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「沈黙の壁を越えて」村上春樹とイスラエル-3

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   ||| 沈黙の壁を越えて・作家の魂 |||

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作家としての村上春樹の生き方:『朱雀式』2/17号「羊男のエルサレム」より

d0123476_18552829.gif村上春樹氏のエルサレム賞受賞式でのスピーチは、ずいぶん沢山のブログでとりあげられ、そのどれもが彼の行動と勇気に敬意を表するものでした。
シリーズの最後に、数あるエントリの中でも心に残った一編を。最近推奨ブログにリストアップした『朱雀式』の2/17号からの抜粋です。

  やはりどなたにも、それぞれの「羊男論」があるようですが、
  ここでもやはり、文学者としての村上氏のペンの力に対する賞賛を惜しみません。
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  さらには、私もそうでしたが、彼の言動一致の勇気に動かされ、
  自らの生き方の原点を 振り返った方が多かったのではないでしょうか。
  朱雀氏の展開にも そうした軌跡が見られます。

  ねずみや羊男が彷徨った長い旅路、はるかなる放浪。
  辿り着く場所が、原点なのか到達点なのかさえわからずに 
  魂のベクトルが指し示すまま あてどなくさすらった荒野の果てに、
  もしかしたら村上氏は、自らの創作の あるいは人生の、
  究極の目的を見出したのかも知れない.....
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  壁に見立てた「体制」と、その規制や弾圧と闘う、脆弱な卵としての「個」
  あるいは、人間の自由な精神。
  その具体化しにくい観念上の闘争を、見事に言い表した比喩。

  精神の自由という、かたちにならない魂のエネルギーを
  自らの行動で示して見せた作家。
  一閃の輝きの中に人生を見るような、秀逸なエントリです。

  【米国時間2009年2月18日『米流時評』ysbee】

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FEBRUARY 18, 2009 | 『米 流 時 評』 |  時事評論ブログ雑誌・デイリー版  2009年2月18日号
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   B E I R Y U | C U R R E N T
作家としての村上春樹の生き方:『朱雀式』2/17号「羊男のエルサレム」より
米国時間 2009年2月18日 | ブログ『朱雀式』より | 転記『米流時評』ysbee

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ブログ『朱雀式』2/17号「羊男のエルサレム」より

<前略>...... 僕は文章についての多くを村上春樹に学んだ。
村上春樹は、デレク・ハートフィールドと同じく、
文章を武器として闘うことができる 数少ない非凡な作家だった。

両者の大きな違いは、ハートフィールドが 死ぬまで自分の闘う相手の姿を
明確にとらえることができず、不毛なままの一生を終えたのに対し、
村上春樹は生き続けて、現実世界と言葉で闘うことができるようになったことだ。
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そんなわけで、村上春樹は、エルサレムで堂々と、
イスラエルの暴力を真っ向から婉曲に批判し、
エルサレム賞の恥ずべき歴史に輝かしい一ページを加えることとなった。

  <中略>......「この暗喩の意味とは?
  ある場合には、まったく単純で明快すぎます。
  爆破犯(bomber)と戦車とロケット弾と白リン弾は高い壁です。
  卵とは、押しつぶされ焼かれ撃たれる非武装の市民です。
  これが暗喩の意味するところのひとつです。

  しかしながら、常にそうではありません。より深い意味をもたらします。
  こう考えて下さい。
  私たちはそれぞれ、多かれ少なかれ、卵です。
  私たちそれぞれが壊れやすい殻に包まれた
  唯一無二のかけがえのない存在(soul)です。
  
  ・・・・・「村上春樹: 常に卵の側に」


(*編者注:朱雀氏も引用したように、日本の報道では「bomber」を爆破犯と訳した媒体もあったようですが、村上氏の文脈から推して、また空爆から始まった戦況から判断して「bomber」は通常米語で「爆撃機」と解釈できます。自爆テロの場合は suicide-bomber。蛇足ですが、イラクの靴投げ抗議は shoecide bomber。)
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村上春樹は、壁の下敷きになって死んでいく弱者たちだけでなく、
僕たちの存在全てを「卵」と呼んだ。
もちろん、このスピーチによっても問題は何も解決していないし、
語り終えてもあるいは事態は全く同じと言うことになるかも知れない。

