died. Kakar said hundreds of people had been injured and some 15,000 made homeless. "I would like to appeal to the whole world for help. We need food, we need medicine. People need warm clothes, blankets because it is cold here," Kakar said.
バルチスタン地方5つの村落壊滅
バルチスタン地方のマウラナ・アブドゥル・サマド森林相は、29日の時点で175名の死亡が確認されたと語った (30日現在は215名に増加)。カカール知事は、そのほかに数百人が負傷し、1万5千人の住民が住む家を失ったと報告した。「私からは全世界に対して被災地への救援をアピールしたい。われわれは食糧を必要としている。医薬品も要る。ここはもう冬の寒さだから、被災者の住民には暖かい衣服と毛布が必要だ」カカール知事は、世界に対して被災地救援を訴えた。
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震源地に近く被害も甚大だったジアラットの村落から運び出される遺体 イスラム教では死後直ちに埋葬する習慣

5. Army helicopters airlifting

The epicenter of the quake was about 400 miles southwest of the capital, Islamabad. Officials said the area hit on Wednesday was much less densely populated. With roads blocked by landslides, officials said the army was ferrying troops and medical teams on four helicopters to villages in the quake zone and airlifting a field hospital as well as thousands of tents and blankets to the area.
政府軍のヘリが救援活動
地震の震源地は、北部のパキスタンの首都イスラマバードから南西へ400マイル(約640キロ)下ったバルチスタン地方の山岳地帯で、都市部と比べて人口密度が極端に低い地域である。被災地へ通じる道路網が山崩れで遮断されてしまったため、現地救援に向かう政府軍の救援隊や医療班は、被災地の村落までヘリで運ばれた。また同じヘリで重傷者を現地から安全な地域の病院へ運んだり、数千の被災者用テントや毛布を現地へ搬入している。
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救援物資を運んできたパキスタン政府陸軍のヘリコプターに群がる地震被災地ジアラット郡の部落住民

6. Collision of Eurasian/Indian tectonic plates

Pakistan is prone to seismic upheavals since it sits atop an area of collision between the Eurasian and Indian tectonic plates, the same force responsible for the birth of the Himalayan mountains. Baluchistan's capital, Quetta, was devastated by a 7.5-magnitude temblor in 1935 that killed more than 30,000 people.
ユーラシア大陸とインド亜大陸の地殻の衝突点
パキスタンは、ユーラシア大陸とインド亜大陸の地殻が衝突してできた地域に乗っているために、地殻変動の被害をきわめて受けやすい位置にある。この地殻変動は、ヒマラヤやヒンドゥークシ山脈などの誕生にも与った壮大なエネルギーである。ブルチスタン地方の首都が広域自治体でもあるクエッタ市であるが、過去にもすでに1935年にマグニチュード7.5の大地震を経験しており、このときには3万人以上の犠牲者を出している。
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パキスタン西部のペシャワールにある国立地震観測研究センターで、今回の地震の余波を計測する研究員

7. Deadliest since Kashmir Quake

Wednesday's quake was the deadliest since a magnitude-7.6 quake devastated Kashmir and northern Pakistan in October 2005, killing about 80,000 people and leaving hundreds of thousands homeless. In the village of Sohi, a reporter for AP Television News saw the bodies of 17 people killed in one collapsed house and 12 from another.
05年カシミール地震以来の震災
水曜の地震は、2005年10月にインドのカシミール地方と北部パキスタンを襲ったマグニチュード7.6の大地震以来、最大の犠牲者を出す震災となった。05年の地震では8万人が死亡、数十万人が家屋を失っている。AP通信のテレビニュース記者は、震源地に近いジアラット郡の村落のひとつソヒ村で、倒壊した一軒の民家で17人が遺体となったのを目撃しており、もう一軒からは12名の遺体が掘り起こされたと報告している。
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クエッタ州ワムの村落で、倒壊した家屋の下敷きになった住民の遺体を並べ葬儀の用意をする村民

8. Sudden burial into the mass grave

Distraught residents were digging a mass grave. "We can't dig separate graves for each of them, as the number of deaths is high and still people are searching in the rubble" of many other homes, said Shamsullah Khan, a village elder. Other survivors sat stunned in the open, with little more than the clothes in which they had been sleeping.
死者多数で集団墓地へ緊急埋葬
地震に痛めつけられた住民たちは、犠牲となった親族の遺体を埋葬するために巨大な墓穴を掘っている。「死んだ者の数が多すぎるので、ひとりひとり別々の墓を掘ることすらできない状態です。埋葬よりも、倒壊した瓦礫の中から生存者を掘り起こす方が先決ですし」部落の長老、シャムスラ・カーンさんは、集団墓地にした理由をこう語った。埋葬や生存者の捜索に加わっていない生存者たちは、昨晩寝ていた時の着の身着のままショックのために路上に呆然と座り込むばかりだった。
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震源地に近く被害も甚大だったジアラットの村落で即日行われた集団埋葬 棺を用意する暇もなかった

9. Hospital unable to cope all

Hospitals were flooded with dead and injured. One patient at Quetta Civil Hospital, Raz Mohammed, said he was awakened by the sound of his children crying before he felt a jolt. "I rushed toward them but the roof of my own room collapsed and the main iron support hit me," he said. "That thing broke my back and I am in severe pain, but thank God my children and relatives are safe."
大量の負傷者にお手上げの病院
被災地の病院は、運び込まれる死体と怪我人とでごった返した。クエッタ市民病院に搬入された患者の一人、ラズ・モハメッドさんは、地震が襲った瞬間の模様を次のように語っている。
「揺れを感じるよりも先に、子供たちの泣き叫ぶ声で眠りを覚まされました。子供たちのところへ向かって駆け出した瞬間に私の寝室の屋根が落ちてきて、鉄の梁が背中を打ちました。そのせいで背骨が折れてひどい痛みですが、神のご加護のおかげで子供たちや家族はみな無事でした。」
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29日、地震で怪我を負って地元クエッタの病院へ収容された住民。タリバンのように見えるのは医師?

10. Baluchistan: home to separatist movement

In the moutanous terrain of Bulchistan with roads blocked by landslides, officials said the army was ferrying troops and medical teams on four helicopters to villages in the quake zone and airlifting a field hospital as well as thousands of tents and blankets to the area.
独立主義運動の古巣 バルチスタン
ヒマラヤやヒンドゥークシ山脈がアフガニスタンとの国境にそびえるバルチスタン地方は、その高峻な山地を縫って走る道路網が、地震で起きた土砂くずれで各地で分断され、陸路から奥地への交通が不能になっている。パキスタン政府陸軍は災害救援部隊と救急医療班を緊急編成して、被災地住民へ救援物資を空輸し、被災者救援用の何千と言う毛布やテントを運び込んでいる。
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地震の被害が甚大だったジアラット地区へ向けて飛び立つヘリに、救援物資を積み込むパキスタン政府陸軍

11. Germany offered $310,000 immediate aid

German Foreign Minister Frank-Walter Steinmeier said his country was offering $310,000 in immediate aid, but the head of Pakistan's National Disaster Management Authority said an international relief effort was not needed. "God has been kind, it has been a localized affair," said Farooq Ahmad Khan. "I think we can manage it."
ドイツが3千万円緊急寄金
ドイツではフランク-ウォルター・スタインマイヤー外相が、とりあえず緊急救援寄金として31万ドル(約3千万円)を申し出たが、パキスタン中央政府の国家災害管理局のファルーク・アハマド・カーン長官は(地元の知事たちの切実な訴えとは裏腹に)国際的救援までは必要ではないと次のように語った。「神のご加護で(被害は少なくて済んだようで)これはローカルの問題です。我が国の範疇で処理できるでしょう。」 [了]
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この上の写真の巨大な白い葉巻を拡げると、難民収容のテントに ジアラットの被災者救済用キャンプ
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【 米国時間 2008年10月29日 『米流時評』ysbee 訳 】
d0123476_15192339.jpg• MSNBC ニュースビデオ
壊滅的なパキスタン西部地震の現地映像レポート
October 29 |Deadly Quake in Pakistan
M-6.4 earthquake shakes southwestern Pakistan, killing at least 150 people and leaving thousands homeless. Msnbc.com's Dara Brown reports.

http://www.msnbc.msn.com/id/21134540/vp/27433895#27433895


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d0123476_16472783.gif記事リンク http://beiryu2.exblog.jp/8845407f0127501_6213945.jpg
TBリンク http://beiryu2.exblog.jp/tb/8845407

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by ysbee-2 | 2008-10-29 14:24 | パキスタン戒厳令の季節

特報!北朝鮮兵38度線脱北/北、韓国に核の威嚇

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  ||| 38度線脱北兵士/北 核攻撃の威嚇 |||

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4月から2人目の脱北者、北朝鮮兵士が38度線の非武装地帯で南へ越境亡命
韓国は北の核攻撃に備え先制攻撃を宣言、北は攻撃があれば核で報復と威嚇


d0123476_18552829.gif「死線を越えて」という言葉があるが、今回の記事は北朝鮮と韓国の境界北緯38度線上に半世紀以上横たわるDMZ/DeMilitarized Zone=非武装地帯の、文字通り死線を越えて脱北に成功。韓国へ亡命した北朝鮮兵士のニュースである。さらにはその事件に前後して、南北朝鮮が「ミサイル先制攻撃」対「核の報復」を宣言する緊迫の経緯を。

命を賭する危険を冒してまで、なぜ脱北者があとを断たないのか。それは、北朝鮮の社会が「地獄のスタンダード」を押し付けているからにほかならない。政府への反対意見を一切受けつけない全体主義国家。反抗する者は直ちに投獄、あるいは甚だしい場合には公開処刑。第二次大戦の終結から60年以上経つと言うのに、こうした自由の対局にある国家が存在するのを見て見ぬ振りをする国際社会。
▶関連記事: 10/28 Japan: N. Korea's Kim likely still in hospital
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中国共産党のチベットや東トルキスタン、法輪功への弾圧。ビルマ軍政の僧侶に対する弾圧。プーチンロシアのチェッチェン独立派への弾圧。北朝鮮の自国民に対する弾圧。どれも軍事独裁政権が体のいい愛国のお題目の元に、思想と信仰の自由を訴える国民を圧殺する、「国家統一」という名を借りた現代の悪夢そのものである。

今日はたまたま北朝鮮関連のやや大きな記事が4本もあって、どれも紹介したかったのだが、この脱北兵士のニュースが全体の潮流を紹介する意味でも有意義に思えたので翻訳してお伝えしたい。他の3つの記事は、最初に読んだのが「北が韓国を核攻撃と威嚇」という物騒な話題だが、その中身はこの記事にも重複して載っているので、金正日体制特有のセンセーショナルな脅しを発表した前後関係が理解できると思う。
▶関連記事: 10/28 N. Korea Threatens to Turn South into 'Debris'
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その次に読んだのが、この記事トップの写真の脱北した人物の実録で、北朝鮮全体で20万人と言われる政治思想犯を収容する5つの強制収容所のレポートである。労役は、炭坑・鉱山などで1日15時間ぶっ通しの強制労働。与えられる食糧と言えばとうもろこし1本。それもあればいいほうで、放置して餓死してもおかまいなしらしい。囚人はしかたなしに、野ネズミや虫けらを捕まえて空腹をしのぐ。看守が気に入らなければ即刻死刑。他の囚人への見せしめに死体は軍用犬の餌に……… これが現世の地獄でなくて何であろうか。
▶関連記事: 10/28 N. Korea Defectors Describe Executions, Torture
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ただあまりにもすさまじい内容なので、ブログへの掲載は控えた。原文のAP通信の記事リンクだけご紹介しておく。こんな悪の権化のような"Rogue nation"=無法の国家をテロ国家リストからはずしたブッシュ政権の判断には、あらためて憤りを覚える。国務省のその決断の陰には、中国からの経済的圧力が梃子としてあったと解釈するしかない。
願わくば、オバマがすでに公約している通り、米国の次期大統領が率いる新しい政権が中国や北朝鮮を始めとする世界中の独裁政権の弾圧を糾弾し、民衆が自由を勝ち取る方向へ力を貸す大国としての "Nobles Oblige" を実行することを願って止まない。

[米国時間 2008年10月28日『米流時評』ysbee]

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OCTOBER 28, 2008 | 『米 流 時 評』 |  時事評論ブログ雑誌・デイリー版 2008年10/28号
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  ASSOCIATED PRESS | B R E A K I N G
北朝鮮兵士、38度線の南北非武装地帯で 決死の越境亡命成功!
米国時間 2008年10月28日午前10時59分 | AP通信・ソウル支局発 | 訳『米流時評』ysbee

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N. Korean Soldier Defects to South via DMZ
Separately, stark warning issued over Seoul's 'confrontational racket'
OCTOBER 28, 2008 | Associated Press — BREAKING | Translation by ysbee
SEOUL, South Korea — A North Korean soldier has defected to South Korea through the heavily fortified border dividing the two countries, an official from the South's spy agency said Tuesday, in only the second such defection in a decade. The North Korean defector was being investigated, a National Intelligence Service official said, declining to identify his name, rank and the date of his defection.

