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資本家は何処へ行った?ガイトナー・ソルーションの行方

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  ||| ガイトナー・ソルーションの行方 |||

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 ガイトナー財務長官のほどこす財政の大手術で、米国経済は生き返るのか?

d0123476_18552829.gif『米流時評』は通常、本文は米国メディアの翻訳記事で、私自身の意見はトップの前書き(もどき)に書いていますが、時事の焦点に的を得た質問が出ると、待ってましたとばかりにレスが書きやすくなります。なぜかと言えば、掲載記事のコンテンツ以外にもこちらの新聞・テレビのニュース解説や討論番組で得たホットな情報も、あわせて紹介したいからです。

いつも時間がなく週遅れのレスになっているにもかかわらず、正鵠を得たコメントを残してくださる皆さんには、改めてその誠意に深く感謝申し上げる次第です。今回のAIGボーナス問題に関しても色々ご意見をいただきましたが、日本へ帰国してますます水を得た魚のようなunimaroさんからのコメントへ書いたレスに、私の言いたかったことが凝縮されているので、そのまま記載します。(それにしてもカジュアルな文体で、冷や汗三斗ですが)
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3/16号『オバマ激怒!AIGの巨額ボーナスに待った』のコメント欄より
>うにさん、いつもコメントをありがとうございます!
4年前から応援していた身としては、全然「化け」てはいないと思うんですが。
オバマほど主張を変えない政治家も珍しい、と思えます。
公約通りの政策を議案として次々成立させていっているので
そこまで律儀に約束を守れるとは思っていなかったとすれば、意外かも。

今回のボーナス問題で一番の収穫は、上のレスでも書いた通り
金融界の天井知らずの報酬に対して、規制が成立した、という点ですね。
これは、下院では民主党が圧倒的与党で議案通過、大統領も民主党なので、
最終承認のオバマのサインでスピーディーにスムーズに成立するわけです。
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これまでは、クリントンの時は下院の与党が共和党で「ねじれ」で成立せず。
ブッシュの時には、特に2期目の後半 2006年の総選挙で
民主党が圧勝を収め、下院で多数を占める与党となったのですが、
せっかく成立した良い議案も、大統領の拒否権発動で却下されていました。
ですから、かれこれ16年間も すったもんだの膠着状態だったわけですよ。
この間、金融資本家がはびこり放題。

ですから、今回の金融機関への政府の介入は
一種の経済革命と言ってもいいかと思います。


みなボーナスの額の大きさとか、経営陣の強欲に目がとられて
本質的なドラスティックな変化に言及している評論家はまだおらず、
この上で書いたローレンス・オドーネルが、
クリス・マシューズの「Hardball」で指摘したのが、最初で最後です。
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しかしこの変化は、政治・経済両面において巨大なUターンになったと思います。
多分その効果は、これからじわじわとオバマ政権の圧倒的強みになって
社会全体に健全な効果が現れてくるんじゃないでしょうか。

格差社会のハレーションにストップがかかったわけです。
やっと庶民が王様になる時代が、訪れつつあるのですよ。
この大局的な構図が見えない人だけが、社会主義化とか騒いで、
ネガティブな恐怖感をあおっているだけです。

この次に打つ手の対象は、こういった特権階級の隠し金で
海外の、特にスイスの銀行に預金していた口座を対象に、
税金逃れに対するチェックメイトの手が伸びるでしょう。
その件に関しては、ただ今翻訳中のシャープな評論がありますので
ご期待ください。
   【米国時間 2009年3月24日『米流時評』ysbee 】

d0123476_16391691.jpgunimaroさんのブログ 3/22のエントリでは、この件に関する日本の偏向報道を取り上げ、「プロ」のジャーナリストの言葉の選択如何で、いかに事実が歪曲されていくかについて、実例とともに鋭い批判を浴びせています。ぜひご一読を!
▶【株屋は株屋】分をわきまえられない永遠の屑達♪【金貸しは金貸し(銀行)】

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MARCH 24, 2009 | 『米 流 時 評』 |  時事評論ブログ雑誌・デイリー版  2009年3月24日号
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  N E W S W E E K | A N A L Y S I S
資本家はどこへ行った? ガイトナー・ソルーションの行方
米国時間 2009年3月24日 | ダニエル・グロス/ニューズウィーク | 訳『米流時評』ysbee

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いつもは米国の危機を一身に背負ったような険しい表情のTiny Timmyが、珍しく笑顔を見せた一瞬
Man Up, Capitalists! — Part I
Why do we have to bribe investors to take risks?
MARCH 24, 2009 | By Daniel Gross — Economic Analysis | Translation by ysbee

1. Market loves it
NEWSWEEK Web Exclusive — What to think of the latest plan to get crummy mortgage-related assets off the books of large financial institutions? Two of the economists whose views I most respect differ widely on it. Paul Krugman hates it. Brad DeLong is more optimistic. The stock market, which is a poor barometer of public policy, totally loves it.
市場が気に入ったガイトナー案
【 By ダニエル・グロス / ニューズウィーク経済時評・サイト独占掲載 】
財政破綻でゾンビ化しつつある巨大金融機関の財務表から、その癌ともいえる住宅ローン関係のにっちもさっちもいかない不良資産を一掃しようという、ガイトナーのソルーションをどう評価したらいいものだろう?
ここに常日頃私がもっとも敬愛するふたりの経済学者の評価があるが、両者の意見には大きな開きがある。ポール・クルッグマンは、この案が嫌いだ。もうひとりブラッド・デロングは、より楽観的に受け止めている。しかしながら、決して国民の総意を反映するバロメータにはなりえないが、米国の投機市場自体は、この案をすっかり気に入ったようである。
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昨年経済学でノーベル賞受賞のポール・クルッグマンはNYタイムズの常連コラムニスト ガイトナー案には批判的