結局のところ、言葉を語るというのは変革の手段ではなく、
変革へのささやかな試みにしか過ぎないからだ。
しかし村上春樹は、「個人の自由に与える賞」を受賞するために
エルサレムまで行き、
個人の命を奪い続けている力を 批判する言葉を語った。
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「村上春樹はこんな賞を辞退するべきだ」と非難した人も、
「作家がどんな賞をもらってもいい。小説と政治は関係ない」
と擁護した人も――無論、僕も含めて――
村上春樹の作家としての戦闘的な姿勢を知らなかった、
あるいは村上の「コミットメント」を信用していなかった、ということだろう。

この受賞スピーチは、とても真摯な、
しかもこれだけで成立しうる批評的な作品 と言っていいものだと思う。
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かつて村上春樹は、自らの作品の中でこう書いた。

 「僕たちが認識しようと努めるものと、実際に認識するものの間には
  深い淵が横たわっている。
  どんな長い物差しを持ってしても その深さを測りきることはできない」


それでも彼は、決して物差しを手離そうとはせず、
世界を認識する努力をあきらめなかった、ということだろう。

初期の村上春樹の小説は、冒険をしても 主人公が全く成長せず、
出会いがあっても変わらず、ある種の「不毛な」物語ばかりだった。

しかし あれから30年が過ぎ、
今や不毛の大地は 象が帰る草原となり、
彼は力強い言葉で 世界を語り始めたのだ。

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>>ブログ『朱雀式』2/17号「羊男のエルサレム」で全文を読む
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  >2/16 「ガザの壁と命の卵」 村上春樹とイスラエル-1
  >2/17 「投げつけられた卵」 村上春樹とイスラエル-2
  >2/18 「沈黙の壁を越えて」 村上春樹とイスラエル-3

  <予告「Good News, Bad News, Everything in Between」
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*米流時評 特集『ガザ戦争』記事リストへ続く
by ysbee-2 | 2009-02-18 18:06 | イスラエル・ガザ戦争

「投げられた卵」村上春樹とイスラエル-2

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    ||| 「投げられた卵」村上春樹とイスラエル-2 |||

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meixiさんのブログから Jerusalem Post 紙「村上春樹エルサレム賞受賞」対訳

d0123476_18552829.gifこのブログ『米流時評』を始めた当初からおつき合いいただいている方々がいる。「かたがた」と言うのもてれくさいようなポン友なのだが、忌憚なくほめたりけなしたり、冗談を言いあったりできる、ありがたい存在である。

  しかしその中には、ある日突然更新が止まったり、
  あるいは、こちらからのアクセスが効かなくなったりしたブログもある。
  ちょうど実社会で、行きつけの店が ある日行ったら閉店していたり、
  同僚が突然転勤して引っ越したような、そんな感触と似ている。
  非常に残念ではあるが、それが人生さ、と歩き続けるしかない。
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  そうした中で、いつも励まし続けてくれた方のひとりに
  長野で塾を運営してらっしゃるmeixiさんがいる。
  先生で、主婦で、高校生・中学生のお母さんで、
  なによりもしっかりした個人の意見を言い合える、素敵な女性である。
  ときどき披露する「うっかり」体験もご愛嬌。

  彼女も主に英文記事の翻訳で、海外情報を伝えてくれている。
  なぜか、中国とトルコに興味をお持ちである。
  私のブログが、殺伐としたテロや戦争の記事が多いのに比べ
  彼女のピックアップする題材は、
  いつもヒューマニズムの感性にふれる 暖かい記事が多いのも特徴。
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  今回も、村上春樹氏のエルサレム賞受賞に関して、
  現地の英字新聞の全訳とともに、エントリを上げられた。
  記事が長いので、前後編2編に分けての掲出である。
  ぜひ、ご一読をおすすめする。
  たとえ彼女と友だちでなかったとしても、多分、読んで良かったと思える記事なので。

