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タグ:テロ戦争 ( 15 ) タグの人気記事

タリバンのエンドゲーム・テロ戦争の潮目

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   ||| タリバン戦線のエンドゲーム |||

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 テロ戦争8年目の潮目 パキスタンのタリバン拠点へ米軍のミサイル攻撃開始
 

d0123476_16582178.jpgここ数日で、アフガンとパキスタン国境地帯のタリバンの拠点に対して
米軍・パキスタン政府軍・アフガン政府軍の総攻撃が展開している。
7月の対タリバン戦線の戦死者数が、
米軍もNATO軍も、テロ戦争始まって以来の記録となってしまった。
もちろんそれ以前から「アフガン・サージ」(増兵)は始まっていた。

 本来のテロ戦争の目的から外れて、石油利権目当てのイラクへ侵攻した米軍。
 そのブッシュ政権の誤った指針を、本来のタリバンの拠点である
 アフガニスタンとパキスタンの国境地帯へ戻して、
 イスラム原理主義者のテロ活動の要請基地と、武器と兵力の拠点をつぶす。
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 そうした本来の戦争目標を達成するために、
 オバマ政権になってから、アフガン戦線の総司令官も首がすげ替えられた。
 
 新任のマクリスタル司令官は、イラク戦争でも
 アルカイダ・イラク戦線のリーダー、アブサヤブ・アブ・ムサウィを
 ミサイル攻撃でとどめを指した2006年の掃討作戦で、
 米空軍特殊部隊の攻撃を率いた、歴戦の強者である。
 
 ブッシュ時代の、投げやりなアフガン戦略から一変して、
 教育施設の建設や、農業灌漑事業の支援も始まった。
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 戦闘だけでなく、内政の充実、特に産業振興で職場を創成して
 タリバン組織へ若者が流れるのを阻止するという、
 きわめて当たり前の「戦後政策」に手を付けている。
 
 今回のエントリは8/8号の続編になるが、
 これ以降も、アフガンとパキスタンの両面展開で、
 タリバンを挟み撃ちにするべく、熾烈な銃撃戦が続いている
 国境地帯の戦闘状況をお伝えします。

【米国時間2009年8月10日『米流時評』ysbee 訳】

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  AUGUST 10, 2009 | 『米 流 時 評』 |  時事評論ブログ雑誌・デイリー版  2009年8月10日号
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 タリバンのエンドゲーム パキスタンの拠点へ米軍ミサイル攻撃
 米国時間2009年8月7日 | AP/REUTERS/NBC/MSNBC| 訳『米流時評』ysbee

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 Death of Taliban Chief — Part 2
Leader of group in Pakistan linked to Bhutto killing, many suicide attacks
AUGUST 7, 2009 | AP/REUTERS/NBC/MSNBC | Translation by ysbee

15. U.S. drones began striking Taliban
DERA ISMAIL KHAN, Pakistan — Earlier this year, however, U.S. drones began repeatedly striking Mehsud's territory in Pakistan's South Waziristan region as his power grew and concerns mounted that violence could destabilize Pakistan and threaten the region. In addition, some of Mehsud's fighters were suspected of attacking supply convoys for U.S. and NATO forces through Pakistan.
パキスタンのタリバン拠点へ米軍攻撃開始
前号「米軍のミサイル爆撃でタリバンの首領メスード爆死」からの続き
パキスタン社会の反応は変わってきていた一方で、アフガン駐留米軍は今年の年頭から南ワジリスタン地区に対して国境を越えて無人偵察機ドローンを飛ばすCIAアフガン戦線主導の攻撃作戦を開始していた。
南ワジリスタンでは近年、バイツラ・メスードが率いるパキスタン・タリバンが自爆テロ養成基地を構え、首都ペシャワール近郊までテロ攻撃を仕掛けたりするタリバンの活動拠点となっていた。
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 南ワジリスタンの山中へ入ったキャンプからタリバンの隠れ家と思われる穴居に地対地のロケット砲を撃ち込む米軍

16. Attacks on supply convoys for US/NATO

In addition, some of Mehsud's fighters were suspected of attacking supply convoys for U.S. and NATO forces through Pakistan.
カイバー峠で輸送部隊のコンボイを襲撃
メスード配下のタリバンは、地元の警察署・刑務所の襲撃、政府軍や米軍への協力者の公開処刑などを次々に実施して、復讐を恐れた地元住民や部族長老を恐怖政治の統制下においた。
さらには、パキスタンの港湾から荷揚げして、アフガン国境のカイバー峠を越えてアフガニスタンの米軍基地やNATOのアフガン戦線編成軍基地へと、通常の兵站物資を輸送する陸軍のトラック部隊を連続襲撃したため、アフガンの米軍とNATO軍に対しても大きな脅威となってきていた。
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17. Becoming a greater threat to the U.S

Whether Pakistan will now aim for militant leaders that are a greater threat to the U.S. — such as those led by Maulvi Naseer Wazir in South Waziristan, Hafiz Gul Bahadur in North Waziristan or the Haqqani group — remains to be seen, although the U.S. success in taking out Mehsud could be a strong nudge.
今や米軍に対する最大の脅威
パキスタンタリバンでメスードの後継者とみなされる他のリーダーたち、南ワジリスタンのマウルヴィ・ナシール・ワジール、北ワジリスタンを仕切るハフィズ・ガル・バハジュール、あるいはまた(かつてブット元首相の父親を暗殺した)今は亡きハッカニの後継者一派。
こうした一連のパキスタン政府軍の宿敵の中で攻撃対象として現在最重要視されるのが誰であれ、今回のメスード討伐は転機となるだろう。なぜなら「米軍の手でメスードをやっつけた」という実績が出来てしまった限りは、ワジリスタン統制における米軍とパキスタン政府の間の軍事的判断においても、米軍側の発言力のパワーバランスが増す事実は否めない。
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 タリバンとの銃撃戦で負傷した米兵を、戦闘の前線からバグラム基地へ運ぶシャトル用ヘリ、ブラックホーク

18. Brutal Taliban regime of Mehsud

Fueled by his alliances with al-Qaida and other militant outfits, Mehsud rose to the peak of Pakistan's militant pyramid thanks largely to his brutality and Pakistan's unwillingness to take him on.
メスードの残虐なタリバン恐怖政治
そもそもメスードは、アルカイダやパキスタン外部のテロ組織との連携によって急激に勢力を拡大し、パキスタン国内の叛徒グループの中でも組織ピラミッドの頂点を極めた。その覇権の秘密は、もっぱら彼の残虐な恐怖政治態勢にあったため、パキスタンの中央政府や軍事司令部ですら怖れをなして、今年初めまではあえて強硬攻撃を控えてきたのが実態である。
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19. A bold ambition of Mehsud

A 30-something son of a potato farmer who once taught physical fitness, Mehsud was soft-spoken but brash enough to once hold a news conference.
大胆不敵なメスードの野心
弱冠30代のメスードは、護身術の免許も持つジャガイモ畑を耕す小作農の息子として生まれ、一見話し方はおだやかだが、その剛胆な精神力は他を圧倒している。昨年5月には内外の記者多数を南ワジリスタンの山中にあるタリバンの基地に呼び寄せ、公然と記者会見するという、タリバンのトップ指導者としての威信を見せつける、野心的な冒険もやってのけた。
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 昨年5月24日南ワジリスタン山中のタリバン要請基地へ、内外記者を堂々と招集した記者会見でのメスード

20. Likely successor: deputy Hakimullah

Three Pakistani intelligence officials said the most likely successor was Mehsud deputy Hakimullah. Two other possibilities were Azmat Ullah and Waliur Rehman. The officials spoke on condition of anonymity because of the issue's sensitivity. Interior Minister Rehman Malik also named Qari Hussain, known for training suicide bombers.
後継者と目されるもうひとりのメスード
諜報部門の極秘情報のため匿名という条件の下にもらした、パキスタン陸軍諜報部ISI将校の諜報分析によると、パキスタンタリバンの総司令官としての後継者はメスードの副将を務めていたハキムラ・メスードだろう、という予測がもっぱらである。ほかにもアズマット・ウラーとか、ワリウル・レーマンといった名も挙がっている。政府側の消息筋では、レーマン・マリク内相の説で、自爆テロ養成基地のリーダーであるカリ・フサインの名もまた挙がってきている。
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21. Pakistan's Taliban Movement getting loose

The Tehrik-e-Taliban Pakistan, or Pakistan's Taliban Movement, was already a loose coalition, and rivalries were common. "It has the potential to fracture even more now that its boss is dead, and military might will have to be a key part of the approach to the truth," said Daniel Markey of the Council on Foreign Relations.
動揺するパキスタンのタリバン組織
パキスタンのタリバン運動「テーリケ・タリバン・パキスタン」は、5月のパキスタン政府軍の大々的なスワット谷侵攻作戦以来、すでにこれまでにも組織の統制がばらばらになってきており、これは他のライバル組織においても共通して見られる兆候である。
しかし特に今回は彼らの最高司令官メスードの死で、組織自体が崩壊する可能性も見えてきており、そうであれば現段階での軍事的裁定が、この地域の恒久平和につながる鍵を握ることになるだろう、とCFR 外交評議会(Council on Foreign Relations)のダニエル・マーキー氏は分析する。
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22. Afghan Taliban lost its ally

"Baitullah was an unusually effective leader, capable of pulling together disparate militant forces and maintaining discipline ruthlessly. Now there's an opportunity for the Pakistanis to try and peel off elements within the TTP, or at least encourage splits that are likely to develop on their own in the aftermath of Baitullah's death," Markey said.
最強の援軍を失ったアフガンのタリバン
「バイツラ(メスード)は、ずば抜けて統制力のある指導者でした。テロ戦争の緒戦で米軍のアフガン侵攻で蹴散らされて壊滅状態だったタリバン兵士を、ふたたびかき集めて教練し直し、徹底した情け容赦のない戒律で、強硬な軍隊を再編成しました。」
「しかし、その彼が不在となった今は、TTP=パキスタンタリバンの内部崩壊の機に乗じて、パキスタン政府にとってはメスードの支配下にあった南ワジリスタン地区を挽回する、絶好のチャンスでしょう。少なくとも、バイツラの死後は組織自体が指導者権争いで分裂の危機にあるので、そうした状況を加速するような諜報の動きがあってしかるべきだと思います。」
CFRのマーキー氏は、パキスタン政府側が失地挽回する好機であると強調した。
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23. 'Cat and mouse' situation

In this, Pakistan's record is not inspiring. It has regularly staged military operations that it says have cleared out insurgents, only to see the groups re-emerge. It also has a record of striking peace deals with insurgents, which critics say have helped the Taliban.
タリバンと政府軍のイタチごっこに終止符
タリバン幹部の討伐に関しては、パキスタン側の実績はぱっとしない。テロ戦争では、ブッシュ政権の友軍を買って出たムシャラフ政権だったが、パキスタンの基地から国境を越えて、アフガン側へテロ攻撃を仕掛けてくるタリバンに業を煮やした米軍側から圧力がかけられると、そのときだけおざなりな派兵を行なって、タリバンは駆逐したと表明していた。
しかし実際には、タリバンは山中の基地に戻っただけで、この本陣を集中攻撃しない限り、パキスタン政府軍とタリバンのいたちごっっこが繰り返されるだけだった。さらに、昨年の選挙で政権がムシャラフからブットの寡夫ザルダリに移ってからは、一時南ワジリスタンの辺境地域の自治統制権をタリバンシンパの部族長老の手に渡すことを認証する失態も起きた。この地域専門のアナリストの評価によると、こうした地域の政変が結果的にタリバンの勢力拡大に、大いに役立ったものと分析している。 >続く

【 米国時間 2009年8月10日『米流時評』ysbee 訳 】
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左:国境付近を走るパキスタンの国営鉄道、アフガンには鉄道自体がない /中:スワット谷侵攻作戦が一段落して故郷に戻った避難民だが、見る影もなく破壊された民家 /右:5月にアフガン戦線の最高司令官に抜擢された米軍のマクリスタル将軍。空軍82部隊と言えば泣く子も黙る特殊部隊だが、イラク戦線転任直後にこの部隊を率いて、アラブアルカイダ指導者ムサウィをしとめた実績が評価されていた。彼の戦略の特徴は「Precision Operation」脳外科医の患部摘出手術のように、周辺地区に危害を及ぼさずにターゲットだけを殲滅する、特殊部隊特有の作戦。

d0123476_11564496.jpg◀ 次号「今度は地中海の海賊?消えた貨物船アークティックシーの謎」
▶ 前号「スワット谷の夜明け・戦線の鍵を握るパシュトゥン族」

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by ysbee-2 | 2009-08-10 19:50 | タリバニスタン最前線

テロ戦争8年目のCHANGE・パキスタンのタリバン

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     ||| テロ戦争8年目の CHANGE |||