兵士の脱北は10年間でわずか2人目
韓国・ソウル発 |現地時間で28日火曜、南北朝鮮を2分する38度線非武装地帯の厳重な武装警備を突破して、北朝鮮の政府軍兵士1名が韓国側へ越境亡命したと、韓国の諜報機関NIS高官が情報を明かした。北鮮兵士のこのような脱北事件は、ここ10年間でわずかに2度目のケースである。脱北兵士はただちに身柄を調査されたが、NIS高官は兵士の氏名・階級・亡命日時を公表するのは控えた。
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朝鮮半島を北緯38度で南北に二分する非武装地帯 南北朝鮮は事実上いまだ講和条約を結んでいない「休戦状態」

2. Approaching S.K. post in DMZ

文字数制限のため英文省略
38度線の韓国側堡哨基地へ亡命
この北朝鮮兵は、38度線の非武装地帯の中央にある韓国側の堡哨警備施設へ単独で歩み寄り、韓国への亡命を申し出たと、韓国の諜報機関NISの高官は語っている。同施設の韓国軍高官に兵士が語った亡命の理由は、北朝鮮での生活に嫌気がさし共産主義国家での将来の人生を考慮した結果の行動だと伝えている。ただしNISの高官は諜報機関の規則上、名前を公表できない立場にあり、今回は匿名での情報公開である。
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3年越しの6カ国協議で北の核放棄までたどりついたが、IAEAの監査入国条件で一進一退の煮えきらない状況

3. Second defection since April

文字数制限のため英文省略
4月以来2度目の越境脱北者
北朝鮮兵士が38度線を超えて韓国側へと亡命した事件は、過去10年間で今回が2度目である。また北朝鮮政府高官が38度線を超えて脱北した例は、4月に起きたばかりである。DMZ/38度線の非武装地帯は、世界でももっとも警備の厳重な国境線のひとつに挙げられるため、この地域を越境しての亡命は非常に稀である。通常北朝鮮人が共産主義の母国を捨てて国外逃亡する場合、ほとんど大部分は陸続きの中国へ脱走し、その後東南アジアの自由主義国家を経て韓国へたどり着くのが常道である。
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2月に大統領に選出され4月にブッシュ大統領を表敬訪問した李明博大統領 左のワシントン韓国ソサエティで講演はわかるが、解せないのは右の写真。9/30にロシアを訪問し、プーチンの出身地サンクトペテルスブルクの大学で名誉学士号を受けている。グルジア紛争で米露が冷戦状態だった時期にあっては、完全なダブルスタンダード。

4. 14,300+ defectors since Korean War

More than 14,300 North Koreans have arrived in the South since the Korean War, according to South Korea's Unification Ministry. Relations between the two countries have been tense since South Korean President Lee Myung-bak's conservative government took office in February, pledging to get tough with Pyongyang.
朝鮮戦争終結以来、脱北者14,300名以上
韓国の南北統一省の調べによると、朝鮮戦争終結以来韓国へ亡命した北朝鮮脱北者の総数は、14,300名以上にのぼっている。韓国では、平壌政府に対して厳しい姿勢で臨むと公約していた、保守親米派の李明博大統領が今年2月に政権について以来、南北両国間の関係は緊張が高まっている。
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10/21 南北朝鮮統一をスローガンに李明博の親米政策に抗議しソウルをデモする、北に家族が残留する韓国人団体

5. 'Confrontational racket'

The two sides had no official contact until a military meeting earlier this month, and 20-minute talks were held Monday at the border. Earlier this month, Gen. Kim Tae-young, chairman of South Korea's Joint Chiefs of Staff, told a parliamentary committee that his military was prepared to attack suspected nuclear sites in North Korea if the communist country attempts to use its atomic weapons on the South.
20分間の板門店南北軍事会談
今月初めに両国軍部高官が、38度線上の板門店でわずか20分の会談を持つまで、南北両サイドの公式会談は皆無だったと言っていい。また今月早々に、韓国三軍の統合総司令官である金大楊将軍は「万一北朝鮮が韓国に向かって核兵器を使用する計画がある場合には、韓国軍は北朝鮮にある核施設をただちに (ミサイル) 攻撃する用意ができている」と、韓国国会の軍事委員会で発言し注目された。
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10/22 対テロ戦争演習中の韓国武装警察、隠密指令を受けて特殊任務を遂行するレンジャー部隊である

6. Against South's pre-emptive strike

Meanwhile, North Korea warned it would turn South Korea into "debris" and break off all relations if Seoul does not halt "confrontational" activities against the communist country. The North threatened to cut off all ties if the "confrontational racket" continues, citing a South Korean general's remarks about a pre-emptive strike.
韓国の先制攻撃に対抗姿勢
こうした両国間の緊張が高まる一方で、北朝鮮は「万一韓国がわが共産主義国家に対して挑戦的な行動を止めない場合には、我が国は韓国を『灰塵に帰し』すべての外交関係を遮断するつもりである」と警告を発した。また韓国の総司令官が発した「先制攻撃」の発言に対しては、「挑発的な雑音を続けるならば、北は (6カ国協議も含めた) すべての外交関係を廃棄する」と威嚇した。
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10/28 ソウル近郊のヤンピョン山地で実弾ミサイル発射演習を実施する、韓国空軍の戦闘ヘリAH-1Sコブラ

7. Threat to turn S. Korea into debris

The defense minister commented about Kim Jong Il's health and propaganda leafleting by activists. "The puppet authorities had better remember that the advanced pre-emptive strike of our own style will reduce everything opposed to the nation and reunification to debris, not just setting them on fire," the North's military said in a statement carried by the state-run Korean Central News Agency.
韓国へ核攻撃の威嚇
この発言の際に北の防衛長官は、金正日総書記の健康状態と、韓国側の統一運動のプロパガンダ用チラシに関してもふれた。「米国の傀儡である韓国の政権は、我が国独自の先制攻撃方式ならば、敵対国家のすべてを炎上させるだけでなく、灰塵に帰することができる近代兵器だということを、肝に銘じた方が良い」北の軍部総司令官はの発言は、国営メディアの朝鮮中央新報によって報道された。
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今夏6カ国協議での約束通りに、核開発停止のデモンストレーションとして寧辺=ヨンビョンの核燃料炉を爆破してみせた北朝鮮。しかしその後もころころと主張を変え、先月は寧辺に新しい核燃料炉を再建すると警告を発した。この脅しで米国の国務省が折れて、北をテロ国家認定リストから削除したというのが実質的経緯らしい。

8. Kim's current via Korean spy agency

Also Tuesday, South Korea's spy chief told lawmakers that North Korean leader Kim Jong Il — though "not physically perfect" — appears to be recovering and is running the country without difficulty. South Korean and U.S. officials say North Korea's autocratic 66-year-old leader suffered a stroke, reportedly in mid-August. North Korea denies he is ill.
韓国諜報による金正日の近況
28日火曜にはまた韓国の諜報部局長が、国会の諜報委員会で北朝鮮の金正日総書記の近況について報告したが「身体的に完全な状況ではない」と述べた。諜報情報によると、金総書記は回復の途上にあるものの、国家を指揮する上では何ら差し障りないようであると結論づけた。これまで韓国と米国の両政府は、報告によると今年66歳になる北朝鮮の独裁者が8月中旬に脳溢血を患った、という諜報情報を信頼していた。しかし北朝鮮側では、金総書記が病床にあった事実を否定している。
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10/13 北をテロ国家リストから削除した米国に抗議して、反北・反米のデモを米大使館前で展開するソウル市民

9. General 'Kim remained in control'

National Intelligence Service chief Kim Sung-ho made the remarks during a closed-door session with a parliamentary committee, according to Rep. Park Young-sun of the opposition Democratic Party. Later, South Korean Defense Minister Lee Sang-hee told a news conference in Washington that both the U.S. and South Korea believed Kim Jong Il remained in control, adding, "If we show him too much attention, then we might spoil him."
韓国防衛相「金正日の指導力継続」
国会の軍備委員会のメンバーを召集して非公開で開かれた緊急会議の席上、韓国諜報部 NISの金長官から以上のような諜報情報がもたらされたと、出席者のひとりで野党民主党の朴ヤンスン議員は伝えている。また現在米国側との会議のため訪米中の李楊孫防衛相が、ワシントンの記者会見で語った内容では、米国と韓国の両国とも「金正日総書記は北朝鮮政府の指令権限をいまだに把握している」と見ており、「われわれが金の去就にあまりにも注意を向け過ぎると、彼を甘やかす結果を招くだろう」という忠告を補足した。

[注:この段落の行間に、現在米国と韓国が北朝鮮に対処する方策を「共同で」練っている体勢が浮かび上がっている。韓国の防衛相が現時点でなぜ米国にいるのか? 答えはひとつ、彼の発言とは裏腹に、米韓ともに「ポスト金正日」の半島の防衛体勢を検討しているのだろう。わたしにはそういう解釈が一番すんなり理解できる。しかし、日本の防衛相が呼ばれていないというのが非常に気にかかる。万一、金が崩御したあとで北の軍部が核を使用して暴発したとしても、日本までには火の粉が降りかからないという前提なのだろうか? それとも韓国とは別個に、日本政府とは駐留米軍の司令官と東京で防衛対策が練られているのだろうか? 日本の記者諸君は、麻生首相の立寄先のカクテルの値段などを詮索するよりも、防衛省のキーパースンが誰と何処で逢って何を話しているのか、という「ポスト金のアジア対策」の進展を追いかけるべきだろう。]
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10/28 KOAFEC/韓国・アフリカ経済協力会議に出席の、ADB/アフリカ開発銀行カベルカ頭取と韓国代表カン・マンスー財相。アフリカへの韓国の経済的影響力を伸張する狙いだが、当然先行者の中国には嫌われる構造である。

10. PM Aso: 'French doctor went to Beijing'

On Tuesday, Japanese Prime Minister Taro Aso said that Tokyo has information that Kim Jong Il may be in a hospital and a French doctor went to Beijing, perhaps en route to North Korea. "His condition is not so good. However, I don't think he is totally incapable of making decisions," Aso said at the upper house foreign affairs committee. North Korea denies he is ill, but the leader was out of public sight for two months and missed several important anniversary celebrations, sparking speculation about his health.
麻生首相「北京経由で平壌入りの仏人医師」
28日火曜、日本の麻生太郎首相は、日本政府が把握している情報として次のように語った。「金正日総書記は多分入院中なのだろう。その理由は特別な治療を施すためにフランス人の医師が北京へ向かったが、中国を経由して北朝鮮へ入国するためと思われる。彼の容態は、あまり良好ではないようだ。しかしながら、彼は政策に決断を下す程度のことはできる状況だと考えられる。」麻生首相は、参議院の外交問題委員会で、以上のように説明した。
北朝鮮政府自体は、金が病床にあることを否定しているが、北の独裁者が公けの席から姿を消してからすでに2か月も経過しており、特に建国60周年記念式典の重要なパレードに欠席したことなどから、健康状態をいぶかる疑惑の噂に火がついたのも事実である。 [了]
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10/20 韓国の首都圏地下鉄のソウル駅構内に設置のテレビ画面に現れた北の金正日の映像。健康に生存を強調する北の政府発表だが、映像が夏のものでかえって猜疑心をあおる結果に。
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【 米国時間 2008年10月26日 『米流時評』ysbee 訳 】
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«« 前々号「テロ戦争最前線 後編・タリバン殲滅まであと半年」へ


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by ysbee-2 | 2008-10-28 15:04 | トンデモ北朝鮮

テロ戦争最前線後編・タリバン殲滅まであと半年

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    ||| タリバニスタン最前線レポート・後編 |||

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テロ戦争最前線レポート 政府軍司令官「タリバン殲滅まであと半年から1年」
政府軍バジュール掃討作戦の死者:タリバン1500名、政府軍73名、住民95名


前号「テロ戦争最前線レポート・タリバンの要塞バジュール陥落!」からの続き 
パキスタン・バジュール州ロイサム発 |パキスタン陸軍は今回のバジュール掃討戦に際して、本拠地のロイサムを包囲する段階で、外人部隊で増強したタリバンゲリラから執拗な反撃を受けた。戦況報告では、この外人兵士の中にはアフガニスタンから参加した者も数多く見られたと記録されている。バジュール攻撃の主体となったパキスタン政府軍の特殊部隊の総指揮官、タリク・カーン陸軍少将は、広域のバジュール地方全体からタリバンを一掃して中央政府が完全に制圧するまでには、あとまだ半年から1年を要するだろうと、現地入りした従軍記者団に語った。

トップ:今夏の大統領選挙に影響を与え夫サルダリ選出に貢献した故ブット元首相のポスターを掲げたラホーレの街
下:アフガニスタン側の国境地帯では米軍とヨーロッパ各国から派兵されたNATO軍兵士が警備 写真はフランス兵

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Operation Bajur and U.S. Missile Strikes
Army general's forecast: it takes a half to one year to sweep up Taliban
OCTOBER 25, 2008, 3:15 P.M. | Associated Press — BREAKING | Translation by ysbee
Continued from the previous issue — The army says it faced stiff resistance near Loi Sam from Taliban militants reinforced by foreign fighters, including some from Afghanistan. Maj. Gen. Tariq Khan, who commands a paramilitary force, said it could still take six months to a year to gain complete control of Bajur.