  【米国時間2009年2月17日『米流時評』ysbee】

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FEBRUARY 17, 2009 | 『米 流 時 評』 |  時事評論ブログ雑誌・デイリー版  2009年2月17日号
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   B E I R Y U | C U R R E N T
meixiさん〜Jerusalem Post紙掲載「村上春樹エルサレム賞受賞」記事の紹介
米国時間 2009年2月17日 | By meixi『英文記事を読む』前後編 | 転記『米流時評』ysbee

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meixiさんのブログ 2/19号「村上春樹氏、ガザ攻撃を批判」より

村上春樹氏がエルサレム文学賞を受賞したことで、
イスラエルでの授賞式へ行かないように との世論が巻き起こりましたが、
彼は迷った末に、「沈黙するより、述べることを選んだ。」と述べ、
受賞講演で イスラエルを直接名指しはしませんでしたが、
イスラエルを批判するスピーチを行いました。
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村上氏は「私たちを守るはずの体制が、組織的に人を殺すことがある。」と述べ
その体制を「高い壁」に例え、
守られなければならない人々を「壊れやすい卵」に例え、
その体制と戦うために 一人ひとりが団結しなければならない
とメッセージを送りました。

イスラエルへ行き、イスラエル政府高官も出席する式典にて、
イスラエル批判のスピーチをした村上氏の その勇気と行動に感銘を受けました。

彼のメッセージをどう受け止めたかは 人それぞれでしょう。
しかし、彼のスピーチ後半の部分の意味を理解できた人は、
「自分に何が出来るか?」そう問いかけ、行動することで、
彼のメッセージを本当に理解できた と言えるのではないでしょうか。
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私はJerusalem Postの記事を訳してみました。
記事の見出しは、『村上氏、ガザ攻撃を批判』としたかったのですが、
イスラエルのメディアの記事なので、英文の意味そのままで日本語に訳しました。
日本で発表されたスピーチの内容と、
Jerusalem Post が発表した彼のスピーチを比べると、
明らかに イスラエルに都合が悪いことは削られていることが分かり、残念です。

では、記事の訳を。
(以下全文対訳の中から一部抜粋。あとはぜひ元記事でご一読を)
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"Israel is not the egg"— Murakami, in trademark obscurity, explains why he accepted Jerusalem award
『村上氏、独特の難解さで、受賞理由を説明』

「だから、私はエルサレムに来ました。作家としてきたのです。
 それは、嘘の紡ぎ手としてということです。

作家だけが嘘をつくのではありません。
政治家も(申し訳ありません、大統領。)、そして外交官も嘘をつくのです。
しかし、作家は他の人たちと区別されます。
作家はその嘘がもとで 起訴されることもありません。むしろ賞賛されます。
そして 嘘が大きければ大きいほど、賞賛されるのです。
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私たち作家の嘘と 彼らの嘘との違いは、
作家の嘘は 真実をもたらすことを助ける ということです。
真実の全てをはっきりさせることは 難しいことです。
だから作家は それをフィクションの分野へと 置き換えるのです。
しかし、はじめに、私たち作家は、
自分の中のどこに真実があるのか、はっきりさせなければなりません。

今日、私は真実を語ります。
嘘を言うこととは係わりを持たない日、
つまり真実を語るという日は、一年に数日しかありません。
今日が その真実を語る日なのです。


>>このあとにも、記事の対訳が続き、前後編に分かれています。
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meixiさんのブログで「村上春樹氏、ガザ攻撃を批判」全文を読む
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   >2/16 「ガザの壁と命の卵」 村上春樹とイスラエル-1
   >2/17 「投げつけられた卵」 村上春樹とイスラエル-2
   <2/18 「沈黙の壁を越えて」 村上春樹とイスラエル-3
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*米流時評 特集『ガザ戦争』記事リストへ続く
by ysbee-2 | 2009-02-17 12:16 | イスラエル・ガザ戦争