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 タリバンに始まりタリバンに終わるか、
 テロ戦争8年目 米軍戦略のCHANGE

d0123476_16582178.jpg 9/11以来ブッシュ時代を通して、
 アルカイダやタリバンの木っ端司令官は
 数多く殺されたり、逮捕されたり、
 文字通り「Dead or alive」の状態で報道されてきた。

 しかし、彼らはみな下士官クラス。
 前線の兵士が3〜4年実戦経験を積めば、いくらでも後釜が据えられ
 組織は再生を繰り返してきた。
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 組織の機能が麻痺するほどの、大物の捕獲や死亡というのは
 8年間のテロ戦争の長い期間でも、十指に満たない。
 
 その中でも首領格の死と言えば、
 06年イラク アルカイダの、アブ・ムサブ・アルザルカウィと
 07年5月に、アフガンタリバンの首領だった片目のオマールの、
 そのまた片腕だった、ムラー・ダドゥラーぐらいなものである。
 (オマールも、実はすでに死亡しているという説も有力)

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 毎年米国の国庫から数百億ドルのテロ戦争費用を費やしながら
 アフガンとパキスタン国境の、
 俗にタリバニスタンと蔑称される地域は
 近年ますます タリバン勢力が猖獗をきわめ、
 
 一時はパキスタン政府が、スワット地方の自治を
 タリバンシンパの地方豪族に任せたりする事態も起こった。

 彼らは、ブッシュの傀儡政権と言われた
 ムシャラフ大統領の軍事独裁政権に反対し、
 「反米愛国」というその一点で共通する、
 タリバンの統制を受け入れてしまった。

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 もちろん、宗教的な観点で、
 近代的民主主義を排斥して
 中世以来のイスラム教の教義で社会を規制する
 シャリア=イスラム法の実施にしがみついたせいもある。

 しかし、このタリバンのマニフェスト、
 見ると聴くとは大違いで、

 小中学校を爆破したり(イスラム教以外の学習を禁じる)
 女子には学習そのものを禁じたり……
 (女性は家に所属する資産の一部!)

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 アフガニスタンのはなはだしい例では、
 登校途中の女子中学生の顔に硫酸をかけたり……
 
 英語を習っているというだけの理由で
 校庭で惨殺された男の子もいた。

 日常生活では、既婚女性にブルカ着用を命じ、
 親族の男性の随行がなければ、単独では外出できない。

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 男性にはひげ剃りを禁じたり
 テロ組織の財源となるアヘン栽培を奨励したり……

 というイスラム原理派の、ばかばかしいまでの
 時代錯誤の因習に染まった、狂信的生活規範を強要。

 さらに、スワット谷住民を恐怖に陥れたのは、
 鞭打ち刑、石打ちの刑、斬首刑……
 
 中世以来の残酷な極刑を再現。
 公開処刑にして、見せしめにしたことである。

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 タリバンをかばう物好きな人物は、
 現代の日本にはまず存在しないと思うが、
 8年間のテロ戦争を、メディアを介してだが見聞してきた
 私から言わせていただければ、
 一言で言って「中央アジアの蛮族」である。

 だから、その首領(間違っても総司令官などと呼べる代物ではない)が
 ミサイルで殺されたと聴いて、安堵の声は出すが、
 今回ばかりは同情はしない。

 何しろ、昨年のイスラマバードのマリオットホテル爆破や
 パキスタン国内で頻発した爆破テロ。

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 さらには07年のベナジール・ブット元首相暗殺も
 彼の指令の元に実行されたのだから。

 その犠牲者総数は、
 遺体を確認できただけでも1200体以上。

 現地警察の内部事情に精通する者の説では、
 行方不明も含めて、2千人を越えるという。
 
 そのほとんどが、政治とは無関係な一般の市井人である。
 ましてや、老人や幼いこどもも含めて。

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 もし現代にも、人非人とか極悪人とかいう言葉が通用するなら
 このバイツラ・メスードこそ、その名にふさわしいだろう。
 
 通常のミサイル攻撃には、忸怩たる思いがあるが、
 今回の一撃だけは、認めてもいいと思う。

【米国時間2009年8月7日『米流時評』ysbee 訳】


>次号「特報!米ミサイルでタリバン首領メスード爆死」へ続く
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【スワット谷 百万人のエクソダス】2009年5月
 5/07 第1章「百万人の難民エクソダス・パキスタン最前線レポート」
 5/08 第2章「スワット谷のエクソダス・タリバニスタン民族大移動 」
 5/09 第3章「さらば中世! タリバン恐怖政治の終焉」
 5/10 第4章「21世紀狂気の蛮族・タリバン最期の日々」
 5/10 第5章「テロ戦争終章へ・アフパキ前線のエンドゲーム」

【イラク戦争特集】2007年『米流通信』イラク戦争記事一部リスト
 07/2/06 「アメリカはなぜ勝てない?イラク戦争諦観」
 07/8/23 「イラクの4年半・長く熱い終わらない戦争」
 07/9/10 「ペトレイアス将軍のイラクレポート」

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*スワット地区へ戻った住民が反タリバンに転向し、政府が武器を供与して自警団を形成したいきさつは次号で詳説↓

d0123476_11564496.jpg◀ 次号「特報!米ミサイルでタリバン首領メスード爆死」
▶ 前号「帰郷・独房生活140日間 北の悪夢の果てに」
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 G o o d  N e w s  B a d  N e w s  E v e r y t h i n g  i n  B e t w e e n
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8/12 チェックメイト・タリバン戦線の最終章へd0123476_17124236.gif
8/11 タリバンのエンドゲーム・テロ戦争の潮目
8/10 終りのはじまり・アフパキ国境最前線レポート
8/09 スワット谷の夜明け・タリバン戦線の鍵を握るパシュトゥン族
8/08 特報!米軍爆撃でタリバン首領メスード爆死
8/07 テロ戦争8年目のCHANGE・パキスタンのタリバン
8/07 攻略・Mission to North オバマ外交の最終兵器クリントン
8/06 終章・北のエンドゲーム 半島外交の新しいチャネル
8/05 帰郷・独房生活140日の悪夢の果てに
8/04 解放・ビル・クリントンのYES, YOU CAN外交
8/03 特命・ビル・クリントン、米記者解放交渉で北朝鮮へ
8/02 ポンコツを現金に!オバマのグリーンカー作戦3日で25万台販売
7/28 イランの民主革命で甦る米国独立宣言のスピリット
7/27 さらば独裁!イラン第二革命に沈黙するオバマ外交
7/26 テヘランは革命前夜か?イラン独裁体制からの脱出
7/25 バカンス特急脱線!アドリア海リゾート列車事故で死傷者61名
7/24 また墜ちた!イラン今月2度目の旅客機事故で17名死亡
7/22 黄昏のラプター F22廃止・軍産複合体に半世紀目の楔
7/21 オバマの軍縮・軍産複合体の解体へ大いなる第一歩
7/19 過激派テロのターゲットは欧米資本と外国人ツーリスト
7/18 真相究明・ラグジュアリーホテルに宿泊していた連続爆破テロ犯人
7/17 ジャカルタのJWマリオットとリッツカールトン ホテル連続爆破テロ
7/13 中国西域マイノリティリポート[8] 民族殲滅・新彊虐殺にアルカイダ復讐宣言
7/08 中国西域マイノリティリポート[3] 武装警察・ついに始まった恐怖の人間狩り
7/07 中国西域マイノリティリポート[2] 民族自決・少数民族ウイグル人決死の抵抗
7/06 中国西域マイノリティリポート[1] 新彊弾圧・ウルムチ大虐殺死者156名
7/03 U2も支援するグリーン革命の自由の闘士/レミニッセンス第2章
7/02 テヘラン・自由への行進/革命のレミニッセンス第1章
7/01 イラン 革命のレミニッセンス 序章・前編


by ysbee-2 | 2009-08-07 22:36 | タリバニスタン最前線

テロ戦争の内幕/ブッシュとビンラディンの危険な関係

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 ||| ブッシュとビンラディンの危険な関係 |||

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今だから言える、オサマ・ビンラディン一族とブッシュ家のテロ戦争の危険な関係

d0123476_18552829.gifテロ戦争に関しては、イラク戦争と違ってオバマは100%反対ではない。というよりもむしろ、タリバンの残党とアルカイダのトップ2、オサマ・ビンラディンとザワヒリが棲息すると見られる、アフガニスタンの東とパキスタンの西の、いわゆるタリバニスタンと俗称される地域にある本拠地をピンポイントで攻撃すべきであると、2007年の段階から主張していた。

▶『米流時評』2007年8月9日号 「オバマの『パキスタン派兵』発言とイラク戦争批判
d0123476_14302471.jpgオバマ上院議員「ブッシュのイラク戦争は米国を誤った方向へ導いた」とズバリ指摘
大統領選民主党ライバル候補のクリントンはオバマ発言を「ナイーブ=稚拙」と酷評

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2007年8/9号「オバマのパキスタン派兵発言とイラク戦争批判」より一部抜粋:
「もし自分が総司令官 (commander in chief/軍事行動の最終権限をもつ米国大統領の別称) であれば、軍隊をイラクから引き揚げて、彼らをテロ戦争の本来の戦場であるアフガニスタンとパキスタン (の国境付近) に配備します。特にアフガニスタンへは、少なくとも現在よりも2大隊増やして配属するほか、救済資金としてアフガンの国庫に10億ドル (約1,200億円) の非軍事的一般予算援助金を投与します。」  
オバマ氏はさらに抜本的なテロ戦争対策として、グローバルなインテリジェンス(諜報機関)のネットワークと(情報交換の)インフラを構築する計画を明らかにした。
「またインドネシアからアフリカに至るテロリストのネットワークを撲滅するために、全世界的規模で友好国と諜報機関の情報をシェアできる計画を実現する用途で50億ドル (約6000億円) をかけ3年がかりで、新しいインテリジェンスネットワークを構築します。」
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 左:ムシャラフ時代に選出されたが辺境の部族制圧に失敗したパキスタンのギラニ首相(左)とインドのシン首相
 右:親米の立場でテロ戦争での友軍体制を固めたアフガニスタンのカルザイ大統領とパキスタンのザルダリ大統領


2年間の長い選挙戦で公約に謳い続け見事に当選、大統領に就任したからには、公約通り「イラクはイラクの元へ」納めて米軍撤退が本筋。しかし当初から主張してきたように、9/11の元凶でテロ戦争の本来のターゲットであるアルカイダと、イスラム原理主義のプロパガンダを拡大するタリバンへは追及の手をゆるめない。したがって、彼らの本拠地であるアフガン・パキスタン国境地帯のテロ組織の基地に対しては、両国政府軍の掃討作戦への協力と援助を惜しまない。
これが、オバマのテロ戦争戦略を簡略化した骨子である。

d0123476_14302471.jpg▶『米流時評』2007年7月「アルカイダ 2.0 核のテロ」
07/7/22「アルカイダ2.0 タリバンの逆襲」
07/7/23「アルカイダ2.0 核目的のパキスタン戦略」

Newsweek特約 サミ・ユサフザイ+ロン・モロー 共同取材書き下ろし/翻訳 by ysbee
・アフガニスタンとパキスタンの国境地帯でタリバン勢力が再生復活
・アルカイダのNo.2 アル・ザワヒリをめぐるテロ集団の内部派閥抗争

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オバマの大統領就任によってパキスタン政府も覚悟を決めたと見え、政府軍の諜報機関ISI自体が米軍との諜報情報交換を推進、タリンシンパ討伐作戦へ本腰を入れて乗り出した。今回のエントリーはその詳細であるが、同日に「パキスタンの核の父」と呼ばれるA・Q・カーン博士を、自宅拘禁の身柄から解放処分にしたのは、非常に気になる動きである。パキスタンと核とアルカイダというのは、テロ戦争の典型的な三題噺の種であり『米流時評』でもたびたび取り上げた。

d0123476_14302471.jpg▶ドバイ-パキスタンの核コネクション『米流時評』2007年11月
英国エージェントが暴露する核取引の闇市場とドバイネットワーク
〜グローバルな核の時代を許したドクター・カーンの恐怖の構図

07/11/01 第1話「ドクター・カーンのグローバルな核のブラックマーケット」
07/11/02 第2話「英米 » ドバイ » パキスタン » リビア の核の密輸ルート」
07/11/03 第3話「グローバルな核の時代を許した恐怖の構図」
07/11/04 第4話「北朝鮮とイランの核所有はカーン発ドバイ経由」
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パキスタン、核、アルカイダ。この3つの危険なファクターをつなぐ赤い糸が、パキスタン諜報部のISIである。ソ連のアフガン侵攻の時代から、隣国アフガニスタンの不穏化に利する騒擾要素としてアルカイダを泳がせてきた ISI司令部。しかし、オバマの米国外交政策の根本的CHANGEの高波は、中央アジアの高原にまで押し寄せてきたようだ。

【ブッシュとビンラディンのテロ戦争のネットワーク】
下のチャートは、陰謀マニアには垂涎ものの「ブッシュ家とビンラディン一族の相互関連図」。米国では俗に「Bush Co.」と呼ばれる構造で、ネオコンタカ派の主唱した「ニューワールド政策」の元にグローバルな戦争を推進。軍産複合のネットワークで数兆円稼いだ資金はカーライルグループに蓄積。
他にも関連産業としては、チェニーがCEOだったハリバートン、イラクで悪名の高い警備保障会社のブラックウォーター、戦車製造メーカーのアームストロング、死体処理産業のKenyon……など、いずれもブッシュが州知事だったテキサス州が本拠地。当然石油財閥のExxon Mobile(ライス国務長官も取締役)や戦闘機納入のボーイング社など、枚挙にいとまがありません。
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(*図をクリックすれば拡大します)
テロ戦争関連の記事は『米流時評』を2007年に開始して以来、ほとんど毎日と言っていいほど掲載してきました。さらにそれより以前には『楽園通信』というパーソナルサイトでも、記事を書いてきました。そうした過去のエントリーは以下のカテゴリーアーカイブで、それぞれの地域のテロ戦争に関連した記事が、日付の新しい順にまとめてお読みいただけます。
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ブッシュと米国政治イラク戦争レポートテロとスパイ陰謀アルカイダ 2.0 核のテロアフガン タリバンの復活パキスタン戒厳令の季節次世代冷戦時代ユーラシアの回廊中東のパワーラビリンス中東核戦争グローバルウォーロシア・グルジア紛争インド ムンバイテロソマリアの海賊イスラエル・ガザ戦争. . . . .