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OCTOBER 26, 2008 | 『米 流 時 評』 |  時事評論ブログ雑誌・デイリー版 2008年10/26号
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  ASSOCIATED PRESS | B R E A K I N G
テロ戦争最前線・後編 政府軍司令官「タリバン殲滅まであと半年から1年」
米国時間 2008年10月25日午後3時15分 | AP通信・パキスタン従軍記者速報 | 訳『米流時評』ysbee

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ジハドの戦場となったバジュールから戦火を逃れ避難し難民テント村でカイト/凧を上げて遊ぶパシュトゥンの少年

9. Casualties: 1500 militants; 73 soldiers; 95 civilians

Violence and government restrictions have made it virtually impossible to verify accounts of the fighting. Khan said 1,500 suspected militants died in the operation along with 73 army soldiers and 95 civilians.
死者:タリバン1500、政府軍73、住民95
8月以来の政府軍攻勢でバジュール地区へは政府命令で立入禁止となっており、戦闘の実態や犠牲者の正確な実数を確認するのは、実質的に不可能に近い。カーン指揮官の記者会見では、今回の戦闘でタリバンゲリラと思われる者が1500名、政府陸軍兵73名、一般住民95名が死亡したと発表している。
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パキスタン政府軍がバジュール地区総攻撃という警告で、家財道具一切をトラックに積んで避難する辺境地区住民

10. Possible hiding place for al-Qaida leader

The region has been seen as a possible hiding place for al-Qaida leader Osama bin Laden and his deputy, Ayman al-Zawahri, but Khan said the troops had not picked up their trail. Khan's count of 95 civilian deaths was the first official estimate noncombatants killed in the fighting. He didn't say whether they were killed by militants or troops.
ビンラディン、ザワヒリの隠れ家?
国境辺境のバジュール地方は、以前からアルカイダの首領であるオサマ・ビン・ラディンと副首領のアイマン・アル・ザワヒリの隠れ家が存在する可能性があると噂されてきた土地である。しかしカーン司令官は、彼らが起居した痕跡は発見できなかったと報告した。また、戦闘の巻き添えとなって死亡した95名と言う一般村民の犠牲者数を政府軍が公表したのは今回が初めてであるが、彼らがタリバンに殺されたのか、あるいは政府軍の砲撃の犠牲になったのかまでは、カーン司令官は触れなかった。
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ブッシュ政権から9/11の首謀者として指名手配され、テロ戦争の元凶となったオサマ・ビンラディン。彼のテロ組織アルカイダと、旧アフガン独裁政権だったイスラム過激派の戦闘組織タリバン。両者ともパキスタン国境地帯の山中深くに本拠地を置くと見られている。ビンラディンは元々イエメンの出身だが、当地に滞在するブログ友のyabaniさんがビンラディン一族の出身地を訪れ、実家の建物など貴重な現地の写真をご自身のブログ『幸福のアラビア・イエメン滞在記』で公開されており、一見の価値あり(1月のページの中段)。他にもアラブ諸国の珍しい写真を数多く掲載。

11. 200,000 residents fled battle

Though officials have acknowledged that artillery and airstrikes have devastated many residential areas. Nearly 200,000 people have fled the fighting, many of them to rough camps in Pakistan and Afghanistan.
住民20万人が戦火を避け避難
掃討作戦の成果を語る傍ら、政府軍高官は地上軍の砲撃や空軍の爆撃によって、村民の居住地域が壊滅的被害を受けた事実も認めた。夏以来の戦闘による戦火を避けるため、バジュール地区住民のうちおよそ20万人がパキスタン、アフガニスタン両国の難民キャンプへと避難した。
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8月20日パキスタン北部ペシャワール近郊ナウシラ地区の小学校校庭に設営された国連UNICORの難民テント村

12. No building escaped destruction

Reporters driven from Khar, the region's main town, to Loi Sam Saturday saw devastated residential compounds. Some of them connected by militant tunnels, lining both sides of the road. In Loi Sam itself, hardly a building had escaped. Houses, shops and gas stations were badly damaged or destroyed. The only people on the debris-strewn streets were soldiers.
無傷の建物皆無のロイサム
メディアの取材陣は、戦闘終結後の土曜にカール地区から最前線のバジュール地区中心地ロイサムへ現地入りしたが、目に入る住民の建物はすべて壊滅状態だった。いくつかの住居は、主要道の両脇に連なるタリバンの基地である防空壕と直結していた。ロイサムの町自体に関して言えば、爆撃を免れた無傷の建物は皆無に近かった。住宅、店舗、ガソリンスタンド……これらがすべて手ひどく破壊されたか、壊滅している惨状だった。爆撃の残骸がそこら中に散乱する通りで見かける人影と言えば、政府軍兵士だけだった。
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ジハドを支持するイスラム過激派が圧倒的な北部辺境自治区では、タリバンは一般住民家屋を隠れ家とするため住民も一緒に米軍の空爆対象となってしまう。巻き添えになった犠牲者の家族がシンパからタリバンに転向するのも道理。

13. Government promised aide

Abbas said victims would be compensated for the loss of their homes, crops and the animals dying untended in the fields. Pakistan's government has promised to flood the border area with development work, much of it funded by Washington, to combat the misery and ignorance in which religious extremism has thrived.
パキスタン政府、現地救援を約束
アッバース司令官の発表では、今回の戦闘で家を破壊された住民やバジュール周辺の爆撃で農作物や家畜を失った農民に対しては、パキスタン政府から損害賠償金が支給されるだろうと公表した。損害を受けた国境地帯に対して、パキスタン政府は復興事業の予算と就職口を惜しみなく与えると約束したが、その大部分は米国政府からの援助金を基金とするものであり、その目的はイスラム過激派が強制した無学文盲の悪弊を撤廃して、教育制度の普及と貧困解消を目指す地域開発である。
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国連の難民テント村でナムを焼くバジュール避難民/北部山岳地帯の冬は早い 食糧配給に集まった戦災孤児たち

14. Testing term for new administration

Observers say Pakistani authorities and their Western backers have failed to keep such promises in the past, breeding distrust of the government in a region where it has never had control. The aftermath will also test Pakistan's revamped counterinsurgency policy.
パキスタン新政権試練の時期
軍事外交のオブザーバーは、パキスタンの先代ムシャラフ政権と西側の支援諸国は、過去においても同じような約束をしながら見事に失敗してきたと指摘する。このことが、もともと独立気風の強い辺境自治州住民の政府に対する不信感をますます強くしてきたという経歴がある。戦闘終結後の時期には、ザルダリ新政権が提唱するテロ制圧政策が (戦闘だけではなくその後の経済政策も含めて)、その真価を試練される段階を迎えることになるだろう。

関連記事:12/29 ブットの遺言「19才の息子ビラワルを党首後継者に」
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昨年12月にタリバンの自爆テロで暗殺されたベナジール・ブット元首相の遺志を継いで立候補、当選を果たした夫のアシフ・ザルダリ新大統領と大学生の息子のビラワル。しかし支持者以外のパキスタン国民の評価は極めて低い。

15. Training of paramilitary Frontier Corps

U.S. troops arrived in Pakistan this month to provide training to the paramilitary Frontier Corps in an attempt to transform it into the main fighting force along the border. Officials hope the Frontier Corps, recruited from the Pashtun tribes that straddle the border, will prove more effective in preventing militants from resurfacing than the regular army, dominated by ethnic Punjabis and viewed as occupiers in the border zone.
前線対応特殊部隊が国境警備
今月になってからパキスタンへ緊急派遣された米軍は、アフガニスタンとの国境地帯でタリバン勢力と闘うのを主目的として編成された、最前線戦闘特殊部隊/paramilitary Frontier Corpsを教練するのが任務である。辺境地帯のパシュトゥン人を登用し編成されたこの前線部隊が、辺境自治州では占領軍の侵略者と見られがちなパンジャブ人が大半を占める通常の陸軍兵士とはちがって、地域住民に受け入れられ、その結果タリバン勢力が復活するのを予防するのにより効果的な役割を果たすと、政府高官は期待している。 [了]
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国境地帯パキスタン側の境界線検問所でパトロールする、米軍の緊急特訓を受けたパキスタン政府軍の特殊部隊
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【 米国時間 2008年10月26日 『米流時評』ysbee 訳 】
»» 次号「特報!北朝鮮兵38度線決死の脱北/北の核攻撃威嚇宣言」へ
«« 前号「テロ戦争最前線レポート-1・タリバンの要塞 バジュール陥落」へ


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||| 『米流時評』グローバル恐慌レポート |||
第1章 ウォール街金融危機

9/14 号外!メリルリンチを500億ドルでBOAが買収
9/15 ウォールストリート大暴落、9/11以来のメルトダウン
9/16 号外!AIGに8.9兆円連邦救済ローン、恐慌脱出か?
9/17 経済危機と大統領選・ペイリンは共和党の自爆装置?

第2章 米国金融危機
10/01 号外!80兆円金融経済救済案、上院を通過!
10/02 下院でも通過!73.8兆円の経済救済案ついに成立!
10/06 ウォール街暴落1万ドルの大台を割る 大恐慌2.0?
10/07 2日目も暴落のウォール街・前日比 ▼508ドル

第3章 グローバル金融危機
10/08 アイスランド国家破産の危機・前編
10/09 アイスランド国家破産の危機・後編(翻訳中)
10/10 号外!GMがクライスラーを吸収合併交渉!
10/12 ダウ記録的サージで危機脱出? IMF・EUの緊急サミット効果
10/13 底が見えた!グローバル・メルトダウンからの Uターン
10/14 ウォール街実録・暗黒の7日間(翻訳中)

第4章 ポスト恐慌のニューパラダイム(予定)
10/15 堕ちた偶像アメリカの救済・オバマ対マケインの政治学(予定)
10/16 堕ちた偶像アメリカの救済・オバマノミクスと米国経済再建案(予定)

by ysbee-2 | 2008-10-26 11:24 | パキスタン戒厳令の季節

テロ戦争最前線レポート・タリバンの要塞陥落!

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   ||| タリバニスタン最前線レポート |||

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タリバニスタン最前線現地レポート:タリバン最強の要塞都市ロイサム陥落!
政府軍バジュール掃討作戦の死者:タリバン1500名、政府軍73名、住民95名


d0123476_18552829.gif8月に入ってからほとんど毎日と言っていいほど、パキスタンとアフガニスタンの国境地帯、俗に「タリバニスタン」と呼ばれる辺境自治州で展開された叛徒討伐の掃討作戦のニュースが、米国のニュースサイトに登場していた。ある日は叛徒数十名死亡、またある日は誤爆で市民数名が犠牲になったとも……

特に9月20日に、パキスタンの首都イスラマバードで起きたマリオットホテルの爆破テロ事件は、長い選挙戦を経て就任早々だったザルダリ大統領の新政権を、根本から震撼とさせるには充分な、大規模なテロ事件だった。その直後から業を煮やした米軍のミサイルが、アフガニスタン側からパキスタンの北西辺境のワジリスタン州へと打ち込まれ、もちろん叛徒の本拠地目がけてではあったものの、周辺の一般村民もかなりの数が犠牲になったと伝えられていた。

▶関連記事:9/20 速報!イスラマバード・マリオット爆破テロ詳報
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先月20日に自爆トラックが突っ込み爆破炎上したホテル・マリオット・イスラマバード。一説にはCIAの工作とも、パキスタンの諜報 ISI の仕業とも言われている。確かに1階のロビーが全焼していないのに、一瞬で上階全域が火の海になったのは不審である。CIAならば、タリバンの仕業と見せてザルダリ政権のテロ撲滅体制を強化する根拠作りだろうし、ISI ならば、新政権の失態を印象づけて一般市民と米国の両サイドから不信を喚起するのが目的だったろう。いずれにしても、当日はラマダンの断食明けでホテルでディナーをとるはずだったザルダリ大統領が、その直前に急遽予定をキャンセルして爆破の犠牲になるのを免れた事実に、謎を解く鍵がありそうだ。密告したのはCIAか? ISI か?

2001年に9/11の首謀者ビンラディンのアルカイダと彼らに活動の本拠地を提供していたアフガニスタンのタリバン政権に対して、ブッシュ政権が『テロ戦争』の名目の元に宣戦布告。アフガン侵攻でカンダハール陥落までは楽勝の感があったが、その後トラボラ山中に立てこもったビンラディンら首謀者を捕獲できないまま、ブッシュは矛先をイラクへ転換し03年3月にイラク侵攻を開始。
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昨年暮れに暗殺されたブット元首相の夫ザルダリ大統領が所属するパキスタン人民党の勢力が強い南部の州都カラチ

3週間でケリがついたはずの戦争は、サダム政権の崩壊とともにできた権力の真空地帯で、スンニ派とシーア派が血で血を洗う内戦に発展。かくして現在までの足掛け8年間、米国は第二次大戦よりも長い闘いを延々と継続し、来年までの予算も含めて総額 "ワン・トリリオン"=100兆円近い戦費を費やしてきた。ローマ帝国の末期症状よろしく、国庫も疲弊し経済も失墜するわけである。

アフガニスタンに駐留する米軍とNATO軍の戦死者数がイラク駐留の死者を上回ったこの夏、国境地帯でのタリバン勢力の復活に業を煮やした米国は、故ブット首相の夫でパキスタン人民党から立候補して大統領に選出されたばかりのザルダリ新政権に対して、叛徒討伐を徹底せよという命を下した。属国でもないパキスタンに対してこういう命令を下すと言うのは、親米の傀儡政権ムシャラフ政権時代に100億ドル(約1兆円)もの膨大な軍事援助予算を注入して、テロ戦争の一翼を担わせたブッシュ政権の傲慢な覇権体制の現れである。
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一度ならず汚職で弾劾され、ムシャラフ政権時代にはドバイに亡命していたブット元首相の夫ザルダリだが、昨年暮れに8年ぶりの帰国直後にブットが暗殺された。ブットの遺言通り大学生の息子ビラワルがパキスタン人民党の党首に就任。その後、未成年ビラワルの父親で法的後見人のザルダリが政治活動を継承し、今夏の大統領選で当選を果たし、パキスタンの元首として政治の第一線に復活した。

パキスタンからアフガニスタンへと、国境を西へと越えて遠征し無差別の波状攻撃を続けるタリバンやアルカイダシンパのテロ活動に業を煮やした米軍は、9月以来アフガニスタン駐留基地からパキスタン領土内のタリバン基地へ、ミサイル攻撃を開始した。しかし、スパイ機による探査偵察で認識した巣窟が一般市民の民家だったり、叛徒の行進と見られた隊列が墓地への葬儀の列だったり……という失策が重なり、誤爆もあとを断たなかった。

こうして、パキスタン北部の短い夏が過ぎ行く間に、米軍のミサイル攻撃による辺境住民の犠牲を顧みない米国に対する反感が強まり、北ワジリスタン州のイスラム過激派ばかりでなく、南部の一般市民にまで「主権を侵害する米国排撃」というスローガンの元に、印パ戦争以来のパキスタンの根強いナショナリズムを覚醒させてしまった。米国からはテロ戦争作戦強化を、国民からは主権回復を迫られ、総選挙後の開幕早々、政治的窮地の頂点に立つザルダリ政権。
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20日 辺境自治区への米軍空爆を非難し自国防衛を訴える反米デモを繰り広げる 南部ジャイプール州カラチの学生

こうした内外の事情を背景にして、パキスタン政府軍が8月以来展開してきた辺境自治州の叛徒掃討作戦では、今月20日から猛攻撃に出て、バジュール地区でタリバン最強の拠点だったロイサムの町を攻略。壮絶な爆撃と肉弾戦の末、24日金曜ついに陥落に成功したようである。パキスタン政府軍に続いて、陥落直後のタリバンの要塞都市ロイサムに潜入したAP通信記者の、テロ戦争最前線レポートをお届けする。

[米国時間 2008年10月25日『米流時評』ysbee]

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OCTOBER 25, 2008 | 『米 流 時 評』 |  時事評論ブログ雑誌・デイリー版 2008年10/25号
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  ASSOCIATED PRESS | B R E A K I N G
タリバンの要塞ロイサム陥落! バジュール掃討作戦レポート
米国時間 2008年10月25日午後3時15分 | AP通信・パキスタン従軍記者速報 | 訳『米流時評』ysbee

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政府軍とのバジュールの戦闘で捕虜となったタリバンシンパ容疑者は、ほとんどが辺境民族のパシュトゥン人

Pakistani Troops Capture Militant Stronghold
Area described as 'mega-sanctuary' for Taliban, al-Qaida fighters
OCTOBER 25, 2008, 3:15 P.M. | Associated Press — BREAKING | Translation by ysbee

d0123476_1527659.jpgLOI SAM, Pakistan — A two-month offensive by Pakistani forces has driven militants from a stronghold through which Taliban and al-Qaida fighters had poured into neighboring Afghanistan to attack U.S. troops, the army said Saturday.