村上春樹とイスラエル/ガザの壁といのちの卵

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   ||| 「卵と壁」村上春樹とイスラエル |||

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エルサレム賞受賞の村上春樹が、イスラエルから世界へ伝えた勇気あるメッセージ

d0123476_18552829.gif例の「イスラエル賞」を受賞した村上春樹氏の話である。そもそもは、パレスチナ関連の記事を連投なさっているピーさんのブログ『P-navi info』で、先月末に彼が文学賞を受賞したことを知り、これは問題になるな、と感じていた。

文学と政治は別物、と割り切って受けるにしろ、イスラエルのガザ侵攻は許せない、と拒絶するにしろ、彼なりの「イスラエル観」を表明せざるをえない結果になるだろうと予測したからである。

この問題で口をつぐむことは、言わば第二次大戦時にヒットラーのドイツ第三帝国によるユダヤ人の虐殺を、事実を知りながら看過したヨーロッパのナチス迎合派と同じ立ち位置になる、と私は解釈しているからだ。戦争のきっかけがどちらにあったか、などというテクニカルな話題で問題の焦点をそらそうとするメディアもある。
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しかし一番の問題は、イスラエルの強行した「虐殺行為」あるいは数年後には「戦争犯罪」と呼ばれるであろう、逸脱した軍事行動にある。これは人間性に逆行する蛮行であり、ユダヤ人がイスラエルという国家の形態を借りて強行した、「パレスチナ人の民族虐殺」にほかならない。

イスラエルの冒した大罪の数々は、12月末から一時停戦まで3週間続いた戦闘期間と同時進行で、『米流時評』でも特集を組んでほとんど毎日連載してきたので、詳細を知りたい方にはフィードバックでページ下のリンク集から各エントリーの記事を読んでいただける。

今日お知らせするのは、冒頭の村上春樹のイスラエル賞授賞式におけるスピーチについてである。ブロガー諸兄もそれぞれ一家言あったと見えて、皆さん秀逸なエントリを上げていらした。私自身が書くと、なにぶんガザに関しては怒りや悲しみの感情が先立って、いかんせん浪花節になってしまうので、ほんの一部だが、一読に値するブロガー氏のエントリーを紹介したい。
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この他にもたくさんの方々が、イスラエルとパレスチナの問題を日本人として真剣にとらえ、ひとりひとり、その方なりの気概に満ちたご意見を述べていらした。しかしみなさんのエントリを紹介したかったものの、紙面に限りがあるのでその中のほんの数氏だけになったことをあらためてお詫びする次第である。

日本の記事を直接読む機会が少ない私は、当初ニュースサイトのタイトルだけを見て「村上氏受賞」というものだから、なんだ彼でも迎合したか、と失望したのだが、cakeさんのブログで氏が気骨あるスピーチを「敵陣で」披露したことを知り、うれしかった。

文学者だからこその、言葉を武器にした落ち着いた抗議ができたのだろう。
それなりの覚悟もあったろうし……何しろモサドの本陣である。暗殺など朝飯前の土地だ。
長いこと彼の作品のファンではあったが、あらためて、人間として尊敬する。

【米国時間2009年2月16日『米流時評』ysbee】

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FEBRUARY 16, 2009 | 『米 流 時 評』 |  時事評論ブログ雑誌・デイリー版  2009年2月16日号
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   B E I R Y U | C U R R E N T
エルサレム賞受賞の村上春樹が、イスラエルから世界へ伝えた勇気あるメッセージ
米国時間 2009年2月16日 | By cake / YAN-C / P-navi | 編集『米流時評』ysbee