【米国時間2009年2月8日『米流時評』ysbee】

◀前号「アルカイダとオバマ/パキスタン諜報部 ISIのCHANGE」
▶次号「ネタニヤフとオバマ/イスラエルの2月体制」へ
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米流時評 特集 ||| オバマの時代 |||
第1章 オバマ時代開幕 Road to White House
▶11/01(1)世界が待ち望む オバマ時代の夜明けd0123476_19284774.jpg
▶11/02(2)世界危機に挑戦する 21世紀のニューリーダー
▶11/04(3)アメリカの再生を賭けた明日へのカウントダウン
▶11/07(4)オバマの第一声「アメリカの大いなる挑戦」
▶11/13(5)オバマの初仕事・ホワイトハウスの組閣人事
▶11/14(6)オバマ紳士録・後編 クリントンが国務長官?
▶11/16(7)オバマのチャイナフリーFDA改革・禁中国汚染食品!
▶12/08(8)ウォール街復活? オバマのNewニューディール効果


第2章 オバマの百日革命 Revolutionary Road
▶1/19(1)勝者なき闘い・ガザの終りとオバマの始まり
▶1/23(2)ブッシュとオバマ/スーパーマンの仕事始め
▶1/24(3)カストロとオバマ/キューバとアメリカの新しい海峡
▶1/25(4)旧体制とオバマ/レボルーショナリーロード
▶1/27(5)中東とオバマ/カウボーイ外交からピース外交へ
▶1/28(6)アラブとオバマ/アルアラビアTVインタビュー対訳
▶2/01(7)金正日とオバマ/狼少年の歓迎のテポドンd0123476_1936736.jpg
▶2/03(8)テロ戦争とオバマ/アフガン戦線と東欧MD計画
▶2/04(9)メドベージェフとオバマ/ユーラシア防衛とキルギスタン
▶2/05(10)アフガンとオバマ/カイバー峠の戦場にかける橋
▶2/06(11)パキスタンとオバマ/タリバン戦線の共闘戦略
▶2/07(12)アルカイダとオバマ/パキスタン ISIのCHANGE
▶2/08(13)ビンラディンとブッシュ/テロ戦争内幕の危険な関係
▶2/09(14)イスラエルとオバマ/タカ派三つ巴のイスラエル総選挙
▶2/10(15)ネタニヤフとリブニ/イスラエルの2月体制
▶2/11(16)タリバンとオバマ/首都カブール同時多発テロ攻撃
▶2/12(17)カルザイとオバマ/アフガン増兵とアフ・パキ戦線
▶2/13(18)クリントンと日本/拉致被害者家族と東京で会談
▶2/14(19)クリントンと北朝鮮/核と平和のアメとムチ
▶2/15(20)パレスチナとオバマ/絶望と希望のはざまで
▶2/17(21)アフマディネジャドとオバマ/テヘランの春
▶2/18(22)IAEAとオバマ/イラン核外交のCHANGE


||| 『米流時評』 特集シリーズ |||
次世代冷戦時代  |  グローバルウォー  |  イラク戦争  | テロとスパイ陰謀d0123476_1746245.jpg
アルカイダ2.0 核のテロ | パキスタン戒厳令の季節  |  アフガン・タリバンの復活
中東のパワーラビリンス | プーチンのロシア | ユーラシアの回廊 | ダイハード中国
2008年米大統領選 | ブッシュと米国政治 | サルコジのフランス | トンデモ北朝鮮
ビルマの赤い川革命 |  欧米の見る日本  | 世界不思議探検 | グローバルビジネス


by ysbee-2 | 2009-02-08 15:45 | テロとスパイ陰謀

パキスタンとオバマ/タリバン最前線の共闘戦略

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   ||| タリバニスタン最前線の共闘戦略 |||

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オバマ新政権とパキスタン、テロ戦争最前線タリバニスタン国境地帯での共闘戦略

d0123476_18552829.gifオバマとテロ戦争に関しては、このエントリーで4回連続となる。そのうち2本がNo.2の翻訳記事に前後して書き下ろした、まえがきとあとがきである。何しろこの地方に関しては、9/11以来8年越しの執着というか、他人事ではない関心があるのはたしかだ。

カブール、カンダハール、トラボラ、ワジリスタン、バジュール、バルキスタン/バロチスタン、マザレシャリフ……俗にタリバニスタンと呼ばれるアフガンからパキスタンへかけての国境地帯。パシュトゥン民族の住むこの一帯と、それを取り巻く中央アジアから中東にいたる地域の戦乱について、いったい何度書いたことだろう。テロ戦争の開戦以来だから、カテゴリーも多岐にわたり、エントリーの数も膨大だ。
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ブッシュと米国政治イラク戦争レポートテロとスパイ陰謀アルカイダ 2.0 核のテロアフガン タリバンの復活パキスタン戒厳令の季節次世代冷戦時代ユーラシアの回廊中東のパワーラビリンス中東核戦争グローバルウォーロシア・グルジア紛争インド ムンバイテロソマリアの海賊イスラエル・ガザ戦争…………

辺境のゲリラの紛争が連なってグローバルな戦争へ。これまでにも何度も言ってきたように、地球上のどこかでこれらの紛争や戦争が同時多発しているのだから、もしある国やある組織の主導者の意図が直接的間接的にこの傾向に拍車をかけているのだとしたら、これは第三次世界大戦の前哨戦である。通例でひと口にテロ戦争と言っても、何と限りなく国名と民族名を変えて、戦闘と戦死者の数を積み重ねてきたのだろうか。
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たとえ万が一この一帯の争乱の元凶であるアルカイダとタリバンが殲滅されるなり掌握されるなりして、中央アジアから中東にかけてのユーラシアの辺境地帯が平定される時期が訪れるとしても、それが2010年よりも前に実現されるのは、まず無理だろう。
ロシアが米軍とNATO軍に協力して中央アジアに乗り出し、イランがイスラム原理派への援助を停止しない限り、それは果てしなく不可能に近い奇跡でしかない。しかし、戦争のつむじ風が猛烈に吹き荒れたあと、人々の回帰するこころの方角は、ひとえに安息を目指すのも人間の道理だ。

恒久平和の約束がもたらされない限り、この地域の住民は戦場と化した故郷を捨てて、終りのない難民生活を余儀なくされるだけである。すべての戦線に関わり合う米軍の最高司令官である米国大統領が、ブッシュからオバマへと代わったことは、こうしたユーラシア一帯に拡大した戦線を、縮小へそして終結へと治めるための、時代の方向を変える巨大なターニングポイントだった。
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今日は、今まで鬼畜米・NATOを叫んでいたイランまでが、ミュンヘン会議では譲歩の姿勢を見せている。それは、就任早々オバマがアラブ・イスラム圏に対して呼びかけた「ダイレクトな対話」の主張が受け入れられ始めたから、と解釈できるだろう。たとえ仮想敵国に対しても、国家としての尊厳を無視せずに敬意ある対話を尊重するという、外交の最低線の基本姿勢。

そして大国も小国も国家のエゴにとらわれず、国民が、特に辺境の少数民族であっても人間らしい生活を送れるように、為政者として同じ人間の立場に立った最低線の安全保障を約束してほしい。この伝で行くとオバマの最大の敵とは、無論ブッシュが敵視し勝手に烙印を押した悪の枢軸国ではなく、むしろ自国の権益拡張のために少数民族の弾圧と虐殺にいそしんで省みない、中国とイスラエルなのかも知れない。

【米国時間2009年2月6日『米流時評』ysbee】

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FEBRUARY 6, 2009 | 『米 流 時 評』 |  時事評論ブログ雑誌・デイリー版  2009年2月6日号
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  N E W S W E E K | B R E A K I N G
オバマ新政権とパキスタン テロ戦争タリバン最前線の共闘戦略
サミ・ユサフザイ現地取材 / マーク・ホーゼンボール / マイケル・ハーシュ / ロン・モロー / ジョン・バリー
Newsweekコラムニスト 共同執筆編集・ニューズウィーク 2月9日号掲載 | 訳『米流時評』ysbee

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昨年夏就任直後に英国ブラウン首相を表敬訪問したパキスタンのザルダリ大統領 ダウニング街10番地の首相官邸

Predators on the Hunt in Pakistan
A barrage of pinpoint strikes may be unsettling Al Qaeda
By Sami Yousafzai, Mark Hosenball / Edited with Michael Hirsh, Ron Moreau, John Barry
NEWSWEEK — FEBRUARY 9, 2009 issue | Japanese translation by ysbee

After one of the latest U.S. Predator attacks in North Waziristan, a Taliban subcommander visited the site. He's seen the results of many airstrikes over the past year or two, but this one really impressed him. The missile didn't just hit the right house; it scored a direct hit on the very room where Mustafa al-Misri ("Mustafa the Egyptian") and several other Qaeda operatives were holed up.

必殺必中の無人スパイ機ミサイル
パキスタン北西辺境の北ワジリスタン州で最近頻発している、米軍の無人偵察機 unman predatorによる地上攻撃の中でもつい先週の1件を検証するため、タリバンの副将のひとりはその爆撃現場を訪れた。彼はそれまでにも過去1・2年の間に、数多くの爆撃現場の跡を見てきていたが、この現場の状況には心底驚かされた。ミサイルは、単にターゲットとなった家に命中しただけでなく、砲弾はその家にいたムスタファ・アルミスリ(俗称で「エジプト人のムスタファ」の意)と配下のアルカイダのスパイが潜伏していた、まさにその部屋に飛び込んだのだから。
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パキスタン現地駐在のニューズウィーク特約サミ・ユサフザイ記者は、アフガン・パキスタン国境の戦闘の現場へも、タリバン派のテロ組織本拠地へも出かけて直接取材を敢行する、果敢なジャーナリスト。記事も常に秀逸である。

2. Meticulously accurate hit

The hit was so accurate, the subcommander says, it's as if someone had tossed a GPS device against the wall. Unfortunately for others at the scene, the mud-and-stone house collapsed, killing several Afghans along with the foreign fighters. Nevertheless, the subcommander told NEWSWEEK, "We are stunned" by such precision.
正確無比のミサイル的中率
その副将が伝える話によると、ミサイル発射の照準は極めて正確で、まるで誰かがGPSのディバイスをその部屋の壁に向かって投げつけたかのように命中していたという。しかしその場に居合わせた者には不幸なことに、泥と石でできた民家は爆撃で全壊し、隠れ家にしていたタリバンの外人部隊兵士はもちろん、その家の住人である数人のアフガニスタン住民も巻き添えとなって殺された。
副将は惨状を嘆くよりもむしろミサイルの精度に驚嘆して、ニューズウィーク(パキスタン特約サミ・ユサフザイ記者)に向かってこう言った。「ものすごく正確な的中で、度肝を抜かれたよ」
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左:遠隔操作高照準ミサイルが命中した瞬間/右:パキスタン領空を飛行する米軍無人スパイ機 unman predator