2. Excitement and exuberance in Wall St.

In its wisdom, Wall Street could easily decide tomorrow, or next month, that it hates the plan. That's been the pattern for the last six months of bailouts—excitement and exuberance that the cavalry is about to arrive followed by disappointment that it's armed with pop guns.
ローラーコースターのウォール街
相場の知恵を働かせれば、政府からの提案を嫌うウォール街としては、買いに転じる決断を明日に回してもよかっただろうし、用心深く来月まで待つこともできたはずだ。それが昨年9月のリーマンショック以来これまで半年の間、連邦準備銀行からの注入金で息を継いできた株式市場のパターンだった。助けの神の騎兵隊が到着するぞという興奮と喜びもつかの間、その武器ときたら役立たずのおもちゃの鉄砲程度で、ちゃちな援軍だったからである。(注入金の不足を指摘)
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NYSE ニューヨーク株取引市場 昨年9月のリーマンショック以来下落の一途で14年間最悪の底値を更新していた

3. Who is taking the risk?

We should sympathize with the dilemma the Treasury Department faces in trying to clean up this mess. As Treasury Secretary Timothy Geithner said last week: "Many banks in this country took too much risk, but the risk now to the economy as a whole is that you take too little risk." (Moneybox made a similar point.) But who is taking the risk? And who stands to reap the rewards?
リスクテイカーはいないのか?
連邦政府の画期的政策には、賛否両論、議論百出の現状である。しかしわれわれ一般大衆は、この8年間放置され山積みされてきた、金融危機の残滓である不良資産を一掃するという大役に直面して、経済活動の自由か規制かというジレンマに陥っている財務省にたいして、もっと同情を寄せるべきではないだろうか? ティモシー・ガイトナー財務長官が先週いみじくもこう言ったように。
「この国の金融機関の多くは、自らを利するためには、あえて多大なリスクがあっても相場に賭けてきたはずです。しかしながら、自社の財政だけでなく経済全体の運命がかかっているというリスクに対しては、われ関せずなのですか?」(ファイナンシャルサイトのMoneyboxでも同様のポイントを指摘していた。)
しかし、いったい誰がこの壮大なリスクを受け止めるのだろう?
そして誰が勇気をもって立ち上がり、勝利の栄冠を得るのだろうか?
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ニューヨークのAIG本社前で「AIGreed/AIGは守銭奴」と書いたカードを掲げて、ボーナス問題を糾弾する市民

4. 'Legacy loans' for the toxic assets

The Treasury acknowledges that private investors will be subsidized to take on the ownership of what it's calling "legacy loans" and "legacy securities." (If these horrific securities are legacy loans, then the funeral industry should reclassify corpses as "legacy bodies.")
不良資産買い付けに「レガシーローン」
財務省の提案した新しい財政プランは「legacy loansレガシー・ローン(継承資産購入ローン)」あるいは「legacy securities/レガシー・セキュリティ(継承資産保険)」と呼ばれる、銀行が不良債権の担保として差し押さえた不動産物件の所有権を、民間投資家や一般市民が個人資産として買い取れるよう、連邦政府が保証して援助する、という「金融と不動産」という2大業界の活性化を一挙に促進しようとする大胆な施策である。
(それにしても、こういった金融ゾンビ化の要因だった二重三重に担保の付いた「所有権の容れ子状態」の不良資産に対する貸付保証を「レガシーローン」という小じゃれた名前で呼べるなら、葬儀屋の業界では、死体のことを「レガシーボディ(肉体的遺産)」と呼ぶべきかもしれない。)
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コネチカット州では、写真の AIG 創業者ハアス氏の自宅をはじめ、AIG 役員邸宅めぐりの抗議ツアーが始まった

5. 72% government loan with 6% deposit

The Treasury cites as an example a loan valued by a bank at $100 that is sold for $84. In that instance, the private investor and the government would each put in $6, and the investor would borrow the other $72 from the government. If you're keeping score at home, it means the private investor would put in 7 percent of the cash but would receive a much higher percentage of the profits.
手付金6%で政府の貸付金72%
財務省では、きわめて単純な例でその内容を説明した。その仕組みは次の通りである。
・まずここに銀行が100ドル貸付したローンの担保物件として没収した、住宅なり不動産物件があるとする。その市場販売価格が現行で84ドルだったとする。
・その場合、新しい買主となる個人投資家と連邦政府が、物件購入の手付金としてそれぞれ6ドルずつ自己負担して支払う。
・購入契約が成立したら、残額の72ドルを買主は連邦政府から借り入れができる。
・その物件を保有し続ければ、買主は7%の現金を投資したことになるが、実質的には不動産が資産として計上されるので、損益対照表ではそれをはるかに上回るパーセンテージの利益が出ることになる。
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T-Bondsと呼ばれる米国連邦準備銀行発行の国債証券/ドル離れが加速し、中国では新しいグローバル通貨を提唱

6. Where are all the capitalists?

The plan raises the disturbing question: Where the hell are the capitalists? Where are all the people who are willing to put their own money, and that of people willing to lend them cash, at risk in pursuit of profit? Why are Wall Street's tough guys such a bunch of girly men?
資本家は何処へ?
しかし、この新しいガイトナー案にも次のような疑問がつきまとう。
資本家はいったいどこへ行ったんだ? 好況の頃には、利潤のためならリスクを冒してでも、あれだけ持ち金を積んで投資した連中、またそういう連中にじゃんじゃん貸し付けた銀行、あいつらはいったいどこへ行ってしまったんだ? ウォール街のタフガイはこれほど女々しい奴らだったのか?
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投資金融機関JPモーガンの本社ロビー 成金を絵に描いたような、なんと悪趣味で空疎なデザインだろうか!