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まず初めに、いつも暖かい応援で励ましてくださるcakeさんのブログから。
彼女のエントリでは特に最後のメディアの処理に対する批判が納得いきました。
私もあやうく、村上氏を誤解するところでしたから。


d0123476_14302471.jpgcakeさんのブログ『無題・休題−ハバネロ風味−』2/16号
「村上春樹氏とエルサレム賞」より

イスラエルの文学賞の エルサレム賞の授与式が
15日、エルサレムの国際会議場で行われた。
受賞した作家の村上春樹氏(60)には、ガザ空爆に反対したNPO団体始め、
一般市民からも、この時期にイスラエルへ行く事に反対する意見があがり、
賞を受けるべきではないとメールなども多数送られたと思う。
村上氏は賞を受ける事を決め、
この時期だからこそ、自分の目で確かめる必要もあると、イスラエルに向かった。

イスラエルから、悲惨なガザの状態が見える筈もない。
しかし受賞の演説の時に、表だって彼はガザへの空爆を非難する発言をした。
ガザの人達を卵に喩えて、壁というイスラエルに向かってのコメントは、
非常に重要な物だったと思う。

私も内心 彼の受賞には賛成出来かねるものがあったのだが、
彼の作家としての才能に賞されたものだし、これがイスラエルに行って、
きちんと自分の意見を公に述べる、絶好の機会だったのだろう。
私は素直に拍手を送りたい。

しかし、それを報道する日本のマスコミは一体何なのだ。
一切ガザへの非難のコメントを外して 
表彰のみを扱ったマスコミがいた事を、腹立たしく思う。
一般の人には、イスラエルに尻尾を振る日本人にしか見えないだろう。
情報操作とは恐い物だなと思う。

『無題・休題−ハバネロ風味−』2/16号「村上春樹氏とエルサレム賞」より
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次に情報の早いこと、そして問題を見抜く洞察力の鋭さでいつも一目おく、
YAN-Cさんのブログ『RE: SUKI』では、
現地イスラエルでの報道を対訳で載せながら、持論を展開します。
村上氏のスピーチの核心が掴める秀逸なエントリーです。


d0123476_14302471.jpgYAN-Cさんのブログ『RE: SUKI』2/16号
「村上春樹さん イスラエルにて『エルサレム賞』受賞」より

<前略>………小説の中での創作を「嘘」と表現することで、
小説家が多くの方から得る賞賛についてを語りました。
そして、小説家は、小説の中では、嘘を付くものと前提し、
1年の中、嘘に関わらない数日ある日の中の1日が、今日であると伝えています。
冗談ぽい内容ですね。

「今日、私は真実を話します。
私が嘘を付くことにかかわらないことは、1年に数日だけです。
今日は、その中の1日です。」


受賞に際しての、村上さんの考えは、以下のようなものでした。

「私がこの賞を受けることを聞いた時」
「私は、ガザ地区での戦いを理由に、ここに来る事を警告されました。
 私は自身で問いただした。『イスラエルを訪れることは、適切なことなのか?
 一方の国の支持にならないだろうか?』」

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やはり、ガザ地区での出来事と、ご自身の立ち場について、悩まれたようです。
誰もが悩むであろう問題ですが、
小説家は、「見て触れなかった物を信用しない」とし、
今回のイスラエルへの来訪を決めたとのことでした。

「小説家は、見なかった物と触れなかった何物をも、信用することが出来ない。
 だから私は、見ることを選びました。
 私は、何も言わないことより、ここで話すことを選びました。」


その後の内容は、日本でも報道されていますが、
「卵」を比喩表現として使った、興味深い内容でした。
私の中2脳で訳そうかなと思ったのですが、
日本の報道のほうが早いので、そのまま転載しておきます。

 "So here is what I have come to say."
「私が言いたいことは、ここにあります」

「わたしが小説を書くとき 常に心に留めているのは、
 高くて固い壁と、それにぶつかって壊れる 卵のことだ。
 どちらが正しいか 歴史が決めるにしても、わたしは常に 卵の側に立つ。
 壁の側に立つ小説家に 何の価値があるだろうか。」

 ……<中略>……

「壁はあまりに高く、強大に見えて わたしたちは希望を失いがちだ。
 しかし、わたしたち一人一人は、制度にはない、生きた精神を持っている。
 制度がわたしたちを利用し、増殖するのを許してはならない。
 制度がわたしたちをつくったのでなく、わたしたちが制度をつくったのだ。」


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 ……<中略>……
その様な情勢の中、イスラエル国内での村上さんの発言は、
意味のあるものであったと、個人的には思っています。
何もしない、何も出来ない、ではなく、
実際に動き、言葉を伝えることは、重要です。
全てではなくとも、イスラエルの人に、
村上さんの想いは届いたのではないでしょうか?