3. Danger of collateral damage

Al Qaeda's hideouts in Pakistan's tribal areas aren't quite as safe as they used to be. After years in which they were suspected of shielding Osama bin Laden's lieutenants—or, at least, not pursuing them very vigorously—Pakistan's intelligence services have finally started helping the Americans track and kill the fugitive terrorists in the frontier belt.
ついにアルカイダ掃討に本腰を入れたISI
パキスタンの辺境自治区(特に北西部の北ワジリスタン州)にあるアルカイダの隠れ家は、これまで彼らが甘受してきたようなアンタッチャブルの安全地帯だとは、もう言えなくなってきている。長年にわたってオサマ・ビンラディン直属のアルカイダ武将たちをかくまっていたとおぼしき民家や、あるいは少なくともいやいやながら場所を提供していた住民に対して、すでに一連の協力者の情報が手中にあったパキスタン政府軍の諜報部 ISI はついに追求の手を伸ばし始めた。
米軍のテロ戦争の最前線となっているアフガニスタンとパキスタンの国境地帯で、そこを根城とするタリバンに対する殲滅作戦、およびお尋ね者のテロリストの掃討作戦に、パキスタン諜報部は初めて本腰を入れて協力体制をとり始めたようだ。
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左:パキスタンの北ワジリスタン州からアフガニスタン東部へ移動するタリバンシンパのゲリラ軍団
右:単身タリバンの本拠地へ乗り込んで直接インタビューを敢行したユサフザイ記者(中央白シャツ)


4. 11 of the top 20 top targets killed

According to Pakistan's Inter-Services Intelligence agency, 11 of the top 20 "high-value targets" along the Afghan border have been eliminated in the past six months. And while the Americans blast the bad guys in the tribal areas, the Pakistanis have been confronting problems in their own ranks.
アルカイダ派トップ20人のうち11名討伐
パキスタン政府軍諜報部(いわばパキスタンのCIAである ISI/Inter-Services Intelligence agencyのabbr. 略称)の発表によると、過去半年の間にアフガンとの国境地帯で、タリバンの「high-value targets」ハイランクのお尋ね者のトップから20人のうち、11人が「消された」という実績を挙げた。しかし米国側が辺境自治区へのリモート爆撃で悪漢を蹴散らしている一方で、パキスタン政府側では関係者がそれぞれの立場で深刻な問題に直面していることも否めない現実である。
>>後編へ続く
【 米国時間 2009年2月6日 『米流時評』ysbee訳 】
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いつ戦闘が勃発してもおかしくないアフガンとの国境地帯の警備に当たるパキスタン陸軍のグリーンベレー

◀前号「アフガンとオバマ/カイバー峠の戦場にかける橋」
▶次号「アルカイダとオバマ/パキスタン諜報部 ISIのCHANGE」

5. ISIからイスラム原理派140名放逐/6. 米国から10年間で150億ドルの援助資金/7. 「我々の敵はインドでなくテロリスト」/8. 駐米パキスタン大使「テロ戦争で共闘を」/9. パキスタンの不穏化を目論むザワヒリ/10. 得策ではないと諭すビンラディン/11. ワジリスタンからアフガン東部へ移動/12. オバマ新政権へのアルカイダレポート
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▼米流時評 特集『オバマの時代』記事リストへ続く
by ysbee-2 | 2009-02-06 19:52 | タリバニスタン最前線

アフガンとオバマ/カイバー峠の戦場にかける橋

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    ||| カイバー峠の戦場にかける橋 |||

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 米軍3万名増兵で中央アジアの平定を図る、オバマ新政権テロ戦争の戦略転換
 タリバン掃討戦の焦点はア・パ国境の前線へ、鍵を握るロシア参戦の可能性は?


d0123476_18552829.gif前号「メドベージェフとオバマ/ユーラシア防衛とキルギスタン」のあとがき:
古代マケドニアのアレキサンダー大王が、ローマ帝国時代には皇帝カエサルのローマの歩兵が、東方大遠征の際にいずれも通った歴史的要衝、カイバー峠。西方からオリエントへとエキゾチックなスパイスや宝石を求めて、インドへの危険な旅路を目指した冒険家たちも、東洋と西洋をつなぐ天下の嶮カイバー峠を越えなければ、エキゾチックな王侯たちの都へは辿り着けなかった。
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この東洋と西洋の世界の狭間に立ちはだかるドアの鍵穴のようなカイバー峠は、米軍が展開するテロ戦争の戦略ステージでも、歴史の故事に倣ったかのように、陸路の重要な関門となっている。歴史のターニングポイントとなった2001年の9/11同時多発テロと、それに続くテロ戦争の第1幕であるアフガン侵攻。この時以来、トラボラをはじめとするタリバンの拠点を攻撃するため、米軍はさらに中央アジアの要所に補給用の空軍基地を設置して、ドイツやイタリーの米軍駐屯基地から、物資や兵力を輸送する中継基地として利用してきた。
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その中に、中央アジアの小国タジキスタンの首都ビシュケク郊外の、マナス空軍基地がある。しかしつい最近、これまで7年間ストップポイントとして利用してきた米国に対して、タジキスタン政府からは契約更新を拒否する動きが出ている。イエスかノーかは、タジキスタンの国会で決定されるが、昨日の決議は案件が重要すぎるのか、延期となった。

【追記】その後6日金曜のニュースでは、タジキスタンの国会決議でマナス空港の米軍へのリースは継続中止に決定。すなわち将来的に立ち退きを迫られる事態が予測される。近々にアフガン戦線へ3万名の増兵を予定しているペンタゴンの将校たちは、今頃は総立ちで蒼白のはずだ。
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その陰には元々、ロマノフ王朝の帝政時代から中央アジアの高原一帯を配下に治めてきた、歴史的執着を捨てきれないロシアの思惑が働いている。ソ連邦時代のアフガン侵攻で、国費を使い果たして国庫破綻しソ連の国家崩壊につながった史実は、前号でも述べた通りである。また、ロシアの国境に沿って首飾りのようにユーラシア大陸に連なる、コーカサスと中央アジアの国々「ユーラシアの回廊の資源戦争と戦略外交」については、米国の東欧MD計画が暴露され、ブッシュとプーチンの間が急速冷却して「新冷戦開幕か」と囁かれた、2007年の夏のエントリーで解説した。

▶ユーラシアの回廊・帝政ロシアの首飾り 『米流時評』2007年6月10日号 再掲出
d0123476_14302471.jpg第1章 ロシアと米国の新冷戦 /第2章 ロシア・グルジア・アゼルバイジャンの三すくみ /第3章 ロシアの首飾りからユーラシアの回廊へ /第4章 資源外交と侵略戦争 /第5章 ユーラシアの長い暑い夏

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ソ連撤退からユーラシアの弧包囲網を構築しようとした米軍とNATOだが、アフガンとパキスタンでの叛徒グループの反撃がしぶとく、いまだに平定すらできていない。そこへもってきて、戦線撤退を最終目的に掲げるオバマ政権が樹立した。ロシア側から見れば、まさに10年に1度のチャンスである。ソ連時代の雪辱を果たす、というよりも、この地域に眠る貴重な地下資源に対する固執が優先しているように伺える。
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ロシアのメドベージェフ大統領は、オバマ新政権に対して「(アフガン・パキスタンを含めた)中央アジアの安全保障は、歴史と経験豊富なわが国に任せなさい」と申し出たのである。
ポーランドとチェコに設置予定だった米軍ミサイル防衛計画(東欧MDSプラン)のレーダー施設やミサイル打上げ施設をめぐって、プーチンとブッシュが「新冷戦」開幕と危惧される衝突を起こしたのは07年来で、米ロ間の外交関係の急激な冷却と、関係諸国間の外交の緊張につながった。
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そこで、メドベージェフからの申し出の交換条件として出されたのは、案の定「東欧MDS」の撤廃である。当然、チェコやポーランドの計画に直接関連する国からは、猛烈な反対がくるだろう。
しかしそもそもは、東欧ミサイル防衛網計画を立案し推進したのは、イスラエルと密着したネオコンタカ派とその傀儡のブッシュ政権であって、オバマ新政権ではない。オバマは、そうした世界へ覇権の軍備を拡大するタカ派のプロジェクトは、国家としてのアメリカを崩壊へ招くものと解釈するハト派の国民の支持を集めて、ホワイトハウスへの道を拓いた。
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世紀に一度の大不況のさなかに生まれたオバマ新政権は、否が応でも内政と経済を最優先させる運命にある。政治のベクトルが国政充実に内向すれば、軍事費は大巾に削減せざるをえない。戦線は縮小、あるいは首尾よく行けば撤退がゴールである。
一方ロシアは、米国の覇権への野心が足をすくわれたこの機を、中央アジアへの影響力を奪還する最大のチャンスと見たのだろう。ロシアからのサイは投げられた。中央アジアという賭博場のテーブルについているのはメドベージェフだが、背後から指示を囁いているのがプーチンであるのは、誰の目にも明らかである。
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この、のるかそるかの大転換の流れを、紛争と衝突の繰り返しに戻すのか、
あるいは、奇跡的な平和をもたらす交渉の場に変えることができるのか?
人種の壁を越えた新しい時代の指導者は、東西の宗教の峡谷への架け橋となりえるだろうか?

決断のときが、オバマを待っている。
米国の未来だけでなく、西欧諸国とイスラム世界との融和を賭けて。

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||| 『米流時評』 特集シリーズ |||
次世代冷戦時代  |  グローバルウォー  |  イラク戦争  | テロとスパイ陰謀d0123476_1746245.jpg
アルカイダ2.0 核のテロ | パキスタン戒厳令の季節  |  アフガン・タリバンの復活
中東のパワーラビリンス | プーチンのロシア | ユーラシアの回廊 | ダイハード中国
2008年米大統領選 | ブッシュと米国政治 | サルコジのフランス | トンデモ北朝鮮
ビルマの赤い川革命 |  欧米の見る日本  | 世界不思議探検 | グローバルビジネス


by ysbee-2 | 2009-02-05 12:35 | ユーラシアの回廊

オバマの戦争と平和・テロ戦争とロシアのUターン

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   ||| オバマとロシアの テロ戦争と平和 |||

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オバマ政権のテロ戦争対策に援軍の名乗りを上げた、ロシアのアフガン・リターン

d0123476_18552829.gif昨日の記事では、北の金殿が健在ぶりをアピールするような核の脅しを発声し、相変わらずの狼少年ぶりを発揮したレポートだったが、今日はロシアからのプロポーズである。言わずもがなで、オバマ新政権に対して。
どういうことかという詳細はこの次のエントリー記事でお読みいただくが、端的に平たく言うと、「アフガンはロシアにまかせろ」と切り出したのだ。
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これはこの地域のこれまでの経緯を多少なりとも振り返れば、少なからず意外な発言である。そもそもがロシアの前身ソビエト連邦は、アフガン侵攻で10年間アルカイダの前身のアフガンゲリラと闘った末、初志貫徹できずに撤退した。その10年間で巨額の戦費を使い果たした経済逼迫が引き金となって、母体のソビエトの連邦体制そのものが、瓦解するきっかけになった戦争である。
骨の髄まで懲りているはずのロシアが、なぜまたアフガニスタンへ出かけて、米軍の代行としてこの地の平定を買って出ようとするのだろうか?
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表面的には、財政の屋台が傾きつつある米国の新しいオバマ政権に対して、難役を肩代わりするから苦境を乗り切ってほしい、という友好的アピールに見えるだろう。しかしその外交のオブラートを通して、ロシアが米国に対して基本的に要求したかった本音が突出している。

▶ユーラシアの回廊・帝政ロシアの首飾り 『米流時評』2007年6月10日号 再掲出
d0123476_14302471.jpg第1章 ロシアと米国の新冷戦 /第2章 ロシア・グルジア・アゼルバイジャンの三すくみ /第3章 ロシアの首飾りからユーラシアの回廊へ /第4章 資源外交と侵略戦争 /第5章 ユーラシアの長い暑い夏

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ロシアが米国の新政権に対して真っ先に手をつけてほしいと願っているのは、ブッシュ政権下で着々と進行していた米国の「東欧ミサイル防衛計画/MDSプラン」の撤廃である。オバマ政権からはMDSに関する新たな変更案や撤廃案はまだ発表されておらず、財政再建の巨大な難問に注入資金を投入する議案を可決へ持ち込むだけで四苦八苦の現状である。

防衛に関しては、以前から主張してきたイラク駐留米軍撤退案を推進し、来年中にはほとんど全ての部分でイラク自衛軍が国家治安を担当する。先月末に実施された新生イラクとして2度目の総選挙も、投票率も高く国民の支持を得て、米軍撤退も思惑通りに進行するような兆しが見えてきた。
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オバマ自身は選挙戦の前から主張してきたように、テロ戦争に対しては米国民が9/11の仇と執着するアルカイダのオサマ・ビンラディンやアル・ザワヒリなどのテロ組織のトップを倒せば、それで完了と思っている節がある。軍事に関してはたしかにアマチュアなのかも知れない。