7. Investors without risk-taking guts

The Geithner plan assumes that Wall Street's bravest investors won't spend a penny or borrow unless the government is willing to cover losses, make loans, and give away extra profits. It assumes, in short, that these great businesspeople are afraid to do business.
投機心を失った投資家たち
ガイトナーの連邦ローン案を見る限り、ウォール街の闘士だったはずの投資家たちは、リスクの一切合切を政府が背負わない限り、一銭たりとも払ったり借りたりするつもりはなさそうだ。連邦政府が不良資産を引き取りローンを貸し付けし、おまけに余剰利益をくれるというおんぶにだっこの算段がととのうまでは。とどのつまり端的に言うと、あの偉大なる「ビジネスピープル」たちが、今ではビジネスするのを怖がっているような案配だ。
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先月頻繁に開かれた財務省の予算案編成委員会 左からショーン・ドノヴァン補佐官、ティム・ガイトナー財務長官

8. Investment horizon ahead

Dislocations create opportunities for investors with the courage to jump in and the vision to extend their investment horizon beyond a year or two.
投資の新しい地平線
しかし、新しい状況に飛び込む勇気をもった投資家にとっては、現在急旋回している米国経済の転換期はまたとないビジネスチャンスであり、あと1・2年先には新しい産業に対するインベストメントの地平線が拓けてくるという、希望の持てるビジョンが見えたに違いない。 >> 後編へ続く

【 米国時間 2009年3月24日 『米流時評』ysbee訳 】
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ウィンドパワー、ソーラーパワーなど、石油に変わる新しいエネルギーの発電で「グリーンエナジー(エネルギー)」改革を進めるオバマ政権。写真はコロラド州デンバーにある太陽熱発電のモデル企業 Namaste Solar。d0123476_1023580.jpg

d0123476_16472783.gif記事リンク http://beiryu2.exblog.jp/9511492
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by ysbee-2 | 2009-03-24 22:30 | オバマの時代

その金返せ!AIGの巨額ボーナス回収騒動

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   ||| AIGの巨額ボーナス回収騒動 |||

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 海外134カ国に支店を持つ巨大金融機関AIG、役員ボーナス問題は氷山の一角?
 オバマ政権が米国の未来を賭ける、起死回生のニューディール予算案にも悪影響


d0123476_18552829.gif今回のAIG巨額ボーナス問題は、前号の前書きでもお伝えしたように、日を追ってというよりも毎時のニュースのたびにどんどん騒ぎが拡大して行った感があり、ライブでお伝えできなかったのが残念なほどの展開でした。返済を拒否したAIGに対して、昨日緊急処置としてボーナス支払分への90%の課税も決定し、支払われた資金がある程度回収できる目処はついたようです。

しかし、この課税法案で新たに浮かび上がってきた重要なポイントがあります。米国の経済のみならず、社会構造そのものにまで影響を及ぼすのではないかと思われる、非常に大きな潮目なので、舌足らずな拙文ではありますが、前号の記事へ寄せられた三四郎さんのコメントに対する私自身のレスを転載します。
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前号「オバマ激怒!AIGの巨額ボーナスに待った」のコメント欄でのレスポンス

このAIGボーナス騒動、まるで核分裂のチェーンリアクションのように時々刻々と大騒ぎに拡大していったので、もっぱらニュースを追いかけるのに手一杯でしたが、昨日の下院での決議で、支給されたボーナスへの90%課税が超党派で決まり、一段落した感があります。

それよりも驚くのは、この窮地にあってもオバマ政権は逆ネジを効かせまして、要するに、ブッシュ時代には規制が排除されて野放しだった法外な役員給与やボーナスに対して、合法的に規制できる体制が、わずか2日間で規制法として成立してしまったことです。
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これは民主党が8年間、いえクリントンの代以前からですから、もしかしたらレーガン時代から、政府の規制がはずされて、ユダヤ資本や投資家が肥え太っていった「スーパーキャピタリズム」の喉元に、とどめを刺した快挙となったようです。

結果論かも知れませんが、今日『West Wing』の制作者として知られ、リベラルの政治評論家としてもテレビによく顔を出すローレンス・オドーネルが、そういう見方で快哉を叫んでいました。

つまりこれは、金融本位主義を排除して、健全な実質経済の道をとった
オバマ政権の「経済革命」の、突破口の第一歩になったのかも知れません。


つまりAIGをテストケースとして失敗させたように見せて、その実は「Rich for the Riches」の格差社会に楔をさす抜本的な資本への規制力を、課税法案として成立させたことになる訳です。それも、わずか2日で!
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本来なら富裕者層への減税で献金ルートを確保していた共和党が、逆に率先して法外な役員給与に「重い課税」を課する法案に賛成票を投じたので、AIGの解決だけを見れば一過性の手当てに見えるかもしれませんが、基本的に共和党は、彼らの支持者である資本家層を敵に回してしまった。


これがもし評論家の評価する通り、ペローシ下院議長や策士エマニュエルの策略だったとしたら、これほど見事に成功した作戦は、ちょっと前例がないですね。また新しい報道が楽しみに。

【米国時間2009年3月20日『米流時評』ysbee】

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MARCH 17, 2009 | 『米 流 時 評』 |  時事評論ブログ雑誌・デイリー版  2009年3月17日号
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  A S S O C I A T E D P R E S S | B R E A K I N G
オバマ政権を襲ったAIGボーナス危機! 再生予算案にまで飛び火
米国時間 2009年3月16日午後6時20分 | AP通信・ニュース速報 |  訳『米流時評』ysbee

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Angry Obama Vows to Try to Block Bonuses
President calls $165 million in bonuses an 'outrage to the taxpayers'
MARCH 16, 2009, 6:20 p.m. | Associated Press — BREAKING | Translation by ysbee