国境地帯のタリバン掃討作戦
パキスタン・バジュール地区ロイサム発 |テロ戦争でアフガニスタンに駐留している米軍兵士への襲撃は、今年に入ってから従来にも増してさらに頻発していた。米軍NATO共同戦線のテロ戦争にパキスタン側から協力する体制で、パキスタン政府軍はアパ国境地帯バジュール地方において2か月に渡って掃討作戦を展開してきた。
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パキスタンの辺境自治区北ワジリスタン州アリザイクライの部落。狂信的なイスラム過激派原理主義者の温床で、治安・行政・裁判すべてが部落の長老会議で決定される。女性の人権は認めず、教育も不要という数世紀も昔のアナクロな社会倫理を強制。従わない者は極刑に処される。

2. Military captured Loi Sam in Bajur

The military said its forces captured Loi Sam in the Bajur tribal region Friday after a long and bloody struggle. The town sits on a vital intersection linking the border to three neighboring Pakistan regions.
バジュール地方のロイサム陥落
パキスタンの辺境自治州バジュールは、タリバンとアルカイダの叛徒がパキスタンからアフガニスタンへと、国境を越えてテロ襲撃を繰り返していた活動の本拠地だったが、延々と続いた血みどろの闘争の果てに、24日金曜の段階でタリバンの巣窟であるロイサムの町を政府軍が占拠し、同地区のタリバン叛徒掃討に一応の成果を見た。
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アフガンの東・パキスタンの西。両国が国境を接する辺境自治州地域は、地勢的には山岳地帯で主幹産業が存在せず生活水準は極端に低い。このためジハド=イスラム教の聖戦遂行と食い扶持を得る目的で、タリバンやタリバンシンパの軍閥に加わる者があとを断たない。

3. Intersection of three regions

"Now we have complete control in this area from where miscreants used to go to Afghanistan, Mohmand, Dir and Swat," army spokesman Maj. Gen. Athar Abbas told reporters flown in to Bajur by military helicopter. "Miscreants have been expelled or killed."
北部3自治州の要衝バジュール
ロイサムの町は、パキスタン北部の3つの辺境自治州が境界線を接し、クモの巣状の道路網の中心に位置するバジュール地方の要衝だった。パキスタン政府軍広報官のアタール・アッバース陸軍少将は、ロイサム陥落の報を受けて軍用ヘリで最前線に飛来した従軍記者団に対して、現地の記者会見で次のように語った。「この地域は、これまではアフガニスタンやモホマンド、ディール、スワット地方を襲撃する無法者の巣窟だったが、今やわれわれパキスタン政府軍が完全に制圧した。ならず者は追放されたか、死んだかのどちらかだ」
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22日以来大規模なバジュール掃討作戦でタリバンの要塞ロイサムを包囲し、迫撃砲による砲撃を続行した政府軍

4. Taliban's 'mega-sanctuary'

Bajur is part of Pakistan's tribal belt that has become the stronghold of Taliban and al-Qaida fighters waging an intensifying insurgency on both sides of the border.
タリバンのメガ・サンクチュアリ
バジュールは、パキスタン北西部一帯の辺境民族自治州が連なる、通称「トライバル・ベルト」の一地方だが、(アフガン侵攻で一度は壊滅して離散したかに思われた)タリバンやアルカイダのジハディストが、アフガニスタンとの国境の両サイドで勢力を復活し本拠地としていた地域である。特に昨年来、誘拐や収奪、みせしめの公開斬首刑などで住民を恐怖に陥れ、遠征先のアフガニスタンのカンダハールやカブール周辺でも、各国大使館の爆破テロや刑務所襲撃など、ほしいままに野蛮なテロ行為を行ってきた。

▶関連記事:9/21 反米感情高まるパキスタンで、政府軍が米軍ヘリを砲撃
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6月末ダマドラで実行されたタリバンの公開処刑。政府軍に協力したかどで村民2人を誘拐し、このあと首をはねた。またその一部始終収録のビデオをネットで公開して恐怖政治の実態を見せつけ、政府軍へ協力する者を恐怖に陥れた。

5. Two-month offensive in Bajur

The army offensive in Bajur was launched in early August, after government officials declared it a "mega-sanctuary" for militants who had set up a virtual mini-state, complete with Taliban-style courts.
2か月の掃討作戦の成果
こうした背景のもと、タリバンスタイルのイスラム過激派の法廷まで備え、実質的にパキスタンの中央集権政府に反逆する独立地帯の様相を呈したバジュール地区に対して、6月の選挙で選出されたザルダリ大統領の新政権は「タリバンのメガ・サンクチュアリ討伐」と銘打って、今年8月初めからバジュール地域に対するパキスタン政府軍の攻撃を開始した。
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国境地帯の辺境自治区バジュール州カールの町に前線基地を構えるパキスタン政府軍。写真は10月22日 タリバンの要塞都市ロイサム攻略作戦に出陣する陸軍部隊。山岳地帯なので戦車が使えずトラックで派兵という厳しい戦闘条件。

6. Pentagon officials praise operation

U.S. officials worried about record fatalities among their forces in Afghanistan have praised the operation and said it was helping reduce violence on the Afghan side.
作戦の成果をペンタゴンも賞賛
今年に入ってからイラク戦線よりも多く米軍兵士の戦死者を出すようになったアフガン戦線で、インド大使館爆破事件やカンダハール包囲など、タリバンの勢力復活による大規模な攻撃に脅かされたペンタゴンの高官は、今回のパキスタン政府軍によるバジュール攻略作戦の成功を賞賛し、タリバンの本拠地陥落でアフガニスタンへ越境しての攻撃もやや治まるのではないかと期待している。
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住民9名が犠牲になった23日の米軍ミサイル攻撃で爆破された家から遺留品を拾いだすミランシャーの住民一家

7. U.S. missile strikes continue

But the Americans have not halted missile strikes on suspected militants hide-outs in other parts of Pakistan's wild border region, despite Islamabad's protests that the attacks violate its sovereignty.
米軍のミサイル攻撃続行
しかし、バジュール以外の広汎なパキスタン辺境地域ではタリバンの隠れ家が随所にあり、こうした敵陣をターゲットとして打ち込まれる米軍のミサイル攻撃は、パキスタンの国家主権侵害だと首都イスラマバードを始めとして抗議デモが繰り広げられているにも拘らず、依然として継続されているのが実情である。 »» 続く
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米軍のパキスタン領土内へのミサイル攻撃は主権侵害だと抗議する、北部の都市ペシャワールの大学生
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【 米国時間 2008年10月25日 『米流時評』ysbee 訳 】
»» 次号「テロ戦争最前線レポート後編・タリバン殲滅まであと半年」へ
«« 前号「米国が推進する アルバニアとクロアチアのNATO加盟問題」へ


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9/16 号外!AIGに8.9兆円連邦救済ローン、恐慌脱出か?
9/17 経済危機と大統領選・ペイリンは共和党の自爆装置?

第2章 米国金融危機
10/01 号外!80兆円金融経済救済案、上院を通過!
10/02 下院でも通過!73.8兆円の経済救済案ついに成立!
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10/07 2日目も暴落のウォール街・前日比 ▼508ドル

第3章 グローバル金融危機
10/08 アイスランド国家破産の危機・前編
10/09 アイスランド国家破産の危機・後編(翻訳中)
10/10 号外!GMがクライスラーを吸収合併交渉!
10/12 ダウ記録的サージで危機脱出? IMF・EUの緊急サミット効果
10/13 底が見えた!グローバル・メルトダウンからの Uターン
10/14 ウォール街実録・暗黒の7日間(翻訳中)

第4章 ポスト恐慌のニューパラダイム(予定)
10/15 堕ちた偶像アメリカの救済・オバマ対マケインの政治学(予定)
10/16 堕ちた偶像アメリカの救済・オバマノミクスと米国経済再建案(予定)

by ysbee-2 | 2008-10-25 07:36 | パキスタン戒厳令の季節

アルバニアとクロアチアのNATO加盟作戦

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   ||| アルバニアとクロアチアのNATO加盟問題 |||

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 米国が後押しするアルバニアとクロアチアのNATOメンバー国加盟問題
 旧ソ連邦の脱共産圏国家をめぐるロシアと米NATO連合軍の熾烈な確執


d0123476_18552829.gif 今週は昨日まで3日間、グルジア紛争後の
米国・ロシア関係の意外な進展に関して書いてきた。
ライス長官やチェニー副大統領は、
親米派で知られるグルジアのサアカシビリ政権の立場を支持してきた。

 しかし、国務省の動きとは裏腹に
 ペンタゴンはロシアとの直接交渉で、
 バルカンと並ぶヨーロッパの火薬庫である
 コーカサス地域の鎮静に乗り出したようである。
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トップ:コーカサスの冬は長い 旧ソ連邦領土だった元共産圏国家の離脱を抑えようと必死のロシア軍の防衛体制
上:NATO加盟の意向を訴えるグルジアのサアカシビリ大統領だが南オセチア侵攻の勇み足がグルジア紛争の契機に


 この地域のカスピ海沿岸国家、
 アゼルバイジャンのバクー油田をめぐる資源戦争の背景は、
 昨年夏のエントリー「ユーラシアの回廊・帝政ロシアの首飾り」と
 「ユーラシア大連邦と第三次世界大戦の兆候」でも詳説した。

 帝政ロシア時代からの恩執をひきずる コーカサスの小国家群に関しては、
 限りない民族抗争とロシアとの確執が、
 歴史のタピストリーの中に 重層に織り込まれていて、
 ニュース記事のタイトルからだけでは決して理解できない、
 複雑なパワーバランスの迷図が横たわっている。

 この地域の地政学に興味をお持ちの方には、
 ぜひご一読いただきたい自薦の記事である。
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カスピ海と黒海にはさまれたコーカサス地域は、古代から異文化の交流する要の地点として、文明と戦争の興亡の歴史を歩んできた。特に20世紀初頭に発掘されたバクー油田を擁するアゼルバイジャン、アルメニア、グルジアは、民族闘争と資源戦争の難問を抱えたまま世紀を超えてきた国々であり、バクー=トビリシ=ジーハンと伸びるBTCパイプラインの確保は、ロシアとそれにに対抗する国家群の紛争の焦点となっている。

 米軍の総司令官ミューレンと ロシアの総帥マカロフが、
 電話で直接連絡をとりあって、ついに実現したヘルシンキ会談。

 その結果の公式発表は 未だないとは言うものの、
 関係者が漏らした証言では「新冷戦解消」の方向へ、
 両国関係の風向きが転換したようである。

 その態勢が進展すれば、やがて外交のトップ同士の
 正式会談がもたれるだろうことは 想像に難くない。
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グルジア紛争勃発と同時に、国境地帯に終結していたロシア地上軍の数千台の戦車大隊は一気に南オセチアへ侵攻した

 しかし、また新しい難問が浮上した。

 グルジアの南隣の小国アルバニアと、バルカンのコソボの隣国クロアチア……
 その両国をNATOに加盟させようとする、ブッシュ政権の動きである。

 両国とも、冷戦時代にはソ連の翼賛下の共産主義国家であったが、
 モスクワが冷遇した異民族辺境国家の例に漏れず、
 法外な課税と収奪で泣かされてきた、
 いわばクレムリンの隷属領地であった。

 したがって、81年のソ連邦崩壊後に、両国が民主主義国家として独立し、
 モスクワに自由の反旗を翻したことは言うまでもない。
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旧共産圏国家でソ連の圧政を耐え抜いた国々では、いまだに反露感情は険悪だ プーチン=ヒットラーの抗議

 しかしながら、国内の民主化だけにとどまらず
 NATOに加盟するとなると、事はやぶさかではない。

 両国ともロシアに対抗する最前線となる位置にあるからには、
 プーチン・メドベージェフ政権のマトリューシュカ体制が
 この動きを看過するわけがない。

 グルジア紛争で孤立化したロシアを、
 ビジネス重視路線で EU/NATOとの友好体制に復帰させようと努力する、
 メドベージェフの冷や汗が見えるようである。
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シベリアの広大なタイガ地帯にあるロシア空軍のミサイル基地をグルジア紛争後に訪れたメドベージェフ大統領

 おりしも、米大統領選の決戦日 11月4日が目前に迫っており、
 オバマとマケインの近況に関する『米流時評』の記事を
 翻訳してエントリーする宿題も山積しているのだが、
 短いけれども、非常に気になった
 「アルバニアとクロアチアのNATO加盟」への動きに関する記事を、
 その前に緊急でお届けしたい。

[米国時間 2008年10月24日『米流時評』ysbee]

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OCTOBER 24, 2008 | 『米 流 時 評』 |  時事評論ブログ雑誌・デイリー版 2008年10/24号
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  A S S O C I A T E D P R E S S | B R E A K I N G
米国が後押しする アルバニアとクロアチアのNATO加盟問題
米国時間 2008年10月24日午前7時16分 | AP通信・ニュース速報 | 訳『米流時評』ysbee

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風光明媚なアドリア海に面したクロアチアは、古代から地中海交易の要衝として栄えた 現在はEU観光が売り物

U.S. Works to Get Albania, Croatia into NATO
Bush to meet with alliance chief, but some members oppose expansion
WASHINGTON — The United States is taking another step toward getting Albania and Croatia — both isolated behind the Iron Curtain during the Cold War — folded into the NATO alliance. President Bush was to meet Friday with NATO Secretary-General Jaap de Hoop Scheffer and then sign so-called accession protocols paving the way for the two former communist nations' final membership in the military alliance.