肝心のペンタゴンは、ブッシュ時代と同じロバート・ゲイツ長官が居残ったままなので、外交政策ほどの大転換は、まだ戦略上の方針転換としては現れてきていない。ただブッシュ時代のような、やみくもな軍備拡張や戦線拡大に走らないことだけは確かだろう。なにしろイラク戦争とテロ戦争終結は、オバマの選挙戦で最たる公約のひとつだったのだから。戦費をカットできれば、財政の穴が少しは縮まる。戦線縮小による米軍撤退は、財政立て直しの鍵でもある。
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ブッシュからオバマへのテロ戦争の戦略的転換は、何も戦場がイラクからアフガン/パキスタンへ移動するだけではない。戦術的には天と地ほどの開きがある。
ブッシュ政権下では、彼のパトロンである軍需産業に貢献するための兵器と関連産業の「消費」が主目的だった。テロ戦争は、ネオコンの御用産業である警備代行のブラックウォーターから死体処理ビジネスのKenyonにいたるまで、Bush Co.と呼ばれる軍需産業ネットの完璧なフローワークで、巨額の利益を国庫から無尽蔵に吸い尽くす「ウォーマシン」と化していた。

▶ユーラシア大連邦と第三次世界大戦の兆候 米流時評 2007年10月16日号 再掲出
d0123476_14302471.jpg1. イスラエルとパレスチナ「エルサレム二都物語」/2. プーチンのイラン訪問とカスピ海サミット
3. アルメニア人虐殺とトルコのイラククルド地区侵攻/4. 国連安保理でカダフィのリビアが理事国
5. 世界同時多発のグローバルウォー

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オバマはこうした軍産一体化のネオコン体制に真っ向から斬り込んだ候補として、大統領選で勝利を収めたのだ。この肝心な点を日本でも誤解なさっている方が多いので、強調して言わねばならない。
オバマの主眼は、米国の覇権ではない。
外部からは想像もつかないほど腐敗したワシントンの国政と破局一歩手前の財政を立て直す政策・議案が、一刻を争って成立し実施されなければ、アメリカが立ち直るチャンスはない。そこまで追い詰められているのだ。
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ローマ帝国末期の症状を思い返せば、状況は容易に飲み込めるだろう。国家としての守備範囲が余りにも拡大膨張したがために、辺境でくり返される異民族との果てしない戦闘に巨大な戦費と兵力を使い果たし、帝国は内部崩壊した。
アメリカの政治家は、ローマ帝国や、大英帝国や、ソ連の膨張策の結末に待っていた巨大なる転落を忘れたわけではないだろう。その陥穽は、いつも戦争だ。
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アメリカ国民の一般感情としては、もう、ビンラディンさえどうでも良くなっているのかも知れない。9/11の年に生まれた子供は、すでに小学生である。その年代の親であれば、将来の学費を心配する方が先行するはずだ。アフガンやパキスタンでのテロ戦争は、正直なところ誰かに肩代わりしてほしい...... というのが本音だろう。ましてや社会全体が空前の不景気へと傾いている昨今、戦争どころではない。そこへ、降って湧いたようなメドベージェフからの申し出である。
「アフガンはまかせろ」
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さて、オバマがこのプロポーズに「Yes, You Can!」と言うかどうか、来週には回答が出るだろうか? オバマの支持者のコアを形成していたリベラル派は、当然「Peace=いのち」であるから、さっさと撤兵してロシアに肩代わりしてもらいたい。
だが、オバマが合衆国統一のかすがいとして取り込んだ保守中道の国民の大半は、ロシアへのアフガン戦線委譲はアメリカに負け犬の烙印を押すことになると受け止め、反対するだろう。彼らには「負けるが勝ち」という美学はない。キリスト教徒に仏教の諦観は通用しないのだ。
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オバマが本来の使命を貫いて、内政重視型の合衆国再建の道を取るならば、メドベージェフの申し出を飲むだろう。そうなれば、アラブ諸国やイスラム圏で必要以上に喧伝されていた、合衆国の帝国幻想も否定できる。弱者の勝利をとるか、強者の敗北を選ぶか。結論はすでに半分見えている。

【 米国時間 2009年2月3日『米流時評』ysbee 】f0127501_6213945.jpg

▶次号後編「メドベージェフ vs オバマ/ロシアのアフガン回帰」
〜メドベージェフ大統領、オバマ新政権に中央アジア防衛上の全面的協力を申し出
1. ユーラシア防衛で米国に全面的協力 /2. ロシアからキルギスへ20億ドルの国債 /3. 米軍のテロ戦争アフガン戦線を代行 /4. 全面的協力の見返りは何か? /5. パキスタン補給ルート代行のロジスティックス /6. 米国の東欧MDS計画に鉄槌 /7. 「民主主義に強制はない」/8. オバマ新政権への変化球 /9. 旧ソ連盟邦国との結束強化
▶予告「エルドアンの直言/ガザ侵攻のイスラエルを堂々糾弾・独占会見」
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米流時評 特集 ||| オバマの時代 |||
第1章 オバマ時代開幕 Road to White Housed0123476_19284774.jpg
▶11/01(1)世界が待ち望む オバマ時代の夜明け
▶11/02(2)世界危機に挑戦する 21世紀のニューリーダー
▶11/04(3)アメリカの再生を賭けた明日へのカウントダウン
▶11/07(4)オバマの第一声「アメリカの大いなる挑戦」
▶11/13(5)オバマの初仕事・ホワイトハウスの組閣人事
▶11/14(6)オバマ紳士録・後編 クリントンが国務長官?
▶11/16(7)オバマのチャイナフリーFDA改革・禁中国汚染食品!
▶12/08(8)ウォール街復活? オバマのNewニューディール効果


第2章 オバマの百日革命 Revolutionary Road
▶1/19(1)勝者なき闘い・ガザの終りとオバマの始まり
▶1/23(2)ブッシュとオバマ/スーパーマンの仕事始め
▶1/24(3)カストロとオバマ/キューバとアメリカの新しい海峡
▶1/25(4)旧体制とオバマ/レボルーショナリーロードd0123476_1936736.jpg
▶1/27(5)中東とオバマ/カウボーイ外交からピース外交へ
▶1/28(6)アラブとオバマ/アルアラビアTVインタビュー対訳
▶2/01(7)金正日とオバマ/狼少年の歓迎のテポドン
▶2/03(8)テロ戦争とオバマ/アフガン戦線と東欧MD計画
▶2/04(9)メドベージェフとオバマ/ユーラシア防衛とキルギスタン
▶2/05(10)アフガンとオバマ/カイバー峠の戦場にかける橋
▶2/06(11)パキスタンとオバマ/タリバン戦線の共闘戦略
▶2/07(12)アルカイダとオバマ/パキスタン ISIのCHANGE
▶2/08(13)ビンラディンとブッシュ/テロ戦争内幕の危険な関係
▶2/09(14)イスラエルとオバマ/タカ派三つ巴のイスラエル総選挙
▶2/10(15)ネタニヤフとオバマ/イスラエルの2月体制
▶2/11(16)アフマディネジャドとオバマ/テヘランの春
▶2/12(17)IAEAとオバマ/イラン核外交のCHANGE
▶2/13(18)パレスチナとオバマ/絶望と希望のはざまで


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by ysbee-2 | 2009-02-03 13:12 | ユーラシアの回廊

テロ戦争最前線レポート・タリバンの要塞陥落!

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   ||| タリバニスタン最前線レポート |||

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タリバニスタン最前線現地レポート:タリバン最強の要塞都市ロイサム陥落!
政府軍バジュール掃討作戦の死者:タリバン1500名、政府軍73名、住民95名


d0123476_18552829.gif8月に入ってからほとんど毎日と言っていいほど、パキスタンとアフガニスタンの国境地帯、俗に「タリバニスタン」と呼ばれる辺境自治州で展開された叛徒討伐の掃討作戦のニュースが、米国のニュースサイトに登場していた。ある日は叛徒数十名死亡、またある日は誤爆で市民数名が犠牲になったとも……

特に9月20日に、パキスタンの首都イスラマバードで起きたマリオットホテルの爆破テロ事件は、長い選挙戦を経て就任早々だったザルダリ大統領の新政権を、根本から震撼とさせるには充分な、大規模なテロ事件だった。その直後から業を煮やした米軍のミサイルが、アフガニスタン側からパキスタンの北西辺境のワジリスタン州へと打ち込まれ、もちろん叛徒の本拠地目がけてではあったものの、周辺の一般村民もかなりの数が犠牲になったと伝えられていた。

▶関連記事:9/20 速報!イスラマバード・マリオット爆破テロ詳報
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先月20日に自爆トラックが突っ込み爆破炎上したホテル・マリオット・イスラマバード。一説にはCIAの工作とも、パキスタンの諜報 ISI の仕業とも言われている。確かに1階のロビーが全焼していないのに、一瞬で上階全域が火の海になったのは不審である。CIAならば、タリバンの仕業と見せてザルダリ政権のテロ撲滅体制を強化する根拠作りだろうし、ISI ならば、新政権の失態を印象づけて一般市民と米国の両サイドから不信を喚起するのが目的だったろう。いずれにしても、当日はラマダンの断食明けでホテルでディナーをとるはずだったザルダリ大統領が、その直前に急遽予定をキャンセルして爆破の犠牲になるのを免れた事実に、謎を解く鍵がありそうだ。密告したのはCIAか? ISI か?

2001年に9/11の首謀者ビンラディンのアルカイダと彼らに活動の本拠地を提供していたアフガニスタンのタリバン政権に対して、ブッシュ政権が『テロ戦争』の名目の元に宣戦布告。アフガン侵攻でカンダハール陥落までは楽勝の感があったが、その後トラボラ山中に立てこもったビンラディンら首謀者を捕獲できないまま、ブッシュは矛先をイラクへ転換し03年3月にイラク侵攻を開始。
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昨年暮れに暗殺されたブット元首相の夫ザルダリ大統領が所属するパキスタン人民党の勢力が強い南部の州都カラチ

3週間でケリがついたはずの戦争は、サダム政権の崩壊とともにできた権力の真空地帯で、スンニ派とシーア派が血で血を洗う内戦に発展。かくして現在までの足掛け8年間、米国は第二次大戦よりも長い闘いを延々と継続し、来年までの予算も含めて総額 "ワン・トリリオン"=100兆円近い戦費を費やしてきた。ローマ帝国の末期症状よろしく、国庫も疲弊し経済も失墜するわけである。

アフガニスタンに駐留する米軍とNATO軍の戦死者数がイラク駐留の死者を上回ったこの夏、国境地帯でのタリバン勢力の復活に業を煮やした米国は、故ブット首相の夫でパキスタン人民党から立候補して大統領に選出されたばかりのザルダリ新政権に対して、叛徒討伐を徹底せよという命を下した。属国でもないパキスタンに対してこういう命令を下すと言うのは、親米の傀儡政権ムシャラフ政権時代に100億ドル(約1兆円)もの膨大な軍事援助予算を注入して、テロ戦争の一翼を担わせたブッシュ政権の傲慢な覇権体制の現れである。
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一度ならず汚職で弾劾され、ムシャラフ政権時代にはドバイに亡命していたブット元首相の夫ザルダリだが、昨年暮れに8年ぶりの帰国直後にブットが暗殺された。ブットの遺言通り大学生の息子ビラワルがパキスタン人民党の党首に就任。その後、未成年ビラワルの父親で法的後見人のザルダリが政治活動を継承し、今夏の大統領選で当選を果たし、パキスタンの元首として政治の第一線に復活した。

パキスタンからアフガニスタンへと、国境を西へと越えて遠征し無差別の波状攻撃を続けるタリバンやアルカイダシンパのテロ活動に業を煮やした米軍は、9月以来アフガニスタン駐留基地からパキスタン領土内のタリバン基地へ、ミサイル攻撃を開始した。しかし、スパイ機による探査偵察で認識した巣窟が一般市民の民家だったり、叛徒の行進と見られた隊列が墓地への葬儀の列だったり……という失策が重なり、誤爆もあとを断たなかった。

こうして、パキスタン北部の短い夏が過ぎ行く間に、米軍のミサイル攻撃による辺境住民の犠牲を顧みない米国に対する反感が強まり、北ワジリスタン州のイスラム過激派ばかりでなく、南部の一般市民にまで「主権を侵害する米国排撃」というスローガンの元に、印パ戦争以来のパキスタンの根強いナショナリズムを覚醒させてしまった。米国からはテロ戦争作戦強化を、国民からは主権回復を迫られ、総選挙後の開幕早々、政治的窮地の頂点に立つザルダリ政権。
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20日 辺境自治区への米軍空爆を非難し自国防衛を訴える反米デモを繰り広げる 南部ジャイプール州カラチの学生

こうした内外の事情を背景にして、パキスタン政府軍が8月以来展開してきた辺境自治州の叛徒掃討作戦では、今月20日から猛攻撃に出て、バジュール地区でタリバン最強の拠点だったロイサムの町を攻略。壮絶な爆撃と肉弾戦の末、24日金曜ついに陥落に成功したようである。パキスタン政府軍に続いて、陥落直後のタリバンの要塞都市ロイサムに潜入したAP通信記者の、テロ戦争最前線レポートをお届けする。

[米国時間 2008年10月25日『米流時評』ysbee]

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OCTOBER 25, 2008 | 『米 流 時 評』 |  時事評論ブログ雑誌・デイリー版 2008年10/25号
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  ASSOCIATED PRESS | B R E A K I N G
タリバンの要塞ロイサム陥落! バジュール掃討作戦レポート
米国時間 2008年10月25日午後3時15分 | AP通信・パキスタン従軍記者速報 | 訳『米流時評』ysbee

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政府軍とのバジュールの戦闘で捕虜となったタリバンシンパ容疑者は、ほとんどが辺境民族のパシュトゥン人

Pakistani Troops Capture Militant Stronghold
Area described as 'mega-sanctuary' for Taliban, al-Qaida fighters
OCTOBER 25, 2008, 3:15 P.M. | Associated Press — BREAKING | Translation by ysbee

d0123476_1527659.jpgLOI SAM, Pakistan — A two-month offensive by Pakistani forces has driven militants from a stronghold through which Taliban and al-Qaida fighters had poured into neighboring Afghanistan to attack U.S. troops, the army said Saturday.