11. Cuomo issue subpenas on AIG
WASHINGTON — On a separate track, New York Attorney General Andrew Cuomo said Monday he would issue subpoenas for information on the bonuses after AIG missed his deadline for providing details.
クオモ州司法長官、AIG経営者を証人喚問
前号「オバマ激怒!AIGの巨額ボーナスに待った!」からの続き
ワシントン発 |16日月曜朝、全米を驚愕させた「AIG役員巨額ボーナス支払事件」を摘発した報告とは別途に、司法省ニューヨーク支部のアンドリュー・クオモ司法長官は「AIGが同社の支払明細報告書を司法側から要求していた提出期限までに提出しなかった」という理由で、AIG経営者へ証人喚問の出頭命令書を発行した、と発表した。
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元来は自動車や住宅が対象の保険会社だったが、保険の適用範囲を企業やプロジェクトそのものやハリウッドの映画など、ありとあらゆるものに拡げて事業を拡大したAIG。最終的には海外の銀行や金融機関まで保険の対象となったため「つぶすには巨大過ぎるモンスター金融」となってしまった。

12. Cuomo, 'The Crusader of New York'

Cuomo said his office would investigate whether the employees were involved in AIG’s near-collapse and whether the $165 million in bonus payments were fraudulent under state law. AIG spokeswoman Christina Pretto told The Associated Press, "We are in contact with the attorney general and will of course respond to his request."
「ニューヨークのクルセーダー」クオモ
クオモ司法長官は、彼が陣頭指揮するニューヨーク州支部では「AIGが財政破綻寸前にまで追い込まれた状況に対して、雇用者の意図的捜査があったかどうか。また1億6500万ドル(約158億円)のボーナス支払がニューヨーク州の条例に違反しているかどうか」に関して、今後も捜査を進めると明らかにした。
また、AP通信の記者がAIGのクリスティーナ・プレット広報担当に取材した談話では、司法支部の捜査の経過について次のように伝えている。「当社ではクオモ司法長官と連絡をとっており、もちろん彼の要請に応えて報告書を提出する意向です。」
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「ニューヨークのエリオット・ネス、摘発のクルセーダー」と呼ばれるアンドリュー・クオモ(orコモ)州司法長官

13. Federal bailouts have gone awry

One reason that the AIG bonus giveaway is such a compelling story — and a politically troubling one for Obama if not neutralized — is that it offers a simple story line that appears to sum up ways in which the federal bailouts have gone awry.
連邦銀行注入金のとんでもない行方
AIGのボーナスが行方について政局を左右するほどの是非論が闘わせられ、この話題がこれほどまでにメディアの焦点になっている理由。それは、この経済危機問題がこじれれば、オバマ政権の今後の政策に対しても批判の目が向けられるような足をひっぱる悪影響を生みかねないからである。
AIGボーナス問題は、一言で断言できるほど単純明快な資質をもっている。それは「連邦準備銀行の財政援助注入金は、とんでもない不始末を起こす」というスキャンダル発生の種になりかねない危険性をはらんだ政策だという事実である。
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ホワイトハウスでは連日各界のリーダーが集まり、経済危機対策について大統領自ら討議に加わるフォーラムを開催

14. AIG issue galvanizes public outrage

"This is just the kind of issue that galvanizes public outrage," said Paul C. Light, professor of public service at New York University. "It's always the tangible stuff, the things that ordinary Americans can relate to." Bailout steps for AIG totaling over $170 billion since September have effectively left the federal government with an 80 percent stake in the faltering insurance giant.
AIG問題で結束する怒れるアメリカ人
ニューヨーク州立大学パブリックサービス部のポール・C・ライト教授は、今回の騒動をこう評価する。「これは、一般大衆が怒りで結束するようなたちの一大社会問題になりますね。いつの世であれ、国税のとんでもない浪費というのは、普通のアメリカ人が自分の問題として身近に受け止めることのできる事柄ですから。」
AIGに対して、昨年の9月以来これまでに国庫から支払われた財政注入金の総額は、1700億ドル(約16兆3158億円)という途方もない額にのぼっている。FRBからの資本投下にともない、連邦政府は結果的に、財政破綻寸前だったAIGの自社株の80%を買い取ったかたちになり、図らずも金融機関の8割国有化の新しい形態の企業が出現した。
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左:昨年秋、議院の聴聞会で「金融危機」の原因を問われる、左からポールソン財務長官、FRBのバーナンキ議長
右:クリントン時代から継続してブッシュ政権でも連銀をとりしきったアラン・グリーンスパン。しかし金融バブルの危険性を声高に訴えたため、ブッシュ体制側にうとんじられ更迭に近い形で辞任。バーナンキへと議長席が移された。


d0123476_16391691.jpg【訳者注 by ysbee】 忘れていけないのは、この大裁断を下したのはブッシュ政権であり、当時の財務責任者はそれまで金融資本家のしたい放題に放任していた、FRB連邦準備銀行のベン・バーナンキ頭取と、財務省のトップ、ヘンリー・ポールソン財務長官だったという事実である。問題の大きさから、史実と言ってもいい。ポールソンは、ブッシュに財務省長官に任命されるまでは、ゴールドマン・サックス社の会長兼CEOを勤めていた生粋のウォール街人種で、証券資本家の代表のような人物。一連の金融バブルは、ブッシュ政権8年の新自由主義経済/スーパーキャピタリズムの因果応報と、私は解釈している。

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ブッシュの金庫番、左からFRB連銀のベン・バーナンキ議長、ヘンリー・ポールソン財務長官、ブッシュ前大統領