ブッシュ外交のデザートコース
ワシントン発 |コーカサス地方のアルバニアとバルカン半島のクロアチア。冷戦時代には両国はともに、ソ連の鉄のカーテンの内側に隔離された共産圏国家であったが、今やNATOの友軍国家として西側の翼の下へ納まるために、米国はメンバーとして承認させるための外交手段をふたたび打ち出した。
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昨年6月にコーカサスの小国アルバニアを訪れたブッシュ 現役の米国大統領初の訪問とあって国を挙げて歓迎された

2. 160 diplomats for signing ceremony

The White House invited to the signing ceremony about 160 lawmakers, members of the diplomatic corps, the U.S. ambassadors to Albania and Croatia, and members of Albanian-American and Croatian-American groups. NATO leaders agreed at a summit earlier this year in Romania to invite Albania and Croatia into the alliance.

アルバニア・クロアチア加盟への道程
ブッシュ政権はアルバニアとクロアチア両国の外交関係者や両院議員、現地駐在の大使、米国と両国の友好協会代表の総勢160名をホワイトハウスへ招待し、NATO加盟国としてのメンバー申請書に両国代表の署名に立ち会わせると言う祝賀的会合を催した。NATO首脳部は、今年前半にルーマニアで拓かれた防衛サミットへ、アルバニアとクロアチアを友軍国家としてオブザーバーで招待していた。
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左:アルバニア、クロアチア、マセドニアの元首と友好国の合意/右:アルバニア首脳と政府軍精鋭部隊と記念写真

3. Uninvited Ukraine and Georgia

However, the alliance rebuffed U.S. attempts to begin the process of inviting Ukraine and Georgia, both former Soviet republics, to join. Despite strong U.S. backing to bring them in, Germany, France and some other alliance members opposed the move, fearing it would provoke Russia. The idea of NATO enlargement on its doorstep has irked the Russians.

ウクライナとグルジアの出席は拒否
しかしながらNATOメンバー諸国は、米国が旧ソ連邦国家だったウクライナとグルジアに対しては、メンバー参加の第一歩のプロセスであるオブザーバー招待からスタートする試みを却下した。ウクライナ、グルジアの両国に関しては、米国が強力に推進しているが、ドイツ、フランスとその他の数カ国は、両国加盟への動きはロシアを挑発するからという理由で反対している。NATO拡大のこうしたステップは、とりもなおさず旧ソ連邦国家の西側への転身を促す事に他ならず、覇権の境界線の後退を余儀なくされるロシア側の、神経を逆撫でする結果を招いている。
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ソ連時代の圧政に泣いたアルバニアは現在でもロシアに対する敵意が強い。その反動として親米意識も浸透している。

4. Russia unhappy with NATO expansion

Ties between Russia and NATO members have been further strained by the Georgia-Russia conflict. The war erupted in August when Georgia launched an attack to regain control over South Ossetia, which broke from Georgian control in the early 1990s. Russian forces swiftly repelled the attack and drove deep into Georgia.

ロシアが嫌う旧共産圏へのNATO拡大
元々親密ではなかったロシアとNATO諸国の友好関係は、今夏のグルジア・ロシア紛争でさらに溝が深まってしまった。8月6日に勃発した戦闘は、90年代の冒頭にグルジアの統治から離脱した南オセチア自治州において、本来の統治権を奪回しようと図ったグルジアが、オセチア独立運動ゲリラに最初に攻撃をかけたことに端を発する。
これをきっかけにして、今度はロシア政府軍が「オセチア駐留のロシア警備兵が攻撃を受けた」という理由で、あっという間に国境を越え南下して侵略。陸海空三軍による大規模な爆撃の総攻撃で、オセチアだけでなく、地中海側のアブハジア自治州とグルジア中央部全域を制圧。一時はグルジアの首都トビリシを包囲する最悪の危機を招くにいたった。
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米国では支持率が2割を切る落ち目の三度笠カウボーイだが、旧共産圏で民主化したいわゆる「ユーラシアの回廊」国家では圧倒的人気があるブッシュ。悪の枢軸論のような前時代的シンプルな浪花節外交が、受ける由縁だろうか?

5. For complete accession to join NATO

Albania and Croatia will be eligible to join NATO when all 26 allies have ratified the accession protocols. Slovakia and Hungary have ratified them to date. NATO officials hope Albania and Croatia will be able to participate as full members at next year's summit.

NATO加盟に必要な26カ国合意
アルバニアとクロアチアは、現在NATO加盟の26カ国代表全員が、加盟承認の議定書を批准した場合のみ、参加が可能となる。旧ソ連邦国家としては、すでにスロバキアとハンガリーが批准されている。NATO首脳部の思惑としては、アルバニアとクロアチア両国も、来年のサミットが開催される際には、正規の加盟国として参加出席できるものと見ているのが実情である。 [了]
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【 米国時間 2008年10月24日 『米流時評』ysbee 訳 】 
バルカンやコーカサスの「帝政ロシアの首飾り」と呼ばれる諸国には、20世紀初頭のロシアンバロックの素晴らしい建築が無限に点在する。特にギリシャ正教会や美術館・劇場・駅・市庁舎などの公共建築で現存している。[写真をクリックすれば拡大して見られます]

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d0123476_10383762.jpg||| 特集・新冷戦終焉の夜明け |||
10/21 特報!ヘルシンキ会談・グルジア紛争で米・ロが軍事的解決
10/22 米流時評:新冷戦から平和へ!米・ロ関係も新時代へ転換か
10/23 新冷戦は終わった!ヘルシンキ会談に見る米ロ関係のシフト
10/24 米国が推進する アルバニアとクロアチアのNATO加盟問題

»» 次号「テロ戦争最前線レポート・タリバンの要塞バジュール陥落」へ
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||| 『米流時評』グローバル恐慌レポート |||
第1章 ウォール街金融危機

9/14 号外!メリルリンチを500億ドルでBOAが買収
9/15 ウォールストリート大暴落、9/11以来のメルトダウン
9/16 号外!AIGに8.9兆円連邦救済ローン、恐慌脱出か?
9/17 経済危機と大統領選・ペイリンは共和党の自爆装置?

第2章 米国金融危機
10/01 号外!80兆円金融経済救済案、上院を通過!
10/02 下院でも通過!73.8兆円の経済救済案ついに成立!
10/06 ウォール街暴落1万ドルの大台を割る 大恐慌2.0?
10/07 2日目も暴落のウォール街・前日比 ▼508ドル

第3章 グローバル金融危機
10/08 アイスランド国家破産の危機・前編
10/09 アイスランド国家破産の危機・後編(翻訳中)
10/10 号外!GMがクライスラーを吸収合併交渉!
10/12 ダウ記録的サージで危機脱出? IMF・EUの緊急サミット効果
10/13 底が見えた!グローバル・メルトダウンからの Uターン
10/14 ウォール街実録・暗黒の7日間(翻訳中)

第4章 ポスト恐慌のニューパラダイム(予定)
10/15 堕ちた偶像アメリカの救済・オバマ対マケインの政治学(予定)
10/16 堕ちた偶像アメリカの救済・オバマノミクスと米国経済再建案(予定)

by ysbee-2 | 2008-10-24 10:48 | ユーラシアの回廊

新冷戦は終わった!米露ヘルシンキ会談でピースシフト

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   ||| 米露ヘルシンキ軍事会談でピースシフト |||

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米・ロ両軍最高司令官のヘルシンキ会談が示す、両国外交の新しい兆候
ロシアはNATO評議会復帰の意向、東欧ミサイルシステム計画続行?


10/21 時評「ヘルシンキ会談・グルジア紛争で米ロが軍事的解決 」からの続き
10/22 時評「新冷戦から平和へ!米ロの意外な軍事シフト」と併せてお読みください

フィンランド・ヘルシンキ発  | AP通信・ニュース速報 | 訳『米流時評』ysbee
米国側の代表団の談話によると、今回の会談はロシアのマカロフ上級大将の提案を受けたものであり、双方の軍事トップは、グルジア問題、黒海の開発の権利問題、そしてNATOに関連した議題として、アフガニスタンでのテロ戦争まで、広汎な問題に関して話し合った模様である。

上:グルジア戦争後アゼルバイジャンの首都「カスピ海の黒い真珠」バクーを表敬訪問したメドベージェフ大統領
下:フィンランドの首都ヘルシンキに入港するヨーロッパクルーズの客船 北極周りの航路の主要寄港地でもある

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U.S., Russian Military Hold Top-ranks' Talks
Finland hosts highest-level discussions since Georgia war strained ties
OCTOBER 21, 2008 | Associated Press — BREAKING | Translation by ysbee
HELSINKI, Finland — The top U.S. military officer met Tuesday with his Russian counterpart — who led the invasion of U.S. ally Georgia — signaling a thaw in relations between the two powers. Adm. Michael G. Mullen, the chairman of the Joint Chiefs of Staff, and Russian Gen. Nikolai Makarov, discussed Georgia, missile defense, and Russia-NATO relations, officials said.


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OCTOBER 23, 2008 | 『米 流 時 評』 |  時事評論ブログ雑誌デイリー版 10/23号
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  A S S O C I A T E D P R E S S | B R E A K I N G
ヘルシンキ会談が示す新冷戦の終焉と 米国・ロシア新時代開幕の兆候
米国時間 2008年10月21日午前10時52分 | AP通信・ニュース速報 | 訳『米流時評』ysbee

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今年5月9日の戦勝記念日に各州配属の司令官を観閲するメドベージェフ大統領 後続はセルジュコフ国防相

9. Conflict over Georgia's defense system

The U.S. sharply criticized Russia's invasion of Georgia, a stalwart U.S. ally and aspiring NATO member. It has received hundreds of millions of dollars in economic aid and its armed forces received extensive training from U.S. instructors.
グルジアの防衛体制をめぐる米露対立
8月のグルジア紛争直後、米国の忠実な友軍でありNATOメンバー加盟を嘱望しているグルジアに対して行ったロシアの侵略行為を、米国は手厳しく批判した (グルジアはテロ戦争に積極的に参戦し、イラクへも2千名派兵していた)。グルジアは (親ロシア政権からバラ革命を経て親米派のサアカシビリ政権に移行して以来) 米国から数億ドル(数百億円)の経済援助を受けており、またグルジア政府軍は、全面的に米軍の軍事指導を受けて実戦演習を行なってきた。
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ネオコンのポチと呼ばれるほど、ブッシュ政権の言いなりに親米姿勢で国防体制を強化してきたグルジアのサーカシビリ大統領。マケイン候補とも親密だが、一説にはタカ派がそそのかしたと噂されるオセチア鎮圧戦略が裏目に出て、逆にロシアが侵攻する理由を与えてしまった。(この下の写真キャプションに続く)

10. Georgia's aggressive moves irked Russia

Those moves irked Russia, which views Georgia as part of its historical sphere of influence and fears the prospect of another former Soviet republic joining NATO.
コーカサス最前線の親米国家グルジア
コーカサス地帯の中枢に位置しソ連の南端と国境を接するグルジアの、こうした一連の親米的な国家姿勢は、ソ連時代には共産圏の連邦の一部であり、歴史的にグルジアに隷属を強いてきたロシアの目から見れば、非常に危険な敵性国家に映ったのも当然で、東欧や中央アジアの旧ソ連邦国家へも、グルジアの親米態勢が伝播するのを恐れた結果、オセチア防衛と言う大義名分の元に、グルジア内部まで深く侵攻する結果を招いた。
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オセチア防衛とは名ばかりで、ロシア陸軍の戦車隊はグルジアの首都トビリシの境界線まで迫り、サアカシビリが「首都決戦で死守」を国民に訴える最悪の危機もあった。また一時停戦後もロシア軍は最前線から撤退せず、20日以降までグルジア国内に駐屯し続けた。