国境地帯のタリバン掃討作戦
パキスタン・バジュール地区ロイサム発 |テロ戦争でアフガニスタンに駐留している米軍兵士への襲撃は、今年に入ってから従来にも増してさらに頻発していた。米軍NATO共同戦線のテロ戦争にパキスタン側から協力する体制で、パキスタン政府軍はアパ国境地帯バジュール地方において2か月に渡って掃討作戦を展開してきた。
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パキスタンの辺境自治区北ワジリスタン州アリザイクライの部落。狂信的なイスラム過激派原理主義者の温床で、治安・行政・裁判すべてが部落の長老会議で決定される。女性の人権は認めず、教育も不要という数世紀も昔のアナクロな社会倫理を強制。従わない者は極刑に処される。

2. Military captured Loi Sam in Bajur

The military said its forces captured Loi Sam in the Bajur tribal region Friday after a long and bloody struggle. The town sits on a vital intersection linking the border to three neighboring Pakistan regions.
バジュール地方のロイサム陥落
パキスタンの辺境自治州バジュールは、タリバンとアルカイダの叛徒がパキスタンからアフガニスタンへと、国境を越えてテロ襲撃を繰り返していた活動の本拠地だったが、延々と続いた血みどろの闘争の果てに、24日金曜の段階でタリバンの巣窟であるロイサムの町を政府軍が占拠し、同地区のタリバン叛徒掃討に一応の成果を見た。
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アフガンの東・パキスタンの西。両国が国境を接する辺境自治州地域は、地勢的には山岳地帯で主幹産業が存在せず生活水準は極端に低い。このためジハド=イスラム教の聖戦遂行と食い扶持を得る目的で、タリバンやタリバンシンパの軍閥に加わる者があとを断たない。

3. Intersection of three regions

"Now we have complete control in this area from where miscreants used to go to Afghanistan, Mohmand, Dir and Swat," army spokesman Maj. Gen. Athar Abbas told reporters flown in to Bajur by military helicopter. "Miscreants have been expelled or killed."
北部3自治州の要衝バジュール
ロイサムの町は、パキスタン北部の3つの辺境自治州が境界線を接し、クモの巣状の道路網の中心に位置するバジュール地方の要衝だった。パキスタン政府軍広報官のアタール・アッバース陸軍少将は、ロイサム陥落の報を受けて軍用ヘリで最前線に飛来した従軍記者団に対して、現地の記者会見で次のように語った。「この地域は、これまではアフガニスタンやモホマンド、ディール、スワット地方を襲撃する無法者の巣窟だったが、今やわれわれパキスタン政府軍が完全に制圧した。ならず者は追放されたか、死んだかのどちらかだ」
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22日以来大規模なバジュール掃討作戦でタリバンの要塞ロイサムを包囲し、迫撃砲による砲撃を続行した政府軍

4. Taliban's 'mega-sanctuary'

Bajur is part of Pakistan's tribal belt that has become the stronghold of Taliban and al-Qaida fighters waging an intensifying insurgency on both sides of the border.
タリバンのメガ・サンクチュアリ
バジュールは、パキスタン北西部一帯の辺境民族自治州が連なる、通称「トライバル・ベルト」の一地方だが、(アフガン侵攻で一度は壊滅して離散したかに思われた)タリバンやアルカイダのジハディストが、アフガニスタンとの国境の両サイドで勢力を復活し本拠地としていた地域である。特に昨年来、誘拐や収奪、みせしめの公開斬首刑などで住民を恐怖に陥れ、遠征先のアフガニスタンのカンダハールやカブール周辺でも、各国大使館の爆破テロや刑務所襲撃など、ほしいままに野蛮なテロ行為を行ってきた。

▶関連記事:9/21 反米感情高まるパキスタンで、政府軍が米軍ヘリを砲撃
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6月末ダマドラで実行されたタリバンの公開処刑。政府軍に協力したかどで村民2人を誘拐し、このあと首をはねた。またその一部始終収録のビデオをネットで公開して恐怖政治の実態を見せつけ、政府軍へ協力する者を恐怖に陥れた。

5. Two-month offensive in Bajur

The army offensive in Bajur was launched in early August, after government officials declared it a "mega-sanctuary" for militants who had set up a virtual mini-state, complete with Taliban-style courts.
2か月の掃討作戦の成果
こうした背景のもと、タリバンスタイルのイスラム過激派の法廷まで備え、実質的にパキスタンの中央集権政府に反逆する独立地帯の様相を呈したバジュール地区に対して、6月の選挙で選出されたザルダリ大統領の新政権は「タリバンのメガ・サンクチュアリ討伐」と銘打って、今年8月初めからバジュール地域に対するパキスタン政府軍の攻撃を開始した。
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国境地帯の辺境自治区バジュール州カールの町に前線基地を構えるパキスタン政府軍。写真は10月22日 タリバンの要塞都市ロイサム攻略作戦に出陣する陸軍部隊。山岳地帯なので戦車が使えずトラックで派兵という厳しい戦闘条件。

6. Pentagon officials praise operation

U.S. officials worried about record fatalities among their forces in Afghanistan have praised the operation and said it was helping reduce violence on the Afghan side.
作戦の成果をペンタゴンも賞賛
今年に入ってからイラク戦線よりも多く米軍兵士の戦死者を出すようになったアフガン戦線で、インド大使館爆破事件やカンダハール包囲など、タリバンの勢力復活による大規模な攻撃に脅かされたペンタゴンの高官は、今回のパキスタン政府軍によるバジュール攻略作戦の成功を賞賛し、タリバンの本拠地陥落でアフガニスタンへ越境しての攻撃もやや治まるのではないかと期待している。
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住民9名が犠牲になった23日の米軍ミサイル攻撃で爆破された家から遺留品を拾いだすミランシャーの住民一家

7. U.S. missile strikes continue

But the Americans have not halted missile strikes on suspected militants hide-outs in other parts of Pakistan's wild border region, despite Islamabad's protests that the attacks violate its sovereignty.
米軍のミサイル攻撃続行
しかし、バジュール以外の広汎なパキスタン辺境地域ではタリバンの隠れ家が随所にあり、こうした敵陣をターゲットとして打ち込まれる米軍のミサイル攻撃は、パキスタンの国家主権侵害だと首都イスラマバードを始めとして抗議デモが繰り広げられているにも拘らず、依然として継続されているのが実情である。 »» 続く
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米軍のパキスタン領土内へのミサイル攻撃は主権侵害だと抗議する、北部の都市ペシャワールの大学生
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【 米国時間 2008年10月25日 『米流時評』ysbee 訳 】
»» 次号「テロ戦争最前線レポート後編・タリバン殲滅まであと半年」へ
«« 前号「米国が推進する アルバニアとクロアチアのNATO加盟問題」へ


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||| 『米流時評』グローバル恐慌レポート |||
第1章 ウォール街金融危機

9/14 号外!メリルリンチを500億ドルでBOAが買収
9/15 ウォールストリート大暴落、9/11以来のメルトダウン
9/16 号外!AIGに8.9兆円連邦救済ローン、恐慌脱出か?
9/17 経済危機と大統領選・ペイリンは共和党の自爆装置?

第2章 米国金融危機
10/01 号外!80兆円金融経済救済案、上院を通過!
10/02 下院でも通過!73.8兆円の経済救済案ついに成立!
10/06 ウォール街暴落1万ドルの大台を割る 大恐慌2.0?
10/07 2日目も暴落のウォール街・前日比 ▼508ドル

第3章 グローバル金融危機
10/08 アイスランド国家破産の危機・前編
10/09 アイスランド国家破産の危機・後編(翻訳中)
10/10 号外!GMがクライスラーを吸収合併交渉!
10/12 ダウ記録的サージで危機脱出? IMF・EUの緊急サミット効果
10/13 底が見えた!グローバル・メルトダウンからの Uターン
10/14 ウォール街実録・暗黒の7日間(翻訳中)

第4章 ポスト恐慌のニューパラダイム(予定)
10/15 堕ちた偶像アメリカの救済・オバマ対マケインの政治学(予定)
10/16 堕ちた偶像アメリカの救済・オバマノミクスと米国経済再建案(予定)

by ysbee-2 | 2008-10-25 07:36 | パキスタン戒厳令の季節

「辺境のテロリスト」国境なき宣戦布告

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  ||| 辺境のテロリスト・国境なき宣戦布告 |||

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中央アジアのテロ戦争最前線に見る、タリバンとアルカイダの復権
ア・パ国境地帯覇権復活のタリバン勢力、ついに中国西域へも侵入


d0123476_18552829.gifついに起きてしまった五輪関連のテロ事件。競技会場となる中国の大都市周辺には人民軍兵士10万名を配備、さらには地対空ミサイルまで用意という、まるで本物の戦争並みの過剰警備体制が敷かれている。しかし今回のテロ事件はそうした都市集中型の中共政府の警戒網をくぐって、警備体制が手薄になった辺境の国境警備隊が狙われた。
d0123476_1658038.jpg右の地図でご覧の通り、事件の起きたのは中国西域の最西端。カザクスタン、キルギスタン、タジキスタン、アフガニスタン、パキスタン、そしてインドのカシミール地方と国境を接する新彊ウイグル自治区の街カシュガル(カシ)の郊外。古くから東西交易の主要道だった、シルクロードの要衝として栄えた西域の交易都市である。しかし、隣接する国すべてが、近年民族抗争とタリバンなどのテログループの復権で、各国中央政府と紛争が頻発している地域であることに注目されたい。これだけキナ臭い国家が蝟集している地域もなかなかない。
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逆にテロリスト側から見れば、これだけ活躍しやすい場所はないとも言える。中央アジアの高原が茫漠と広がる国境地帯では、万里の長城でも築かないことには、越境者の足をとどめる術はない。即ち、テロリストにとっては、他国への無断越境、武器や麻薬の密輸など、無法行為がほしいままにできる別天地であるということだ。これでは、アルカイダブランドの過激派の時限爆弾を、その地域に内包しているようなものである。そしてその爆弾は、中国政府がもっとも神経を尖らせている五輪開催の直前に炸裂した。
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これは多分、テロリストからすればほんの小手調べなのかもしれない。わずか2人の男の攻撃で、屈強な武装警察が16名もやられるとは!この事件は、ちょうど先月日にアフガニスタン辺境で起きた、タリバンによる米軍国境警備基地襲撃事件をミクロ化したような事件である。
あの時は、まだ完成して3日目の「国境の要塞」が200人余りのタリバンに包囲され、米軍が殲滅した襲撃事件である。地形の険しい山岳地帯では米軍の近代兵器もなすすべなく、半日近い攻防戦の末、2003年以来最大の犠牲者、9名の米兵が惨死した。
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この敗北は、ペンタゴンを震撼とさせるには十分だったと見え、その数週後にはイラクからアフガニスタンへとテロ戦争の焦点がシフトし、アフガン増兵が即決された。テロ活動を侮ってはいけない。襲撃が起きるのがたとえ年に数回だとしても、それを防止するためには四六時中365日、細心の注意を払う警備体制を敷かねばならない。アルカイダの創始者オサマ・ビンラディンが、9/11のテロ事件を念頭において2001年に吐いた捨て台詞「アメリカには少しずつ血を流させて死にいたらしめる」は、あながちテロリストの妄想ではなかったようだ。テロ戦争の実りのない戦線を維持するために、この7年間に米国が費やした4千数百名の戦死者と国家経済の破綻。
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クリントン時代には黒字だった国家財政が、今やすでに6500億ドル(70兆円)の負債が山積し、来年6月の決済時点では1兆ドル(110兆円)を超すのは確実だと言う。しかもブッシュ政権は、自分らにはその責任はないと豪語した。米国史上いまだかつてない、また多分今後も出現しえないだろう亡国の政権。
その上、アフガン・パキスタン国境地帯のいわゆる辺境の「ジハディスタン」地域では、すでにアルカイダやタリバンが2001年当初の勢いを復活しつつある。ここ数ヶ月の彼らの傍若無人ぶりは、どんなに微小なガン細胞でも放置すれば全身を蝕むように、末端のテロ細胞でも早期に摘み取らなければ、国家体制を左右するほどの脅威となり得る、という悪夢を現実のものにした。
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日本も油断はできない。アナーキーなテロリズムという病原体は、国家の一番防御の甘い部分を知っていて、知らぬ間にそこから入り込み増殖する。それだけではなく中共政府のように、テロ対策の名目の元に本来押し進めたかった少数民族への弾圧政策を、ここぞとばかりに強行する一党独裁の全体主義国家も存在する。無法なテロ活動と合法的な抗議運動の根本的な違いを見分けて、「治安・テロ撲滅」の名を借りた中国の、そして他の大国政府が画策する覇権のための欺瞞を見破らなくてはいけない。でなければ我々は、テロリストと全体主義者という、この世界の進展を妨げる絶対悪の両輪に、ほしいままに蹂躙されることになるだろうから。