15. Obama's new approval rating

Obama’s comments came on the same day a new poll showed slippage in his approval rating. The poll by the Pew Research Center showed it dropped from 64% in February to 59% this month amid divisions of opinions over his economic proposals and what the pollsters said was a growing perception that the president is listening more to his party’s liberals than to its moderates.
オバマの支持率を下げる経済問題
オバマ大統領がAIGボーナス支払に対して怒りをあらわに非難の声を上げたのと同日、新政権に対する支持率の最新のアンケート調査が発表された。その結果では、オバマの大統領としての手腕を評価すると答えた割合の下降を示していた。
ピュー・リサーチセンターによるこの支持率調査結果では、2月の支持率64%から、今月は59%へと5%落ち込み、特に彼の提案する経済政策に対する反対意見が、この下落を招いた状況が現れていた。また「大統領は所属する民主党の中でも、中道派よりもリベラル派の意見に耳を傾ける」という意見を肯定するパーセンテージも増えていた。
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1月20日大統領就任式の夜、ワシントンの祝賀パーティー10カ所をこなした翌朝には3つの法案を片付けたオバマ

16. Bush's debt, buck stops with Obama

字数制限のため英文省略
ブッシュのツケを払わされるオバマ
しかし支持率がやや下がったとは言え、アンケート結果では「新しい大統領は経済危機解決のために出来る限りのことをやっているか」という設問に対しては大半が好意的に肯定する回答をとり、「経済を悪化させている」と非難して答えた者はほとんどいなかった(few blame him for...)。
ピュー・センターのアンドリュー・コフト リサーチ部長は「アンケート調査の段階で人々がもっとも怒りをぶつけたい対象は(経済危機を招いた張本人の)金融機関と企業でした」と、一般国民の経済問題に対する感情を説明した。しかしまた、こうも解説する。
「一般的にワシントンの政界全体に対する不信感がつのっており、そしてもちろんその責任のツケは、このところ現職の大統領であるバラク・オバマに回ってきている、というのが実情です。」
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大統領経済顧問のポール・ヴァルカーと最近の経済問題と解決施策であるStimulus Planについて説明するオバマ

17. AIG refused to rescind payments

字数制限のため英文省略
支払ったボーナスの撤回を拒否したAIG
AIG経営陣に対するオバマの鋭い糾弾の言葉は、週末以来過去数日間続いた政権側からの一連の非難と呼応して、ボーナスを受け取ったAIG役員に対する圧力となることを意図したものだった。しかしながら、こうした非難囂々の世論にもかかわらず、AIG役員は支払われたボーナスを元へ戻すことを拒否した。ブッシュ政権下のポールソン財務長官によって、昨年秋に連邦政府からAIGの新しい代表取締役に任命されたエドワード・リビー社長は、先週末ガイトナー財務長官に送ったレター(メールか書面かは不明)の中で、こう弁明している。
「ボーナスは(自分が任命される以前から社員契約の条項に存在していたものであり)法的な拘束があって従わざるを得ませんでした。会社の打つ手は(この契約に)縛られた状態でした。」
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会社経営を通して企業理念を実現し、繁栄の報酬を還元して社会に貢献する.... 本来の起業家精神はどこへ?
私利私欲に走る理念のない投資家は「株屋」と呼ばれてもいたしかたない。社会への貢献度を評価さるべき。


18. Still rework for $170 billion bailout

字数制限のため英文省略
今後まだ16.3兆円の注入金を予定
週明けの現在でもなお(元記事の掲載は3/16)、AIGのボーナス問題に対するプレッシャーはますます強まってきている。さらには、連邦政府はAIGに対して、この先まだ最大限1700億ドル(約16兆3157億円)という財政援助金を再度支払う予定だったが「国税で払われた再建会社の法外な巨額ボーナス」という不祥事のために、支払条件についてかなりの修正をほどこすことが余儀なくされるだろう。
さらに報告書でわかったのは、同社ではこれまでのところ、米国内ばかりでなく海外134カ国の金融機関へも、経済危機の財政援助金として総額900億ドル(約8兆6378億円)以上を支払っていることも明らかになった。
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AIG傘下ではユーロピアンバンク(英)のほかドイッチェバンク(独) ソシエテジェネラール(仏) HSBC(英) など無数

19. FRB seized AIG in September

字数制限のため英文省略
FRB 昨年9月にAIGの8割を国有化
連邦政府は、昨年9月にAIGの自社株8割を買い取り連銀の支配下に置いた時点で、それ以前から契約が成立していた一連の特別賞与支給制度が継続する条件を飲んでいた。政府が財政援助の資金を出したのは、万一AIGが財政破綻に陥れば、グローバルな経済危機はよりいっそう悪化する事態を避けるためだった。
しかしながらオバマ政権の財務担当閣僚たちは、日曜恒例の時事トークショー番組に出演してAIG幹部を批判した。驚いたことには、連邦準備銀行のベン・バーナンキ議長までがこの隊列に加わりCBSの看板番組『60 minutes』に出演、「これまでの数ある問題解決の中でも、AIGの財政援助交渉がもっとも腹立たしかった」という重大発言を吐露した。
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米国民放3大ネットワークのひとつ CBSの長寿番組『60 Minutes』で、昨今の経済危機を忌憚なく語るバーネンキ

20. Global economy havoc if AIG collapses

字数制限のため英文省略
AIGが潰れればグローバル経済が崩壊
バーネンキは、「AIGとの話し合いの最中には経営陣のわからなさ加減に頭に来て、実際に何度か
受話器をたたきつけたこともあるよ」と告白した。彼はさらに「AIGがつぶれれば、直ちに世界経済に混乱を来すことが判っていたので、やむを得ずAIGの救済に踏み切った」とも語った。
一方オバマ大統領は金曜、財政破綻で不況の兆候が著しいカリフォルニア州を訪問。おなじみとなった庶民との対話集会で、不況対策の経済再生予算案について一般庶民と話し合った後、その夜にはNBCの夜のトークショー番組、ジェイ・レノの『Tonight Show』に出演した。このテレビ出演は、破綻の危機に面した経済の再生に全力投入している大統領が、めずらしく肩の力を抜いたカジュアルな一面を伺わせるものとなった。 <了>