11. A major step forward in U.S-Russian relations

Finnish Maj. Juha Makela, a researcher at the National Defense University in Helsinki, described Tuesday's meeting as a major step forward in U.S-Russian relations. "It shows they are really trying to talk about matters at a practical level," Makela said. "This is probably the first phase in a round of talks that will end up with discussions at a political level."
米ロ対立の緩和に大きなステップ
会議の主催国となったフィンランドの首都ヘルシンキにある、国立防衛大学の研究員を務めるユハ・マケラ大尉は、火曜の軍部トップ会談は、今後の米国とロシアの軍事外交関係において大きな第一歩を踏み出したものと評価する。
「両国軍部のトップ同士が直接会談に踏み切ったという状況は、ロシアと米国の双方とも、軍事上の実戦段階での具体的条件を細部まで突っ込んで話し合うために、乗り気になっている証拠と言えるでしょう。多分今後も何回か同様の会議が持たれたあとで、政治的レベルの (政府首脳の) 公式会談へと収束していくものと予測できます。」
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一時は首都トビリシが占領されれば、旧ソ連時代のポーランド侵攻やプラハ占領の二の舞で、ロシアと米国の間に新冷戦再開かと危機が危惧された。しかしフランスのサルコジ大統領やドイツのメルメル首相が両国の間で交渉役となり、ロシアによる占領で「亡国のグルジア」に陥る惨状をあやうく免れた。

12. Clashed over U.S. MDS in Poland, Czech

Washington and Moscow have also clashed over U.S. plans to base elements of a missile defense system in Poland and the Czech Republic. Russia fears the system would be used to either spy on its military or reduce its nuclear deterrent.
米軍の東欧ミサイル防衛システム問題
ワシントンとモスクワの両国の政府は、グルジア紛争以外にも、米国がポーランドとチェコに予定しているUS-MDS/米軍ミサイル防衛システムの基地計画をめぐって、新冷戦時代開幕かと脅威をもたれるほど対立が深刻化していた。ロシア側では、このミサイル基地計画はロシア軍の動向を探査するレーダーやスパイ衛星と、核ミサイルの脅威を削減する迎撃ミサイルの設置が主目的であるとして、米国の主張する「対イラン防衛」説を却下し、計画に正面から反対してきていた。
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グルジア停戦後、ロシアのロケット打上げ基地のあるカザクスタンのコスモドロームを視察するメドベージェフ

13. Fostering a good military-to-military relationship

One official said the Defense Department wants to "continue to foster a good military-to-military relationship with an important country." Another said information about the meeting had been kept "very low key" — meaning the number of people aware it was going to happen was limited.
西側との軍事的友好関係を温存
米国政府の一高官は、こうした歩み寄りの状況を「重要な相手国との軍部対軍部のダイレクトなパイプを、良好な関係に育てていきたいという国防総省の思惑の現れ」と説明した。また別の高官は、今回の会談が極めて少数の内輪の当事者にしか知らされない形で、ほとんど秘密裏に行われた、という事実も明らかにした。
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米軍が軍事教練をしているとロシアが指摘し非難するグルジア国土防衛軍。

14. Agreement on periodical military talks

And that he had no information about any specific issues discussed. Both spoke on condition of anonymity because they were not authorized to speak about it on the record. Makarov told the ITAR-Tass agency that he and Mullen agreed to discuss military matters "periodically" by phone "and if necessary, in face-to-face talks."
定期的な二国間の軍事会談継続で合意
同高官はまた、会議で話し合われた特定の議題についても外部へは一切知らされていないとも語った。両高官ともあくまで匿名でと言う条件の下に以上の情報を漏らしたが、記録に残る発言は公式には発表できない立場にいるためである。
一方ロシア側では、マカロフ統合司令官がイタル・タス通信の取材に答えた内容では、彼とミューレン統合参謀本部長は「会議終了後も継続して定期的に電話で話し合い、必要であれば実際に顔を合わせる実質的会談を持つ予定」という両国の合意に達したと語っている。
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ロシア軍の空爆で破壊されたグルジア陸軍のイスラエル製戦車。グルジア政府軍の近代兵器は米国のユダヤロビイストの仲介でイスラエルの兵器産業から購入。まだ表沙汰にはなっていないが、この仲介役に共和党のマケイン及び彼の参謀が一役買っているというのが通説。マケインが負ければ、こうした戦争産業ロビイストへの民主党の弾劾が始まる。

15. Mullen's direct call to Makarov

After the Georgia-Russia crisis broke out Aug. 6, Mullen spoke on the phone with Makarov, who presided over Russia's incursion into Georgia over the breakaway provinces of South Ossetia and Abkhazia, the American Forces Press Service said, quoting an unidentified source.
ミューレンが直接マカロフと電話会談
今回の軍事トップ会談は、8月6日にグルジアとロシアの間で武力衝突が起きた直後にミューレンが電話を会して直接マカロフと話し合ったのがきっかけだったと言われる。「マカロフ統合参謀本部長は、南オセチアとアブハジア両自治州をめぐって両州をグルジアの攻勢から守ると言う大義名分の元、グルジア領土内まで侵攻したロシア三軍の総指揮をとっていた責任者である」という未確認の消息筋からの情報をAFPS/米軍広報サービスは伝えている。
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ロシアの空爆で痛めつけられたグルジアの要港ポチに入港した、人道支援の米海軍戦闘艦USSマウント・ホィットニー

16. Issue of military service for humanitarian aide

The report said after the fighting started the men discussed the flight of U.S. Air Force C-17 transport jets that carried Georgian troops serving in Iraq back to the Georgian capital, Tbilisi, and later they discussed the USS Mount Whitney, which carried humanitarian supplies to the Georgian port of Poti. Makarov gave assurances that Russia would not interfere with the U.S. military movements, the Pentagon report said.
人道的救援に軍用機使用の問題
AFPSのレポートによると、両司令官はイラクの前線に派兵していた2千人のグルジア政府軍兵士を、グルジアの首都トビリシまで緊急移送するために、米空軍のC-17輸送ジェット機を飛ばした件についてやりとりがあり、そのあとでは人道的救済物資を搭載してグルジアの軍港ポチに入港した、米海軍戦艦USSマウント・ホィットニーの運行に関しても話し合った、と伝えている。
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テロ戦争では米軍に積極協力体制をとるグルジア。祖国の危機とあってサアカシビリ大統領がブッシュに泣きつき、イラクに派兵していた2千名のグルジア政府軍兵士は、急遽米空軍の大量輸送機C-17で首都トビリシ郊外へ搬送された。

17. Accusation over NATO's double standards

Two months ago, Russia halted military cooperation with NATO, accusing the West of "double standards" over the Georgia conflict. However, it said it still wanted to keep working with the alliance to fight terrorism and drug trafficking.
グルジア紛争でのNATOのダブルスタンダード
空路と海路の両面で米軍がグルジアの窮地を救うべく展開した作戦に対して、マカロフはミューレンに「ロシア側はその輸送路を (ミサイル攻撃などで) 妨害しない」と保証した。今から2か月前の当時の段階では、グルジア紛争に際して西側がダブルスタンダードを行使したと非難して、ロシアはNATOへの軍事協力体制を急遽ストップした。しかしながらそうした険悪な雰囲気の当時にあってさえ、ロシアはテロ戦争と麻薬撲滅の闘争には、西側の友軍として協力したいと申し出ていたのも事実である。
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ヨーロッパ中でロシアのグルジア侵略に抗議するデモが繰り広げられる一方で、モスクワではプーチンの親衛隊的役割のNASHI が、サアカシビリの南オセチア攻略を「オセチア人ジェノサイド」と決めつけ、連日抗議デモを展開した。

18. Memorable day for Adm. Mullen

Tuesday's meeting came a day after Mullen became the first chairman of the Joint Chiefs to visit Belgrade since 1951. He met Serbian counterpart Gen. Zdravko Ponos, and the two said military cooperation between their countries was good, despite strained political relations over Kosovo. Mullen was to visit the Baltic republic of Lithuania on Tuesday.
ミューレン総督の記念すべき日
火曜の米ロ軍事トップ会談は、ミューレンが三軍統括の統合参謀本部長に任命された翌日の事であり、両国の軍事機関の最高位にある軍人同士の話し合いとしては、1951年のベルグラード会談以来の画期的会議となった。
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バロックの教会建築がオールドタウンのあちこちにそびえるバルト三国、リトワニアの瀟洒な首都ヴィルニウス

ミューレン総督はその後、セルビアでも政府軍総帥のズラフコ・ポノス将軍と会談し、今年前半のコソボをめぐる紛争で両国間が緊迫していたにもかかわらず、両者そろって二国間の軍事的協力体制は極めてうまく行っていると記者発表した。ミューレン総督はその後21日火曜には、バルカン半島のリトアニア共和国を訪問し、同様の「軍事外交」を続ける予定である。 [了]
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【 米国時間 2008年10月23日 『米流時評』ysbee 訳 】 
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10/21 特報!ヘルシンキ会談・グルジア紛争で米・ロが軍事的解決
10/22 米流時評:新冷戦から平和へ!米・ロ関係も新時代へ転換か
10/23 新冷戦は終わった!ヘルシンキ会談に見る米ロ関係のシフト
10/24 米国が推進する アルバニアとクロアチアのNATO加盟問題

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by ysbee-2 | 2008-10-23 13:45 | 次世代冷戦時代

新冷戦から平和へ!米ロの意外な軍事シフト

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  ||| 米ロ新冷戦から平和へのシフト |||

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グルジア戦争は米・ロに何を残したか? 両国外交のヘルシンキシフト
ブッシュ/プーチン覇権の体制からメドベージェフ/オバマ繁栄の体制へ


d0123476_18552829.gif 昨日のエントリーを読んで「米ロが和平会談?」ととまどわれた方も多いと思う。従来の方程式にはあてはまらない進展だからである。まず第一に気がつくのは、ロシア側では少数民族の保護とか、グルジア側ではテロリストの掃討とか、いくら奇麗事を言っても「グルジア紛争はやはり米ロ新冷戦の代理戦争だった」という点。

物理的に砲弾を撃ち交わしたのは、南下した側のロシアと侵略された側のグルジア両国なのだから、本来ならば仲介役をはさんでも、この当事国の間で解決を話し合うのが筋だったはずだ。そもそものいきなりの開戦が、8月の9日。その後は各国のテレビニュースが刻々とレポートする悲惨な映像を、呆然とみつめるばかりだった。(歴史チャンネルの第二次大戦やベトナム戦争の回顧録のようなドキュメンタリー以外では、ただ今この時点で進行中の「生の空中戦」をテレビのニュースで見るという体験は初めてで、恐怖と恍惚の入り交じった不思議な心理……開高健が「輝ける闇」と表現したのはまさしく。)

▶関連記事:8/10 オセチア紛争勃発!南オセチア攻撃で住民1600名死亡!
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それから19日の一時停戦までにも、フランスのサルコジ大統領やドイツのメルケル首相は直接首都トビリシを訪れ、ロシアの侵攻占領による亡国一歩手前のサーカシビリ大統領を激励する立場を明らかにし、小国グルジアに対するロシアの脅威にクッションを入れたことは確かである。

またその後2か月経つ現在までにも、米国のライス国務長官は元よりチェニー副大統領も同国を訪問。ロシアと国境を接しながらも対抗する姿勢を崩さないグルジアのサーカシビリに対して、両者ともロシアとの紛争解決というよりは、旧ソ連邦のコーカサス地方で民主主義を推進する「親米国家の優等生」に対する慰労の印象が強かった。

▶関連記事:8/26 メドベージェフの新冷戦宣言 ポストグルジア戦争のコーカサス
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しかしこれでは、事態は少しも快方へ向かわない。無差別の空襲による爆撃で、家を焼かれ家族を失い命からがら故郷を捨てて避難してきた、オセチア住民だったグルジア人が、今や数十万の難民と化し人道問題になっている。ヨーロッパ各国でのロシア侵攻に抗議するデモや、難民支援運動も活発だった。

しかし、ロシアの銃口をへし折るのに一番効果があったのは「中国のロシア不支持」だったように思える。国連の安保理事会で、軍事演習まで共同で実行する兄弟分だったはずの中国が、最終票決でロシアの侵攻を非難する側に回ったのは驚きだった。

▶関連記事:8/28 中央アジアの逆風|グルジア侵攻で米露対決
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もちろんその裏には、ロシアからの燃料供給を反古にしても大丈夫、という中国側の計算があったのだろう。代替エネルギーは、フランスと提携して開発中の原子力なのか。あるいは米国が直接ニューエネルギー計画の推進協力を申し出たのだろうか。利益のない選択はしない中国だから、某かの巨大な保証を取り付けた上で、ロシアに反旗を翻したのだろうことは想像に難くない。

ロシアの「オセチアを発火点としてグルジアからアゼルバイジャンへ」というコーカサスの資源戦争の戦略は、侵攻以前の思惑に反して、ガスプロの偉大な顧客であり共産主義国家としての兄弟分である、ロシアがもっとも頼りとする中国の同意が得られない、という思いがけない結末を招いた。

▶関連記事:9/29 上海「非協力」機構|中国離反でロシア孤立化へ
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かくして、旧ソ連邦の同盟国家圏を復活するというプーチンの野望は叶わず、その後ベネズエラへロシア艦隊を出動してミサイル設置をほのめかし「キューバ危機の再来か」と米国の肝を冷やす一幕もあった。しかし、しかしである。嵐の去った後の奇跡的な青空のように、青天の霹靂とも思えるような一陣の風が、極北のフィンランドから吹いてきた。

噂ではなく、現地駐在米国大使館の広報官からの事後通達である。AP通信の記事のタイトル「Unannounced Talks=非公表の会談」からは、「特ダネ」に近い雰囲気が漂う。しかも会談の主役は、大方の予想を裏切って、国務省の外交官同士ではない。米国もロシアも、全軍を総括する最高責任者同士の「将軍会議」である。ヘルシンキという国際外交の表舞台で、これほど意外な配役でいきなり開幕した展開というのも珍しい。