【米国時間2008年8月4日『米流時評』ysbee 記】
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  ||| 特 集・中 国 崩 壊 |||


6/15 【中国崩壊】落盤・地滑り・大洪水…止まらない災害大国
中国南部広域豪雨で大洪水、死者57名、流域住民120万人が避難
山西省 煉瓦工場地滑り事故19名死亡/炭坑爆発事故で27名死亡

6/11 中国政府が米下院議員のPCにサイバー攻撃発覚!
中国の人権問題摘発を背景に狙われた両議員、上下両院に警告走る

6/05 「現実化するチャイナシンドローム」拡散する四川震源地の核災害
汚染大国中国のガン四川省から広がる震災難民・薬物汚染・核汚染

6/05 「中国崩壊警報」ついに始まった中国の核汚染と東アジアへの影響
ナポレオン・ソロ氏による中国の核施設と汚染情報

6/04 「四川省の地下核施設爆発と放射能汚染」
映秀と旋口付近で爆発の目撃者証言 核漏れを隠蔽する中国当局

6/03 「ダイハード中国の核と地震とネット妨害」
「四川省の核施設は本当に無事だったのか?」真実告発とネット妨害

6/02 CIAが発禁にした中国核開発の報告書『スティルマンレポート』
ダシバ山中のCAEP南西研究所ではプラズマ・ニュートロン兵器も開発か

6/01 ついに解けた核の謎!四川省の核兵器開発
震源地に近い綿陽市周辺は、中国の核兵器開発と実験施設の本拠地

5/24「核とディアスポラ」中国でいま進行している真実
核施設崩壊の事実を隠蔽する中国 爆心地映秀の人口75%が死亡
北川地区を地図から抹殺、自治区の少数民族を 強制収容所に収監

5/22 少数民族大移動 難民500万で始まる中国の「大崩落」
四川大地震から10日目、死者5万1千・行方不明3万・難民500万

5/21「赤い国の亀裂」3分間で終わった ひとつの中国
中国棄民の伝統 忘れられた渓谷の震源地へ1週間ぶりに救援隊入村

5/20「見捨てられた死の谷」中国棄民の伝統
四川省北西部の激震地を逃れ、東部の平原へ安全を求める民族大移動

5/19 速報!救援隊200名生き埋め!ついに起きた二次災害
震源地付近の核施設被害不明、地震で出現した堰堤湖決壊し住民避難

5/18 号外!中国 聖火リレーを中断 3日間の地震犠牲者慰霊へ
北京オリンピックの聖火リレーを地震の犠牲者慰霊のため3日間休止

5/16 四川大地震で難民500万!チベット人自治区汶川・北川壊滅
アバ県チベット人自治区の汶川・北川地区壊滅 住民郷里を捨て脱出

5/15 地震4日目・死者5万 負傷者10万 生き埋め1万2千名
四川省だけで死者5万・負傷者10万、1万2千名が生き埋めのまま

5/14 死者1万名! 中国四川省大地震 第1報
中国四川省でM7.9の激震、死者1万名以上の大惨事に
成都市学校倒壊生徒生き埋め 化学工場から有毒物質流出

5/05 子供ウィルスEV71の恐怖!中国で致死性の手足口病流行
中国広東省で致死性のウィルス伝染病「EV-71」流行、1万名感染

5/04 ダイハード中国・70名死亡400名負傷の山東省列車衝突事故
中国山東省で列車衝突転覆事故、死者70名・負傷者416名の大惨事


by ysbee-2 | 2008-08-05 15:24 | タリバニスタン最前線

タリバンの逆襲・アフガン戦死者2400名に

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   ||| テロ戦争最前線・タリバンの逆襲 |||

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タリバン、アフガニスタンの米軍前線基地を襲撃、米兵9名が戦死
アフガン戦線、今年に入ってからすでに軍民併せた死者2400名に


米国時間2008年7月13日16時11分 | AP通信・ニュース速報 | 訳『米流時評』ysbee
アフガニスタン・カブール発 |現地時間で13日日曜、アフガン辺境地区の小規模な米軍キャンプを、複数のグループの叛徒軍団が襲撃。ロケット砲の応酬や激しい銃撃戦で、米兵の戦死者9名、負傷者15名を出す戦闘となり、米軍は過去3年間で最も厳しい痛手を受ける結果となった。この米軍キャンプへの攻撃は、バイクに乗った自爆テロが警察の検問所を襲い24人の犠牲者を出した事件、また米NATO連合軍とANAアフガン自衛軍の共同戦線がタリバン掃討作戦を展開し、アフガン南部の各州でタリバンシンパ叛徒が40名死亡したのと同じ日の出来事だった。

Officials: Afghan Attack Kills 9 U.S. Troops
The attack is the deadliest for U.S. troops in that country since 2005
JULY 13, 2008 | Associated Press — BREAKING | Translation by ysbee
KABUL, Afghanistan — A multi-pronged militant assault on a small, remote U.S. base killed nine American soldiers and wounded 15 Sunday in the deadliest attack on U.S. forces in Afghanistan in three years, officials said. The attack on the U.S. outpost came the same day a suicide bomber targeting a police patrol killed 24 people, while U.S. coalition and Afghan soldiers killed 40 militants elsewhere in the south.

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JULY 15, 2008 | 米 流 時 評 | ブログ雑誌『 楽園通信』デイリー版f0127501_6213945.jpg
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   A S S O C I A T E D P R E S S

アフガン米軍基地をタリバンが襲撃、米兵9名死亡15名重軽傷
米国時間2008年7月13日16時11分 | AP通信・ニュース速報 | 訳『米流時評』ysbee

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アフガニスタン南部のヘルマンド州でタリバン系叛徒を掃討するため民家を捜索中のNATO連合軍フランス兵

1. Revenge against the current loss

The militant assault on the American troops began around 4:30 a.m. in a dangerous region close to the Pakistan border and lasted throughout the day. Militants fired machine guns, rocket-propelled grenades and mortars from homes and a mosque in the village of Wanat in the mountainous northeastern province of Kunar, NATO's International Security Assistance Force said in a statement.
戦死した40人のタリバンへの復讐
パキスタンとの国境に近いジハディストが出没する危険な地域。その治安体制を補強するために新設された前線基地の米軍兵士に対するタリバンの攻撃は、13日日曜の午前4時半をまわった頃に始まり、その日一日続いた。この日タリバン系叛徒集団は、クナール州北東部の山岳地帯にあるワナット村を襲撃。機関銃、ロケット砲、手榴弾などを用いて、人家はもちろんモスクにいたるまで手当り次第に破壊し炎上させた。以上の戦況報告は、NATO国際防衛連合軍のアフガン戦線支部から発表されたものである。
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ヘルマンド、クナールなどパキスタンとの国境に近いパシュトゥン族の地域は昨年来タリバン勢力復活の本拠地に

2. NATO confirmed 9 killed, 15 injured

NATO confirmed nine of its soldiers had been killed and 15 wounded. Four Afghan soldiers also were wounded, NATO said. "Although no final assessment has been made, it is believed insurgents suffered heavy casualties during several hours of fighting," NATO said in a statement. Lt. Col. Rumi Nielson-Green, the top U.S. military spokeswoman in Afghanistan, said she could not comment because the fight was ongoing.
NATO、戦死者9名、負傷者15名まで確認
NATO連合軍が確認した情報によると、この戦闘で連合軍側は死者9名、負傷者15名を出した事実を明らかにした。また同時にアフガン自衛軍兵士も4名負傷したと伝える。
「最終的な結論にはまだいたってないが、この数時間に及ぶ長い戦闘で、叛徒側にも相当数の犠牲者が出たものと確信します」NATOは戦況報告でこう発表した。しかし、アフガン駐留米軍のトップ広報官ルミ・ニールソン・グリーン大佐は、戦闘はいまだに継続中なので、戦況結果は出せないと語っている。
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首都カブールに次ぐアフガニン第二の都市カンダハール郊外。80年代のソ連のアフガン侵攻、2001年以降のテロ戦争と、復興する余裕もなく常に戦場と化す。しかし数十億ドルを投入した米国からの復興予算はどこに費やされたのか?

3. Deadliest attack since 2005

The attack appeared to be the deadliest for U.S. troops in Afghanistan since June 2005, when 16 American troops were killed — also in Kunar province — when their helicopter was shot down by a rocket-propelled grenade. Those troops were on their way to rescue a four-man team of Navy SEALs caught in a militant ambush. Three SEALs were killed, the fourth was rescued days later by a farmer.
2005年以来最大の犠牲者
13日日曜の戦闘は、同じくクナール州で16名の米兵が戦死した2005年6月の米軍ヘリ撃墜事件以来、アフガン戦線の米軍の犠牲者としては最悪の数字を記録した。05年の戦死者もやはり今回と同じクマール州で、特殊部隊の救出作戦で兵員移動中の米軍ヘリが叛徒のロケット砲に撃墜され、搭乗していた米兵16名の全員が墜落死している。この作戦部隊は、クナール州辺境で叛徒の攻撃で包囲された4人のNavy SEALs=海軍の特殊工作部隊を救出するために、現地へ向かう途中で撃墜されたものである。4人のネイビーシールのうち3人は殺されたが、たったひとりだけ逃げ延びて生き残り、墜落事件から4日後に地元の農夫によって発見救出された。
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古来シルクロードの要衝で東西南北の交通路の要であるカンダハールで叛徒流入を防ぐNATO軍カナダ兵

4. Afghan death tolls surpasses Iraq’s

Sunday's attack came during a period of rising violence in Afghanistan. Monthly death tolls of U.S. and NATO troops in Afghanistan surpassed U.S. military deaths in Iraq in May and June. Last Monday, a suicide bomber attacked the Indian Embassy in Kabul, killing 58 people in the deadliest attack in the Afghan capital since 2001.
アフガン戦線の戦死者数イラクを超す
13日の米軍キャンプ陥落は、アフガニスタンでのタリバン以下の叛徒の襲撃が急増してきた最中に起きた象徴的事件である。アフガン戦線駐留の米軍とNATO連合軍全体の月間の戦死者数は、5月6月と連続でイラク戦線の戦死者数を越えた。
一方、先週7日月曜にはカブールのインド大使館正面入口に自爆テロが突っ込み、この爆破事件で一挙に58名の無実の市民が死亡した。このアフガン駐在インド大使館自爆テロ事件は、アフガニスタンの首都カブールでは2001年のアフガン侵攻でタリバン政権が陥落して以来の、最大の犠牲者を出すテロ事件となった。
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辺境最前線でのタリバンとの戦闘で負傷した兵士をヘリから野戦病院へ搬入するカブール駐留NATO軍の英国陸軍兵