【 米国時間 2009年3月17日 『米流時評』ysbee訳 】
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共和党支持者は選挙戦中オバマの主張をまともに聴いていなかったと見え、就任翌日から次々と決定される議案の数々に唖然としているが、民主党のオバマ支持者から見れば、議案のひとつひとつがすべて公約でうたわれた長年の懸案を法案として実現に移したにすぎない。しかし、これほどまでのスピードで解決されるとは、並の人間業ではない。d0123476_1023580.jpg

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by ysbee-2 | 2009-03-17 23:45 | オバマの時代

オバマ激怒!AIGの巨額ボーナスに待った!

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   ||| AIG 巨額ボーナスの自爆テロ |||

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 オバマもアメリカ国民も激怒! 再建企業AIGの巨額ボーナス支給に非難の嵐!
 世界でトップの保険会社役員と幹部社員に、週末の夜 総額158億円を緊急支払


d0123476_18552829.gif財政立て直しのため連邦政府から総額20兆円近い注入金が投じられた、世界トップの保険企業AIG。財政援助の見返りとして、同社の持株の8割が連邦政府所有となり、財務表上ではほとんど国営化に近い体裁となった。財務省が任命した新しいCEOは年俸1ドルで再建に邁進すると約束し、国民もその意気込みに期待した。

しかし、いくらトップの首をすげ替えても、金融ブームの甘い汁を吸った経営陣の体質は変わらなかったと見え、投入された資金から役員と幹部社員に総額1億6500万ドル(約158億円)の臨時ボーナスを、よりによって週末の夜に支給したのだという。AIGの本部はニューヨークのマンハッタンにあるが、注入金の行方を見守っていた司法省ニューヨーク州支部の辣腕、マリオ・クオモ司法長官の摘発で、この事実が明らかになった。
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巨額ボーナスのニュースがアメリカ国民に知らされたのは、週明けの16日月曜の朝だった。ゾンビ銀行への注入金貸与の方策に対して、すでに半数以上の国民が反対していた上に、この不祥事である。金融資本家への怒りがくすぶっていた最中でもあり、まるで焼け木杭にガソリンをかけたような案配で、国民の怒りは一気に炎上した。24時間体制のケーブルニュースの各チャンネルでは、終日「AIG Bonus Mess=AIGのボーナス騒動」のタイトルで、評論家が右も左も一様にウォール街の金融資本を糾弾する姿勢で、喧々諤々(けんけんがくがく)の論争を展開した。

論争はまたたく間に強風下の野火のように広まり、アメリカのブログ論壇を始めとするネットでの怒号の炎上は言うまでもない。火曜の夕刻には、すでに新しい財務長官の責任を問う「ガイトナーおろし」が始まっていた。甚だしいのは共和党議員の非難で「責任者は日本人の経営者のように、公衆の面前で最敬礼で謝罪し、そして自殺せよ」という極論まで出て、これがまた一層の論議の的になったり...... あるメディアが冠したタイトルのごとく、まさしく「AIG Storm」そのものが、全米に吹き荒れた。
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さらには救済企業の管理が甘いと言うので、下手をするとオバマ政権が解決しようとしている経済危機の最大の対処策「Stimulus Plan」(オバマのニューディールの予算案)そのものが、共和党議員の要求する手直しの改革案を飲まなければいけないような風向きになってきた。今週でやっと2か月を過ぎたばかりのオバマ新政権の、アメリカの再生を賭けた起死回生の計画を担う巨大予算案までが、一金融機関の馬鹿な経営陣の大ポカで、ネガティブな批判の対象になりつつある。

ウォール街の強欲資本 AIG が巻き起こしたボーナス旋風が、猛烈な勢いでホワイトハウスに襲いかかっている現在、果たして賢人オバマはこの難局を乗り切れるだろうか? 共和党議員の要求するように、ガイトナー財務長官やラリー・サマーズ、ポール・ヴァルカーらの財政相談役の首は、いつまでもつだろうか? 時々刻々と新しい情報が入ってくるので、逐次連載でレポートしたい。

【米国時間2009年3月16日『米流時評』ysbee】

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MARCH 16, 2009 | 『米 流 時 評』 |  時事評論ブログ雑誌・デイリー版  2009年3月16日号
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  A S S O C I A T E D P R E S S | B R E A K I N G
オバマも米国民も激怒! 再建企業AIGの巨額ボーナスに待った!
米国時間 2009年3月16日午後6時20分 | AP通信・ニュース速報 |  訳『米流時評』ysbee

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Angry Obama Vows to Try to Block Bonuses
President calls $165 million in bonuses an 'outrage to the taxpayers'
MARCH 16, 2009, 6:20 p.m. | Associated Press — BREAKING | Translation by ysbee

1. Furious Obama blistered AIG
WASHINGTON — Joining a wave of public anger, President Barack Obama blistered insurance giant AIG for "recklessness and greed" Monday and pledged to try to block it from handing its executives $165 million in bonuses after taking billions in federal bailout money. Outcries against the company have also come from congressional leaders.
再建企業の巨額ボーナスに怒り心頭のオバマ
ワシントン発 |AIGの巨額ボーナス支給がニュースの焦点となった16日月曜、アメリカの一般大衆からわき起こった怒りの津波の一端となって、バラク・オバマ大統領は保険業界の巨大企業AIGに対して「reckless and greed/どこまでがめついんだ!」と厳しい非難を浴びせた。
さらに、財政破綻を防ぐためFRB連邦準備銀行から数十億ドル(数千億円)という政府注入金を受け取った直後に、同社の役員と幹部社員に緊急ボーナスとして土曜の夜こっそりと緊急に支払われた総額1億6500万ドル(約156億円)が支払先に渡ることは、是が非でも阻止すると断言した。同社の巨額ボーナス支給に対する怒りは、米国下院議員の派閥リーダーからも上がっている。
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16日月曜朝、ホワイトハウスの予算案に関する記者会見で開口一番AIGを非難、珍しく怒りをぶちまけたオバマ