▶関連記事:8/11 ユーラシア大連邦と第三次世界大戦の兆候(再掲出)
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案の定、日本のマスメディアではまったく触れてないようだ。ブログでさえ扱っている記事はほとんどみつからない。みなさん、これはひょっとしてどころか、ちょっとやそっとじゃない大事/おおごとですよ!
その理由:
・まず第1に、米国とロシアがここ3年間で乖離してきた溝を埋めようとしている事。
・第2に、国務省という外交の正式機関ではなく、国防省が会談の第一線に出てきた事。
・第3に、米国もロシアも軍の中枢部では、従来の好戦的なタカ派が後退して和平派がトップに立っているのではないかと言う事。
・第4に、任期あと100日を切ったブッシュは論争の対象圏外としても、メドベージェフの手綱を握っていたプーチンの、これまでの強気の攻略戦略が「手控え」の状態になっているのではないか、ということ。


特に4番目の「プーチンとメドベージェフの間に、グルジアでの失敗をめぐって微妙なパワーバランスのシフトがあったのではないか?」と言う点が、私にとってはもっとも興味を引く疑問である。今後注目すべきは、ロシアの持ち駒であるチャベスのベネズエラ、特にカストロの病状如何で急変するだろうキューバの社会状況、コーカサスのオイルリッチ国アゼルバイジャン、ウラニウム資源や宇宙開発委託で破竹の勢いのカザクスタン、それに東欧ミサイルシステムの建設現場、ポーランドとチェコである。

▶関連記事:8/11 ユーラシアの回廊・帝政ロシアの首飾り(再掲出)
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昨日のエントリーの続きの記事にちょっとした説明を補足するつもりが、すっかり長々と書いてしまった。これはこれで、『米流』のオリジナルな時評としてエントリーすることにしよう。ともかく言いたかったことの核心は、これまで8年間の、正確に言えば9/11以来の世界がひたすら破滅に向かっているのではないかという重苦しい不安の雲が、ヘルシンキからの一陣の風で去りつつある、ということである。これはきっと、オバマの勝利に確実性が見えてきた事と無縁ではあるまい。

メドベージェフが大国の元首としての自覚に目覚め、大統領就任後のオバマとともに平和的建設の方向へ歩みだすならば、テロ戦争も経済危機も乗り越えられるだろう。ブラウンもサルコジもメルケルも、自ら戦場を造り出すような無謀なカウボーイではない。そうなれば、中国だけが国際倫理の問題児として取り残される。
戦争で笑うのは、戦争産業の悪のビジネスマンと投資家だけである。死者の復讐は、さらなる死者を呼ぶばかりだ。猿の祖先から幾千万の月の出と日の出を眺めてきた人類よ、ここらでいい加減、成人しようじゃないか。
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【米国時間 2008年10月22日『米流時評』ysbee】
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»» 次号「冷戦は終わった!ヘルシンキ会談に見る米ロ関係のシフト 」へ
«« 前号「特報!ヘルシンキ会談・グルジア紛争で米ロが軍事的解決 」へ


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||| 『米流時評』グローバル恐慌レポート |||
第1章 ウォール街金融危機

9/14 号外!メリルリンチを500億ドルでBOAが買収
9/15 ウォールストリート大暴落、9/11以来のメルトダウン
9/16 号外!AIGに8.9兆円連邦救済ローン、恐慌脱出か?
9/17 経済危機と大統領選・ペイリンは共和党の自爆装置?

第2章 米国金融危機
10/01 号外!80兆円金融経済救済案、上院を通過!
10/02 下院でも通過!73.8兆円の経済救済案ついに成立!
10/06 ウォール街暴落1万ドルの大台を割る 大恐慌2.0?
10/07 2日目も暴落のウォール街・前日比 ▼508ドル

第3章 グローバル金融危機
10/08 アイスランド国家破産の危機・前編
10/09 アイスランド国家破産の危機・後編(翻訳中)
10/10 号外!GMがクライスラーを吸収合併交渉!
10/12 ダウ記録的サージで危機脱出? IMF・EUの緊急サミット効果
10/13 底が見えた!グローバル・メルトダウンからの Uターン
10/14 ウォール街実録・暗黒の7日間(翻訳中)

第4章 ポスト恐慌のニューパラダイム(予定)
10/15 堕ちた偶像アメリカの救済・オバマ対マケインの政治学(予定)
10/16 堕ちた偶像アメリカの救済・オバマノミクスと米国経済再建案(予定)

by ysbee-2 | 2008-10-22 12:32 | 次世代冷戦時代

特報!ヘルシンキ会談・グルジア紛争で米ロが軍事的解決

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 ||| ヘルシンキ会談でグルジア調停 |||

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グルジア紛争解決のため、ヘルシンキで米露両軍の最高司令官が会談
ロシア-NATO評議会復活を検討、東欧ミサイルシステム計画も議案に


フィンランド・ヘルシンキ発  | AP通信・ニュース速報 | 訳『米流時評』ysbee
[第1報]米国時間 2008年10月21日午前10時52分
21日火曜フィンランドの首都ヘルシンキで、米国とロシア軍部のトップ高官が、非公表の会談を行った事が、ヘルシンキ駐在の米国大使館職員からの情報で明らかになった。この会談には米国とロシア双方のトップレベルの軍事高官が出席したが、議題は親米国家グルジアとロシアとの間で8月に起きたオセチアをめぐる攻防戦、グルジア紛争の軍事的解決を探るものと見られている。
トップ:北欧三国のひとつフィンランドの首都ヘルシンキの港を見下ろすこの町のシンボル、大聖堂
下:オセチアから南下してグルジアの首都トビリシまで迫ったロシア軍も8月20日過ぎに撤収へ転換

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U.S., Russian Military Hold Top-ranks' Talks
Finland hosts highest-level discussions since Georgia war strained ties
OCTOBER 21, 2008 | Associated Press — BREAKING | Translation by ysbee
HELSINKI, Finland — The top U.S. military officer met Tuesday with his Russian counterpart — who led the invasion of U.S. ally Georgia — signaling a thaw in relations between the two powers. Adm. Michael G. Mullen, the chairman of the Joint Chiefs of Staff, and Russian Gen. Nikolai Makarov, discussed Georgia, missile defense, and Russia-NATO relations, officials said.


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OCTOBER 21, 2008 | 『米 流 時 評』 |  時事評論ブログ雑誌デイリー版 10/21号
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  A S S O C I A T E D P R E S S | B R E A K I N G
米国ロシア両軍総司令官が、グルジア紛争最終解決のため北欧で会談
米国時間 2008年10月21日午前10時52分 | AP通信・ニュース速報 | 訳『米流時評』ysbee

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ロシア軍の空爆と砲撃ですべての建物が破壊されたグルジア北部交通の要衝ゴリ市で、劣勢で退却するグルジア陸軍

1. Mullen-Makarov top military meeting

HELSINKI, Finland — The top U.S. military officer met Tuesday with his Russian counterpart — who led the invasion of U.S. ally Georgia — signaling a thaw in relations between the two powers. Adm. Michael G. Mullen, the chairman of the Joint Chiefs of Staff, and Russian Gen. Nikolai Makarov, discussed Georgia, missile defense, and Russia-NATO relations, officials said.
ミューレン・マカロフ軍事トップ会談
[第2報]米国時間 2008年10月21日午後3時46分
会議には、米国側からNATOの総司令官に任命されたばかりのマイケル・G・ミューレン米軍統合参謀本部長、ロシア側からニコライ・マカロフ総司令官が、それぞれ両国を代表して出席。議題はグルジア紛争の解決とロシア-NATO評議会復活に関してだったと、会議に同席した米国政府高官は伝えている。
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右からロバート・ゲイツ国防長官、ブッシュ大統領、米三軍を総括するマイケル・ミューレン統合参謀本部長

2. The first meeting since Georgia conflict

The talks, at a secluded riverside mansion outside Helsinki, were the highest-level military meeting between the two countries since Russia's war with Georgia in August, which strained already tense ties between Washington and Moscow.
グルジア紛争以来 両国初の直接会談
ヘルシンキ郊外の河畔に立つ城館で行われた今回の軍事会談には、米国とロシアと両国の最高ランクの指揮官が出席した。8月にグルジア・ロシア紛争が勃発して以来、モスクワとワシントン両政府の関係はそれまで以上に急激に緊迫し悪化したが、今回が両国間のトップクラスの高官が直接話し合う初めての機会である。
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今年6月にメドベージェフの任命を受けて、ロシア全軍を指揮する重職に新任のニコライ・マカロフ統合参謀本部長
プーチン任命の前任者ユーリ・バルエフスキー司令官は、軍部改革を受けつけない強硬派だったため変革が期待される


3. Talks on NATO and MDS in East Europe

Makarov became Russia's top military officer in June. "The two men discussed a wide range of issues, including the future of NATO and the current status of missile defense systems in Europe," said Kim Hargan, a spokesman for the U.S. Embassy in Finland. Mullen later called U.S. Defense Secretary Robert Gates.
NATOとの友好復帰と東欧MDS問題
ロシア代表のマカロフ参謀総長は、今年6月にメドベージェフ政権下でロシア全軍の最高位である上級大将に任命された (米軍で言えば統合参謀本部長)。今回の米国側代表ミューレン参謀本部長との話し合いでは、広汎な問題が討議されたが、その中にはNATOとロシアの今後の取り組み方 (連繋体制) と米軍が建設中の東欧のミサイル防衛システムも含まれていたと、フィンランド仲裁米国大使館のキム・ハーガン広報官は伝えている。
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国際紛争の現場へ常に真っ先に駆けつけるフランスのクーシュネル外相 8/11紛争勃発直後ゴリの惨状を視察

4. Gates pleased with the outcome

Hagan reported to Gates that they had a "productive, businesslike conversation," Pentagon press secretary Geoff Morrell said in Washington, adding that Gates was pleased with the outcome.
会談の成果に満足のゲイツ国防長官
ミューレン参謀本部長は、会議のあとですぐにワシントンのロバート・ゲイツ国防長官へ電話を入れ「ロシアとの会談は、非常に生産的でビジネスライクに進んだ」と報告したと、ペンタゴンのジェフ・モレル広報局長から発表された。さらに、この報告を受けたゲイツ長官は、会談が首尾よく行った結果に非常に喜んでいた、と付け加えた。
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グルジアのオセチア鎮圧を攻撃の理由に、オセチア人を防衛するという大義名分であっというまにグルジア領土内まで侵攻したロシア政府軍。空爆と地上軍の迫撃砲で、グルジア北部のゴリの町では無傷の建物は残っていない。犠牲者も数千人と言われながら、住民が離散して各地へ避難したため、いまだに確定数字が確認できない惨状である。

5. Georgia, Black Sea, Afghanistan

A U.S. defense official said Makarov suggested the meeting and the two military leaders covered a range of topics, including Georgia, Black Sea operations, and Afghanistan as it related to NATO involvement.
グルジア、黒海からアフガンテロ戦争まで
米国側の代表団の談話によると、今回の会談はロシアのマカロフ上級大将の提案を受けたものであり、双方の軍事トップは、グルジア問題、黒海の開発の権利問題、そしてNATOに関連した問題として、アフガニスタンでのテロ戦争まで、軍事が関連する広汎な問題に関して話し合った模様である。
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紛争勃発直後の8/12にグルジアの首都トビリシで数十万人の市民が展開したロシアのオセチア侵攻に抗議するデモ

6. Resumption of the Russia-NATO Council

Makarov told Russia's RIA-Novosti news agency that they talked about the resumption of the Russia-NATO Council, which was suspended after the Georgia war. A decision on resuming the council, a forum that brought NATO countries and Russia together, will be made in November or December "and this question remains in the American's court," Makarov was quoted as saying.
ロシア-NATO評議会の復活を検討
マカロフは今回の会談について、ロシアの国営メディアRIA-ノヴォステニュースの取材に答え「米国とロシア両国は、ロシア-NATO評議会の再開について話し合った」と語った。この軍事会議機能は8月にグルジア紛争が勃発して以来棚上げになっていたものである。NATO加盟諸国とロシアが同一テーブルで軍事的問題解決を討議するこのフォーラムの再開に関しては、早ければ11月、遅くとも12月に最終決定が下されるだろうと伝えた。マカロフの言によると「最終決定はアメリカの手の内にある」と語ったそうである。
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亡国を危機一髪で免れたグルジアのサーカシビリ大統領 最初の第一歩が軽卒だったという批判も

7. Historic place during the Cold War

Adm. Juhani Kaskeala, the head of Finland's defense forces, organized the meeting at the manor outside the Finnish capital. The neutral Nordic country shares an 800-mile (1,300-kilometer) border with its huge eastern neighbor and has been the venue of several U.S.-Russian meetings during and since the Cold War.
冷戦時代も会議場だったフィンランド
会議の開催にあたって地元フィンランドのユハニ・カスケラ防衛相は、首都ヘルシンキ郊外の城館を会議場として使用できるよう奔走した。北欧の中立国フィンランドは、国土の東端で延々800マイル(約1,300キロ)もロシアと国境を接している。また中立国であるためと、米国・ロシアのどちらからも空路で近い地の利の良さから、冷戦時代以来たびたび両国の軍事外交の会議が開かれてきた歴史を持っている。 »» 続く
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【 米国時間 2008年10月21日 『米流時評』ysbee 訳 】
ロシア陸海空三軍の大規模な侵攻作戦で一般市民も爆撃で容赦なく殺戮、ジェノサイドの様相を呈したグルジア戦争
左:オセチアを追われ難民となった数十万のグルジア人の前途は、いまだ暗澹としている /中:ベルリンで行われたロシア侵略反対デモ /右:「次はお前だ!」と指差すプーチンのポスターを掲げ侵略反対デモを繰り広げる東欧市民
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第1章 ウォール街金融危機

9/14 号外!メリルリンチを500億ドルでBOAが買収
9/15 ウォールストリート大暴落、9/11以来のメルトダウン
9/16 号外!AIGに8.9兆円連邦救済ローン、恐慌脱出か?
9/17 経済危機と大統領選・ペイリンは共和党の自爆装置?