5. U.S. air-bomb mistakenly killed 69 civillians

文字数制限のため英文省略
米軍の誤爆、アフガン軍の誤射で一般市民69名死亡
この他にも、アフガニスタンでは今月になってからでも、2件の目立った死亡事件が起きている。アフガン政府の治安委員会の発表によると、ひとつは米軍の飛行機(ブログ界の情報では下の写真のスパイ機)が、南部のナンガルハル州でタリバン掃討の爆撃作戦を展開中に、誤って地元住民の婚礼の列を爆撃し、47名の住民が亡くなった米軍誤爆事故である。もうひとつは、ヌーリスタン州で起きた、アフガン政府の治安部隊が叛徒と誤って住民を襲撃、22名を死亡させた事件である。
こうした戦闘での戦死者、テロ襲撃の犠牲者、誤爆・誤射事件の被害者など、テロ戦争関連のすべての犠牲者を総合したアフガン国境地帯での死亡者数は、今年に入ってから一気に急増した。この窮状を懸念した国際赤十字委員会は、今週になって「一般市民の犠牲を避けるよう攻撃を再検討するべき」と、米・NATO・アフガン全軍と叛徒グループに対しても警告を発した。
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アフガン南部ナンガルハル州でタリバン掃討爆撃作戦を展開中に、婚礼の列を誤爆したスパイ機。これら無人の偵察機「ドローン」は、通信衛星を介した超遠距離遠隔操作で米国コロラド州にあるセントコムから操縦される場合もある。

6. Suicide bomber killed 24 around police station

文字数制限のため英文省略
アフガン南部各地で7件の自爆テロ
しかしながらこうした警告にもかかわらず、13日日曜には自爆テロ事件がアフガン各地で連続して起き多くの犠牲者を伴った。南部のウルズガン州ではバイクに乗った単独の自爆テロが警察署周辺に集まっていた警官職希望者の列につっこみ爆破、24名の一般市民が巻き添えとなって死亡した。
ウルズガン州警察のジュマ・ガル・ヒマット署長の報告によると、同州デーラウッド地方の交通量の激しい交差点の真ん中で、パトロール中の警官の一隊に自爆テロが突入。5名の警官と19名の一般市民が亡くなり、周辺を通行中の30人以上の市民が重軽傷を負った模様である。このテロ爆破事件で犠牲となった住民のほとんどは、通りの両側に軒を並べる商店主や路上で行商をしていた少年たちであったという。
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この写真は記事にある13日のウルズガン警察襲撃自爆テロではなく、その前の週に起きた首都カブール警察署への自爆テロ襲撃で爆破が起きた直後の現場写真。現場は各国メディアの記者が勤務中のビルのちょうど真ん前だった。

7. Taliban executed two women

文字数制限のため英文省略
タリバン、二人の女性を公開銃殺処刑
そのほかにも、タリバンは土曜の夜アフガニスタン中部のガズニ州で、米軍基地で売春行為をしていたという罪状で、住民のアフガン女性ふたりを公開処刑で銃殺した。ガズニ州知事の広報官サイド・イスマル氏の情報では、青いバーカに身を包んだ二人の女性は、ガズニ市の町外れで射殺されたと報告された。このふたりの女性は、全く身に覚えのない罪を着せられて殺された無実の市民だと、彼は説明している。
一方のタリバン側では、AP通信テレビニュースの記者に連絡をとり、二人の女性はガズニ市内で米軍基地内の米兵や米軍の下請け業者外人に売春婦を送り込む秘密の組織を運営していた容疑で処刑されたと、事件の経過を明らかにした。しかし米軍ガズニ基地のネイサン・ペリー広報官は、それらしい組織の存在さえ聴いた事がないと否定した。
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超封建的なイスラム原理主義を掲げるタリバン政権が崩壊して厳しい戒律から解放された後も、因習から抜け出さずに青いバーカをまとうアフガン女性。一見物乞いのように見えるが、実は路上で乗り合いバスを待っているところ。

8. 40 militants killed in Helmand

文字数制限のため英文省略
ヘルマンドの掃討作戦でタリバン40名死亡
タリバンら叛徒の襲撃が頻発している一方で、ヘルマンド地方ではアフガン自衛軍と米軍主導の連合軍に対する襲撃への反撃掃討作戦で、少なくとも40名のタリバンが死亡したと連合軍側から発表された。12日土曜にサンギン地方近郊を警護していた連合軍を、タリバンが「潜伏して要塞化した複数の箇所」から襲撃したと報告された。
襲撃に続いてまる二日間にわたってヘルマンド側流域のこの地区の攻防戦が繰り広げられたが、連合軍側は30艘の敵側の船といくつかの小さな橋を爆破したと発表した。この戦闘中、2日目の日曜ヘルマンド州の路上で遠隔操作爆弾が爆発し、NATO・ISAF軍所属の兵士1名が死亡したと公表されたが、兵士の国籍はまだ公表されておらず、2日間の戦闘との関連も不明のままである。
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タリバンらテロリストの資金源はアヘンなど麻薬取引。アフガン各地で警察と政府軍が密輸ルートの摘発に必死

9. 2,400 killed in insurgents clash this year

文字数制限のため英文省略
今年前半だけで軍民併せて2400名死亡
12日土曜からのヘルマンド流域での戦闘中、2日目の日曜ヘルマンド州の路上で遠隔操作爆弾が爆発し、NATO・ISAF軍所属の兵士1名が死亡したと公表されたが、兵士の国籍はまだ公表されておらず、2日間の戦闘との関連も不明のままである。
AP通信の収集した公表数字から集計したデータによると、アフガニスタンでは、今年に入ってからだけでもタリバンとイスラム過激派叛徒の襲撃に関連した死亡者の数は、2400名にも上っているが、そのほとんどが叛徒側の戦士である。現在アフガニスタンには、NATOのISAFアフガン駐留軍として、40カ国から5万3千名近い兵士が派兵されている。 [了] 

【米国時間 2008年7月15日 『米流時評』ysbee 訳】
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6月中旬にタリバンとの激戦で戦死した英兵6名の葬儀に整列した、キャンプバスチオンのNATO英国軍アフガン部隊

»» 次号へ続く
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by ysbee-2 | 2008-07-15 08:40 | タリバニスタン最前線

緊急アフガンレポート・テロ戦争の最前線から

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   ||| アフガンの東・パキスタンの西 |||

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アフガン戦線で熾烈化する戦局、今年に入って軍民2400名が死亡

d0123476_18552829.gifアラビアンナイトとはGPSの位置がちょっとずれるが「タリバンと40人の闘族」とでもタイトルをつけたい戦況報告が先週あった。今年2月にムシャラフ政権と交代したパキスタンの新政権が、9日になってタリバンシンパの辺境自治区を取り仕切る軍閥との和平交渉に成功……というニュースが入った。

パキスタン新政権樹立とタリバンの復活
いよいよタリバン勢力も、アフガン戦争終結への路程に就くのか……と思ったのも束の間、拘束が甘くなったパキスタン政府軍の国境警備網を堂々とかいくぐって、我が物顔のジハディストがパキスタンからアフガニスタンへと、カイバー峠を越え越境流入。アフガニスタン東部のガズニ州や、ヘルマンド、クナール各州で、それまで米NATO連合軍に協力していた地元の親米的集落を襲い、復讐の大量殺人、公開処刑、見せしめの陵辱、徹底した略奪・焼き討ちと、テロリストの名に恥じない蛮行の限りを尽くしている。
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無政府状態のジハディスタン
アフガニスタンの東、パキスタンの西。ジハディストの別天地「ジハディスタン」あるいは「タリバニスタン」と称される両国の国境地帯では、アフガン・パキスタン両国政府軍の国境検問所や米NATO連合軍の前線基地が、「打倒アメリカ」という攻撃目標をひとつにするタリバンとそのシンパである過激派イスラム軍閥の共闘作戦によって、連日の激しい襲撃に遭っている。タリバン勢力の急激な復活と武装戦力の格段の飛躍で、今年に入ってから米軍は守勢に回ってしまっているが、その事実を裏付けるように、6月の戦死者はついにイラク戦線の戦死者数を越えてしまった。
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ついにイラクを越えたアフガン戦線の戦死者
ペンタゴンのスーパーコンピュータを駆使しなくても、単純な小学生の「算数」でもわかる非情な現実。イラク駐屯米兵14万4千名に対して、アフガン前線へは3万6千名しか派兵されていない。NATOとの連合軍全体でも6万である。それでもアフガンの方が戦死者が多いのならば、米軍の総司令官だったらどうするだろう?
それだけ戦局が熾烈で過酷を極めている証拠だろうから、当然アフガニスタンへ援軍を送るだろう。倍増してもいい位だ。しかし米軍はすでに各軍とも出兵期間のローテーションを使い果たしており、米国本土からの派兵はきつい状況だ。それならば比較的治安が良くなったと言われるイラクに現在駐留している部隊を差し向けてでも、テロ戦争の最前線であるアフガン戦線を保守しようとするだろう。なぜなら、そのためにこれまでの7年間を闘ってきたのだから……実に7年半も。
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部族叛徒との和平で米国と離反したパキスタン新政権
アフガニスタンとパキスタンの国境地帯、この高峻な山岳地帯は数世紀にわたって「Safe Heaven for Jihadhists=イスラム聖戦の兵士ジハディストの別天地」だった。ジェット戦闘機や戦闘タンクといった近代兵器の使用が不可能な、山脈と急流が奥深く入り込んだ険しい複雑な地勢を、排他的少数民族パシュタン族 (Pashtun tribe) が民族自決の命運をかけて死守している。
クーデターで軍政を打ち立て、9/11以降は親米政策で生き延びたムシャラフ大統領の独裁ともいえる軍事政権に代わって、2月に成立したパキスタンの新しい民生政府。世界からその動向が注目された新生ファルーク政権は、タリバン復活で揺れ動くパキスタン国内の治安を少しでも沈静化しようと、国内での辺境部族対策を弾圧から和解政策へと大転換。
こうした辺境の地域社会の精神的背景とイスラム国家としてのナショナリズムを熟慮して、ついに叛徒軍閥との仲介役である部族長老たちと和平条約を結んだ。これが現地時間で今月9日水曜のできごと。当然の成り行きとは言え、テログループとは妥協も交渉もしないという方針のブッシュ政権からは、トカゲのシッポ切りのような冷遇に遭っている。
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カルザイ暗殺未遂とカンダハール監獄の大脱走
しかしながら、今年に入ってからのタリバンシンパ軍閥の跋扈には目に余るものがある。6月にはアフガニスタンの首都カブールでカルザイ暗殺未遂事件。これと前後して、数限りない自爆テロが各地で勃発。アフガン第二の南部の都市カンダハールでは、刑務所(というより監獄という表現の方がふさわしい「古典的」な施設だが)がタリバンに襲撃され、収監されていた囚人千人以上の全員が脱走に成功。米国メディアでは「タリバンの大脱走」という大見出しで、アフガンの警備体制が嘲笑された。収監されていた囚人は、ほとんどが連合軍の討伐作戦で捕獲された「戦争捕虜」だったのだから、軍部の落胆ぶりも愁嘆ものだった。
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完成3日後にタリバンに襲撃占領された米軍基地
米NATO連合軍の堡俏や基地をターゲットとする、タリバンとシンパ軍閥側の襲撃は日に日に激しさを増し、前述のようにイラクよりも厳しい戦況となってきた。2003年以来「中東での聖戦」を闘うべくイラク戦線へ遠征して、ゲリラ戦のノウハウと簡易ミサイルやロケット砲などの先端の武器をマスターしたタリバンの兵士たちが、連合軍の守備戦力の弱体化した国境地帯ジハディスタンへ帰郷し、反米意識で共通する地元の叛徒軍団を指揮しているのだろう。
おりしも13日には、国境地帯の治安警護を増強するため新たに建設された米軍基地施設が、完成してわずか3日目にタリバン連合の急襲に遭い、米兵9人が「基地内」で戦死した。負傷者は15名。命からがら脱走し空軍の爆撃を求めた米兵の連絡で、初めて悲惨な戦況が報告されたようである。
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アフガンとイラク、未完の戦争
おつきあいで寄せ集められたNATO軍には期待していないが、2001年の9/11襲撃事件に動機を発する米軍は「タリバンとアルカイダ討伐」という錦の星条旗の元に、本来のテロ戦争の本拠地アフガニスタンに侵攻したはずである。しかしブッシュ政権は、ビンラディンを捕獲するチャンスをみすみす見逃し、そのミッションを途中で保留にしたまま、石油利権確保と言う見当違いの欲業にまみれたゴール、サダムの首とバグダッド目指して、イラク戦争の泥沼に踏み込んでしまった。
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米国を亡国に導いたネオコンの中東政策
もし今から100年後に、米国が中国とロシアに次いで世界で三番目の、あるいはそれ以下の国家に成り下がっていたとしたら、米国の転落のそもそもの契機はイラク戦争にあったと、未来の歴史学者たちは結論づけるにちがいない。そしてその元凶は、戦争の実行者たるブッシュ政権と、背後の侵略計画「中東ニューワールド」政策を立案したネオコンだったと。

【米国時間2008年7月14日『米流時評』ysbee 記】

»» 次号「テロ戦争最前線 第1章『タリバンの逆襲』アフガン戦死者2400名」へ続くd0123476_1023580.jpg

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by ysbee-2 | 2008-07-14 14:40 | タリバニスタン最前線
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