2. $1 million bonus for 164 execs against debts

The AIG bonuses were revealed over the weekend. It also was disclosed that AIG used $90 billion-plus in federal aid to pay foreign and domestic banks, some of which had received their own multibillion-dollar U.S. government bailouts. The money went to banks to cover their losses on complex mortgage investments, as well as for collateral needed for other transactions.
ボーナス1億円を重役164人に緊急支給
財政逼迫で政府が8割の自社株を買い取った企業でありながら、役員に巨額のボーナスを支払ったAIGスキャンダルは、先週の土日にかけて全米に暴露された。しかもボーナス支給の事実解明にともなって、注入された援助金も含めて900億ドル(約8兆5千億円)以上の資金が、AIGグループ傘下の国内及び海外の金融機関へ流れていたという、さらに杜撰な支出も明らかになった。
こうした資金は(特に住宅業界の)重層化したローン返済不能で焦げついた財政や、その他ローン関連部門の支払いをカバーするために必要な資金繰りに使われたと見られている。
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ニューヨーク・マンハッタンにある全米保険業界最大企業、AIG/American International Group の本部

3. Also paid billions to foreign banks

The recipients included Goldman Sachs, at $12.9 billion, and three European banks — France's Societe Generale at $11.9 billion, Germany's Deutsche Bank at $11.8 billion, and Britain's Barclays PLC at $8.5 billion. Merrill Lynch, which also is undergoing federal scrutiny of its bonus plans and which is now part of Bank of America, had received $6.8 billion as of Dec. 31.
グループ傘下の海外銀行へも支払い
資金援助の流れた先は以下の通り:
  ・ゴールドマンサックス(米)  129億ドル(約1兆2313億円)
   ヨーロッパの3銀行:
  ・ソシエテ・ジェネラール(仏) 119億ドル(約1兆1359億円)
  ・ドイッチェバンク(独)    118億ドル(約1兆1152億円)
  ・バークレーズ PLC(英)    85億ドル(約8113億円)
ニューヨーク州クオモ法務長官の調査の結果、AIGのほかにもやはり12月31日付けで連邦準備銀行から68億ドル(約6430億円)のてこ入れを受けているBOAバンクオブアメリカの傘下に吸収された投資金融機関メリルリンチもまた、法外なボーナスを予定していたことが明らかになった。

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米国上院・下院の合同予算委員会の聴聞会に召還された、ウォール街を牛耳ってきた金融界のエグゼキュティブ達

4. It’s about our fundamental values

"How do they justify this outrage to the taxpayers who are keeping the company afloat?" Obama asked. "This isn't just a matter of dollars and cents. It's about our fundamental values." Obama aggressively joined other officials in criticizing American International Group, the company that is fast becoming the poster boy for Americans' bailout blues.
問われる金融界の企業倫理と価値観
「(連邦準備銀行からの資金援助で)自分たちの会社を苦境から救ってくれている納税者たちの怒りに対して、AIGの連中は(ボーナス支払に関して)どう正当化するつもりですか」とオバマは厳しく問いかけた。
「これは単にドルやセントの数字だけの問題ではない。これはわれわれすべての根本的価値観にかかわる問題だ」オバマはこう切り出し、AIGを批判している他の政権高官の隊列に勢いよく加わった。かくしてAIGは一夜にして、アメリカの注入金哀歌のポスターボーイに収まる結果となった。
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ふだんは何事があっても冷静沈着で「No drama for Obama」と定評のあるオバマも、今回は憤慨を隠さなかった

5. New help for small businesses in recession

"People are angry because they've seen exhibit after exhibit of irresponsibility and people walking away with money in their pockets," he said. "It's undermined the discussion that we have to have." Obama had scheduled a speech Monday to announce new help for recession-pounded small businesses. But first, he said, he had a few words to say about AIG.
月曜には新しい中小企業救済予算を提案
「国民は怒り心頭だ。無理もない。本来財政に行き詰まったはずのトップの連中が大金を懐に入れては立ち去るという企業の無責任な姿勢を、次から次へといやというほど見せつけられてきたのだから。我々が持つべき対話の重要性を脅かす姿勢だ。」
この発言のあった月曜同日には、オバマ大統領は不況にあえぐ中小企業に対する新しい救済策を発表するスピーチを行なう予定だった。しかしともかく、先ず最初にAIGに関してひとこと言わずにはいられなかったと、彼は本音を語った。
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30年代の世界大恐慌以来と怖れられる経済不況で職安にも長い列 カリフォルニア州では10人にひとりが失業者に
中:800ページという超大部の予算書をわかりやすくコンパクトにまとめたブルーブック
右:シカゴ本店のノーザン・トラストバンク。あえて訳せば米国の「北陸信用金庫」か?