第2章 米国金融危機
10/01 号外!80兆円金融経済救済案、上院を通過!
10/02 下院でも通過!73.8兆円の経済救済案ついに成立!
10/06 ウォール街暴落1万ドルの大台を割る 大恐慌2.0?
10/07 2日目も暴落のウォール街・前日比 ▼508ドル

第3章 グローバル金融危機
10/08 アイスランド国家破産の危機・前編
10/09 アイスランド国家破産の危機・後編(翻訳中)
10/10 号外!GMがクライスラーを吸収合併交渉!
10/12 ダウ記録的サージで危機脱出? IMF・EUの緊急サミット効果
10/13 底が見えた!グローバル・メルトダウンからの Uターン
10/14 ウォール街実録・暗黒の7日間(翻訳中)

第4章 ポスト恐慌のニューパラダイム(予定)
10/15 堕ちた偶像アメリカの救済・オバマ対マケインの政治学(予定)
10/16 堕ちた偶像アメリカの救済・オバマノミクスと米国経済再建案(予定)

by ysbee-2 | 2008-10-21 09:06 | グルジア紛争

三浦和義は殺された!ゲラゴス弁護士が真相究明要求

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 ||| 三浦和義CSI・警察の殺人隠蔽説 |||

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三浦和義の獄中自殺は、独房での殺人を隠蔽する警察の偽装だった?
ロス弁護士のマーク・ゲラゴスが、検死結果の殺人証拠で警察に反論


米国時間 2008年10月20日 | AP通信・ロス支局発 | 訳『米流時評』ysbee
日本人の殺人容疑者三浦和義の独房での死をめぐって、ロス警察は三浦自身の自殺と発表していたが、三浦を担当するマーク・ゲラゴス (正しくはギラゴス) 弁護士が、検死専門の医師に遺体の検死調査を独自に依頼して死因を解明した結果、独房内で何らかの暴力により殺されたものと断定した。
[注:マーク・ギラゴスは、O.J.シンプソンやマイケル・ジャクソン、ウィノナ・ライダー、スコット・ピーターソンの裁判で有名なロスを本拠地とするセレブ専門の弁護士。最近のクライアントはパリス・ヒルトン。日本のメディアが表記する「ゲラゴス」は誤った発音で、ギラゴスが正しい。サラ・ペイリンも間違いで、正しくはセーラ・ペイリン]

Lawyer: Japanese Man Was Killed in Jail
Police earlier said suspect in wife's murder had hanged himself
OCTOBER 20, 2008 | Associated Press — BREAKING | Translation by ysbee
LOS ANGELES — The lawyer for a businessman whose jail cell death was declared suicide by hanging says a pathologist has instead concluded that Kazuyoshi Miura was killed. Mark Geragos, Miura's lawyer, said Sunday the pathologist whom he hired to examine the body found deep tissue injuries on his back that indicated a beating.

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OCTOBER 20, 2008 | 『米 流 時 評』 |  時事評論ブログ雑誌デイリー版 10/20号
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 A S S O C I A T E D P R E S S
ゲラゴスレポート:三浦和義の自殺は、独房殺人を隠蔽する偽装だった
米国時間 2008年10月20日午後1時39分 | AP通信・ロサンゼルス支局発 | 訳『米流時評』ysbee

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ロス市警の警察署長。万一ゲラゴスの主張通りに警察が獄中殺人を隠蔽したのだとしたら、真犯人はいったい誰か?

1. Revelation of pathologist's conclusion

Mr. Geragos also mentioned a hematoma — a mass of clotted blood — on Miura's larynx could have come from a forced choking. He said the pathologist concluded the injury could not have been caused by a self-inflicted hanging. "All of this is consistent with a murder," Geragos said.
ゲラゴスの検死結果報告
ロスの弁護士マーク・ゲラゴス氏は、米国西部時間で19日日曜「検死専門の医師が三浦の遺体を検死した結果、背中に強く殴打された深い傷があることが判明した」と記者発表した。さらに喉頭部のヘマトーマ(内出血による多量の鬱血)は、(首つり以外の)外部の力で首を絞められたことが原因で生じた可能性があると補足した。こうした一連の検死結果を考察した検死医は「自重で首を吊った程度では現れるはずがない (外部から暴力を受けたと思われる) 身体的兆候の痕跡が見られた」と結論づけたとギラゴスは明らかにした。
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ロスのダウンタウンにあるゲラゴスのオフィスは旧消防署の由緒ある建物。住所もそのままEngine 5/第五分署

2. Superficial ligature mark on neck

Geragos said that pathologist David Posey found the ligature marks on Miura's neck were not consistent with hanging. "They were superficial, not left to right, not diagonal, not consistent with a hanging," the attorney said. Geragos said that after he received Posey's findings, he called the Los Angeles County Coroner's office and requested a second autopsy but was refused.
首の紐の人工的な痕跡
ゲラゴス弁護士の記者発表した内容によると、検死専門医のデヴィッド・ポージー医師が遺体を検分した結果、三浦氏の首のまわりについたひも状の痕跡にはムラがあり、通常の首吊り自殺でできる場合ならもっと一様についているはずだという意見に達したそうである。
「首についたひもの痕は人工的で、通常首を吊った場合にできるように右から左まで一様ではなく、また上向きの斜め状でもなくてムラがあった」とその検死結果の詳細を述べた。さらにゲラゴス弁護士はポージー医師から結果報告を受け取ったあとで、ロサンゼルス地区検察庁の検死局へ電話を入れ、遺体検分のやり直しを要求したが却下されたとも報告した。
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やはり妻殺しの殺人容疑で裁判にかけられたスコット・ピーターソンの弁護も担当したが、結果有罪判決で敗訴

3. Federal investigation sought

Geragos said he placed a call Monday to U.S. Attorney Thomas O'Brien to request a federal investigation but had no immediate word. Messages left Monday for Police Chief William Bratton and a coroner's spokesman were also not immediately returned. "This has all the earmarks of a cover-up and a whitewash," Geragos said.
FBIに真相究明捜査を要求
ゲラゴス弁護士は、月曜の段階で連邦法務省のトーマス・オブライエン最高裁判所判事へ電話を入れ、FBIの再捜査を要求するよう依頼したが、今のところまだ回答は戻っていないと伝えた。また同じく月曜に、ロス市警のウィリアム・ブラットン署長とカリフォルニア州検死局の広報官にも連絡を入れてメッセージを残したが、現時点ではまだ返事は届いていないと報告した。「こうした警察側の一連の『無視』の兆候が、事実の隠蔽と証拠隠滅を物語る最たるものだ」とゲラゴス氏は語った。
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ハリウッドのセレブ御用達弁護士マーク・ゲラゴス 常にトップスターのスキャンダラスな事件を取り扱うので有名

4. Police report: suicide by hanging

Miura, 61, was found dead Oct. 10 in a Los Angeles Police Department jail cell. Police said he hanged himself with a piece of his shirt less than 24 hours after he was returned to the United States to stand trial for the murder of his wife 27 years ago. The Los Angeles District Attorney's Office is investigating Miura's death, said spokeswoman Sandi Gibbons. She said she could not comment on Geragos' allegations.
ロス警察は独房で首つり自殺と発表
三浦和義(61才)は、10月10日にロサンゼルス市警察留置所の独房で死亡しているのを発見された。三浦氏は27年前に妻を殺した容疑でサイパンで逮捕され、被告として裁判所の公判に出頭するため、米国へ護送された。しかしロス市警の事件当時の発表では、米国へ到着してからわずか24時間もたたないうちに、着用していたTシャツで首吊り自殺を図り死亡した、と記者発表されていた。
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国際指名手配でサイパンで逮捕された当時の三浦和義容疑者 ついに年貢の納め時で真相解明か、と見られたのだが

5. Right after checked in the cell

Police said that Miura was last seen alive by an officer who checked his jail cell. Less than 10 minutes later, a detention officer found him hanging "with a ligature around his neck at one end of the bunk bed," according to a police report. Police have said the ligature was made from pieces of Miura's shirt.
護送、収監直後に自殺?
警察から報告された死亡前後の状況では、留置所の警官が独房で三浦の生存中の最後の姿を確認している。しかし、それからものの10分とたたないうちに三浦が死亡しているのを、護送の警官が発見した。警察の報告書によると「ベッドに端をくくりつけたヒモが首の周りに巻き付いていた」と表記している。警察の報告では、ヒモは三浦が着用していたシャツでこしらえたものと説明していた。ロサンゼルス検察局では三浦の死因を解明するために捜査中であると、サンディ・ギボンズ広報官から発表されたが、彼女はゲラゴス弁護士の公表した殺人隠蔽疑惑に関してはコメントを控えた。
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サイパンから護送されロサンゼルス空港に降り立った三浦和義容疑者 このあとロス市警の留置所独房で謎の死亡

6. 'The Japanese O.J. case'

The Miura case was a sensation in Japan, where it was known as "the Japanese O.J. case," and it had many bizarre twists. The case began Nov. 18, 1981, when Miura and his wife Kazumi were shot by unknown assailants in a downtown Los Angeles parking garage after a day of sightseeing.
ロス疑惑は日本のO.J.シンプソン事件
三浦の妻和美さんの殺人事件は、日本では「ロス疑惑」としてセンセーショナルな話題となり、O.J.シンプソン事件と同様に、状況証拠が豊富にありながら無実になった殺人事件として有名である。また事件当初から現在にいたるまで、マスコミを賑わせる紆余曲折に取り巻かれていた。
そもそもの事件の発端は、1981年11月18日に当時三浦の妻だった和美さんが、ロサンゼルス観光の2日目に、ダウンタウンの駐車場で正体不明の男に拳銃で撃たれた事件に始まる。
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ブティック・フルハムロードの経営者として羽振りを利かせた三浦夫妻だったが保険金目当ての偽装殺人疑惑が発生

7. Conspirator of his wife's murder

Miura was shot in the leg and recovered, but his wife was shot in the head and died after lingering in a coma for a year. Miura was convicted in 1994 in Japan of plotting his wife's death and was sentenced to life in prison, but the Japanese Supreme Court reversed the case and acquitted Miura in 2003.
94年に妻の殺人容疑で有罪判決
その際に三浦本人も足を撃たれたが、その後回復。しかし和美夫人は頭部を撃たれたため意識不明の重体が1年も続き、最後には死亡した(この銃撃事件は三浦が殺し屋を雇い企んだ委託殺人であるという風説が「ロス疑惑」と呼ばれる由縁)三浦は94年に妻の殺人を企てた殺人謀議の首謀者として、日本の裁判で有罪となり終身刑が宣告された。しかし上告を繰り返した結果、03年になって日本の最高裁判所は有罪判決を却下し、三浦は無罪放免となった。
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81年に発砲事件のあった現場 ロサンゼルス市ダウンタウンの駐車場 町中だがひとけのない物騒な場所

8. Charged by murder and conspiracy

Los Angeles County charged Miura with murder and conspiracy to commit murder in 1988. He was arrested in February during a trip to the U.S. territory of Saipan and extradited to the United States to face a murder conspiracy charge.
殺人・共謀容疑でロス検察局が逮捕
一方ロサンゼルス検察局では、和美さんの殺人容疑の他にも88年に起きた殺人事件に三浦が関与しているとして、逮捕令状を発行。その結果今年2月に、三浦が米国領土内であるサイパンへ旅行した段階で逮捕された。その後米国へ護送されて、殺人謀議の被告としてロサンゼルスで公判にかけられるのを待つ直前の段階にあった。 [了]
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【 米国時間 2008年10月20日 『米流時評』ysbee 訳 】
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三浦和義、ロス到着後拘置所で死亡
Japanese murder suspect dies
NBC Nightly News — October 14: Japanese suspect Kazuyoshi Miura was found dead in his Los Angeles prison cell. NBC's Mark Mullen reports.

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||| 『米流時評』グローバル恐慌レポート |||
第1章 ウォール街金融危機

9/14 号外!メリルリンチを500億ドルでBOAが買収
9/15 ウォールストリート大暴落、9/11以来のメルトダウン
9/16 号外!AIGに8.9兆円連邦救済ローン、恐慌脱出か?
9/17 経済危機と大統領選・ペイリンは共和党の自爆装置?

第2章 米国金融危機
10/01 号外!80兆円金融経済救済案、上院を通過!
10/02 下院でも通過!73.8兆円の経済救済案ついに成立!
10/06 ウォール街暴落1万ドルの大台を割る 大恐慌2.0?
10/07 2日目も暴落のウォール街・前日比 ▼508ドル

第3章 グローバル金融危機
10/08 アイスランド国家破産の危機・前編
10/09 アイスランド国家破産の危機・後編(翻訳中)
10/10 号外!GMがクライスラーを吸収合併交渉!
10/12 ダウ記録的サージで危機脱出? IMF・EUの緊急サミット効果
10/13 底が見えた!グローバル・メルトダウンからの Uターン
10/14 ウォール街実録・暗黒の7日間(翻訳中)

第4章 ポスト恐慌のニューパラダイム(予定)
10/15 堕ちた偶像アメリカの救済・オバマ対マケインの政治学(予定)
10/16 堕ちた偶像アメリカの救済・オバマノミクスと米国経済再建案(予定)

by ysbee-2 | 2008-10-20 07:56 | 欧米の見る日本
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世界の動きがよくわかる!激動する国際情勢を、欧米メディアでディープに読む…世界の「今」と真実探求に関心ある知的冒険者へ送るグローバル情報満載ブログ


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