小説家の嘘、政治家の嘘、
どこに真実を見出し、何を重視するかは、
人々が努力し探すべき「道」であると伝えているように、私には見えました。
意味のある何かを 世界の人々が共有出来るなら、
「嘘の世界」はなくなるのかもしれません。

『RE: SUKI』2/16号「村上春樹さん イスラエルにてエルサレム賞受賞」より
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そもそも村上春樹のエルサレム賞受賞については、ガザ・パレスチナ関連の情報センターのようなピーさんのブログ『P-navi info』で知りました。先月のことです。
彼は当初からイスラエルには反対の立場で、村上氏へ受賞を再考するように、各方面へメール送付キャンペーンを展開してきた方です。抜粋したのはその抗議の手紙の一部ですが、他の記事でも日本でのガザ支援の情報が得られます。


d0123476_14302471.jpgブログ『P-navi info』1/27号
「拝啓 村上春樹さま ――エルサレム賞の受賞について」より

拝啓 村上春樹さま、
この度、村上さんが、イスラエルのエルサレム市が大きく関与している
文学賞「エルサレム賞」を受賞なさるということを聞きました。
しかし、お祝いの言葉を私は言うことができません。

この賞は「社会における個人の自由」を描いた作者に贈られるとありましたが、
村上さんがそれにふさわしくないのではなく、
贈る側が「社会における個人の自由」を口にする資格がありません。
この賞を辞退なさることをお薦めします。 ……<中略>……
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しかし、賞を辞退するのも、あなたが共犯者とならないですむひとつの方法です。

それでも、村上さん、あなたが受賞のためにエルサレムに出向くというなら、
受賞式より前に 入植地で虫食いになった東エルサレムを、
人びとを分断し隔離する 巨大な壁を、たくさんの検問所を、
囲い込まれて身動きがとれなくなった西岸の街を
ご自分の目で見ていただきたいと思います。
パレスチナの人びとの声に 耳を傾けてほしいと思います。

イスラエルのおつきの人の目を盗んで、ひとり動きまわるのは
村上さんならやすやすとできそうです。
……<中略>……
あなたの行為が、世界中のあなたの読者を、
そして あなた自身の作品を裏切らないでいてほしいと思うばかりです。

    敬具  ビー・カミムーラ(ナブルス通信編集部)……<後略>d0123476_14302471.jpg
ブログ『P-navi info』関連記事リンク

1/27 拝啓 村上春樹さま ――エルサレム賞の受賞について
1/31 [雑記]風邪ひき
2/02 「村上春樹に読者の声を届けるよ!」by. m_debuggerさん
2/12 Open Letter to Haruki Murakami about his Jerusalem Prize
2/12 「拝啓 村上春樹さま」3つの言語への翻訳
2/18 村上春樹エルサレム賞受賞スピーチ (追加あり)
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  >2/15 「絶望と希望のはざまで」ハマスとイスラエル・ガザ停戦
  >2/16 「ガザの壁と命の卵」 村上春樹とイスラエル-1
  <2/17 「投げつけられた卵」 村上春樹とイスラエル-1
  <2/18 「沈黙の壁を越えて」 村上春樹とイスラエル-3
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▼米流時評 特集『ガザ戦争』記事リストへ続く
by ysbee-2 | 2009-02-16 12:48 | イスラエル・ガザ戦争
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世界の動きがよくわかる!激動する国際情勢を、欧米メディアでディープに読む…世界の「今」と真実探求に関心ある知的冒険者へ送るグローバル情報満載ブログ


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