6. Stern anger against corporations' greed

He lost his voice at one point and ad-libbed, "Excuse me, I'm choked up with anger here." It was just a light aside, but he meant the sternness of his remarks to come through. "This is a corporation that finds itself in financial distress due to recklessness and greed," Obama declared.
企業エゴに対し怒り爆発のオバマ
この発言の途中で、オバマ大統領は一瞬声が出なくなるハプニングがあったが「失礼、怒りのあまり声がつまったよ」と即座にアドリブのジョークでその場を納めた。彼のユーモラスな一面を語る一幕だったが、AIGの非常識な財務にあきれ果てたという実感が伺える表現だった。
「今回の一件で、AIGというのは財政危機の最中ですら、性懲りもなく経営者側の強欲に徹する会社だという実態がつくづくわかった」とオバマは言い切った。
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分刻みの激務のスケジュールを精力的にこなすオバマに、追いかける取材陣の方が着いていけないとこぼすほど

7. Every legal avenue to block these bonuses

He said he had directed Treasury Secretary Timothy Geithner to "pursue every legal avenue to block these bonuses and make the American taxpayer whole." Later, White House spokesman Robert Gibbs said the administration would modify the terms of a pending $30 billion bailout installment for AIG to at least recoup the $165 million the bonuses represent.
ボーナス阻止にあらゆる法的措置を指示
オバマはさらに、ティモシー・ガイトナー司法長官(日本の法務相に該当)に対して「納税者であるアメリカ国民の血税を損なわないよう、AIGのボーナス支払を阻止するためにあらゆる法的措置を講じるように」と指示したと語った。さらに月曜の午後になって、ホワイトハウスのロバート・ギブズ大統領広報官からは、次のような警告が発表された。
「オバマ政権は、AIGが1億6500万ドル(約158億円)のボーナス支払金を元に戻さない限り、今後AIGに対して予定していた追加注入金300億ドル(約2兆8600億円)の支払期日を延期するつもりもある。」

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ウォール街を控えたニューヨークの連邦準備銀行頭取から、米国の財務長官に抜擢されたティモシー・ガイトナー

8. Axelrod, 'spectacularly tone-deaf'

That wouldn't rescind the bonuses, just require AIG to account for them differently. Axelrod called the bonuses "spectacularly tone-deaf." He said the administration hoped the tough talk would result in voluntary action on the part of AIG and its bonus recipients, although that remains an open question. "All we can do is administer this thing going forward," he said.
「どうしようもなく空気が読めない連中」
しかし、オバマ政権の対策は行政府としての事後処理であり、AIGに対する法的効力としては、今後の財務報告のメソッドを(事前に迅速に通知するなどして)改善するよう要求するしかない。
ホワイトハウスのデヴィッド・アクセルロッド大統領上級顧問は、今回のボーナス支払について、いみじくもこう言う。「spectacularly tone-deaf=すさまじいばかりに時流の読めない愚行だ」
さらに彼は続けて「結果がどう出るかと言う回答はまだ得ていないが、一連の厳しい発言でAIGとボーナスを受け取った役員/幹部社員が自発的に正しい行動をとる姿勢になるよう、オバマ政権は期待する」と述べ、次のように結んだ。「われわれにできることは、ひとえにこの騒動を前向きの事態へと好転させて行くことだ。」
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昨年のリーマンショック以来転落の一途をたどるウォール街の株相場 AIG問題公聴会の中継に見入るディーラー達

9. May jeopardize entire recovery agenda

The bonuses could contribute to a backlash against Washington that would make it tougher for Obama to ask Congress for more bailout help — and jeopardize other parts of the recovery agenda that is dominating the start of his presidency. Thus, the president and his top aides were working hard to distance themselves from the insurer's conduct.
米国再生法案そのものに対する批判へ発展か
AIGのボーナス問題は、注入金を承認したワシントンの政界に対する、国民全体の反撥を招いた。そればかりか、今後議会へ提案してさらなる追加注入金を補助しようとしていたオバマ政権に対して、上下両院議員は厳しい姿勢をとらざるを得なくなった。
その結果、オバマの大統領としての時代を画するはずだった「NEWニューディール政策」の米国再生案の他の部門までが、批判の対象となる窮地に陥る羽目となった。こうした事態の急変に対応して、オバマと側近のブレーンたちは、AIGのとった経営姿勢とは対立する立場に立っていることを強調し、できるだけ距離をおいて再生案への支持を保つよう苦慮している。
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全米の主要企業経営者を集め、米国再生のニューディール予算法案「Stimulus Plan」の説明と討議をするオバマ

10. Public confidence in new administration in danger

Axelrod, senior adviser to Obama, said in an interview with The Associated Press that there was no question that the bonuses and the public’s anger over them could run many things off the rail. The administration tried to contain possible political damage and to try to bolster public confidence in his administration’s handling of the broader economic rescue effort.
オバマ新政権への信頼を根本から揺るがす危険性
オバマの上級顧問であるアクセルロッドは、月曜行なわれたAP通信のインタビューに応えて、こうした危機に直面していることを認めた。「AIGのボーナス問題とそれに対する国民の怒りは(金融危機救済ばかりでなく)せっかく軌道に乗りつつあった他の経済救済・再生計画まで、脱線しかねない窮状に追いつめている。」
オバマ政権は、今後想定されるそういった政治的反撥が、これ以上高まるのを鎮静しようと努めており、広範な部門で経済危機脱出策を講じる政権の手腕にこれまで信頼を寄せてきたアメリカ国民の確信を、さらに強めるような広報対策も打ち出そうとしている。 >> 次号へ続く

【 米国時間 2009年3月16日 『米流時評』ysbee訳 】
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ホワイトハウスの大統領執務室オーバルルームで朝の打ち合わせをする左からジョー・バイデン副大統領、オバマ大統領、ひとりおいてラーム・エマニュエル首席補佐官、ラリー・サマーズ財務顧問
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by ysbee-2 | 2009-03-16 13:15 | オバマの時代
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世界の動きがよくわかる!激動する国際情勢を、欧米メディアでディープに読む…世界の「今」と真実探求に関心ある知的冒険者へ送るグローバル情報満載ブログ


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